米津玄師、Mrs. GREEN APPLE、BE:FIRST、木村拓哉、iri、結束バンド……注目新譜6作をレビュー

New Releases In Focus

 毎週発表される新譜の中から注目作品をレビューしていく連載「New Releases In Focus」。今回は米津玄師「RED OUT」、Mrs. GREEN APPLE「familie」、BE:FIRST「Blissful」、木村拓哉「No Night, No Starlight」、iri「Swamp」、結束バンド「ドッペルゲンガー」の6作品をピックアップした。(編集部)

米津玄師「RED OUT」

 SpotifyブランドCMソングにして、6thアルバム『LOST CORNER』のオープニング曲。まさに米津印のメロディライン、こちらの予想をほんの少し裏切ってくる快感がたまらない2分半だが、一瞬出てきてはすぐ消えるギター、その下で不穏にループするベースという、イントロの思わせぶりな色っぽさも特筆したい。強いて言うならギターは情報の速度の、ベースはうんざりするような悪意の表現だろうか。歌詞の端々に時代への批評性が滲んでいるが、冷笑や諦念の歌ではない。〈止まれるもんかどこまでも行け〉と放つ後半のメッセージは、このダークな曲調だから突き刺さるのだろう。白、黒、赤の3色で米津のアップを追うMVも最高にクール。(石井)

米津玄師 Kenshi Yonezu - RED OUT

Mrs. GREEN APPLE「familie」

Mrs. GREEN APPLE「familie」

 「ライラック」「Dear」「コロンブス」「アポロドロス」に続く、5カ月連続リリースのラストを飾る新曲「familie」。ドイツ語で“家族”を意味する言葉をタイトルに冠したこの曲は、大らかなメロディとともに、温かい愛に溢れたメッセージが広がるミディアムチューンだ。カントリーやジャズの匂いを散りばめたバンドサウンドは軽やかで開放的。耳なじみがいい旋律、思わず一緒に歌いたくなるサビを含め、誰もが一瞬にして魅了されるポップソングに仕立てられている。〈どこまでが/ただ、愛と呼べんだろう〉というフレーズに象徴される、幅広い解釈が可能な歌詞も魅力的。聴き手にとっての大切な人たち、愛する人たちを想起させるこの曲は、すでにタイムレスな魅力を備えている。(森)

BE:FIRST「Blissful」

BE:FIRST / Blissful -Music Video-

 トラックの基調は、2010年代真ん中あたりのヒップホップ。カラフルかつ軽やかなシンセ、厚みのあるキックを両軸にしたサウンドとともに放たれるのは、〈We’ll be fine, let’s take off〉という超ポジティブなリリックだ。8月28日にリリースの2ndアルバム『2:BE』のリードトラック「Blissful」は、曲名通り、自らの“これまで”と“これから”を祝福するような楽曲。決して平坦ではなかった道を歩んできた7人が、お互いを称え合い、さらに輝きを増すべく前に向かって進んでいくーーそんな光景がありありと浮かんでくる。初めての海外撮影としてニューヨークを舞台に、メンバー全員が志向するカルチャー、チームとしての一体感がリアルに感じられるMVも必見。(森)

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