韓国初開催『Asian Pop Festival 2024』に行ってきた(後編) アジアで活動するアーティストたちの存在感
独特の魅力を放っていた女性アーティストをもうひとり。野外のステージに登場したキム・サウォル(김사월/Kim Sawol)は、今年4月に初来日を終えたばかりのシンガーソングライター。2014年にデュオでデビューし、韓国の音楽アワードでの受賞経験も多数。もはや「韓国インディあるある」と言えるかもしれないですが、BTSのRMのソロ作品にもフィーチャーされています。今年リリースになった彼女のニューアルバムのジャケットを見ると、とんがったイメージだったのですが、サウンドはフォーキーで暖かい。ビデオクリップは非常に映画的かと思えば、別の1本はなぜか全員着ぐるみを着ている。さらにフェスでは、バンドメンバーも全員スクールガールの衣装で登場。可愛すぎる……。初来日公演のバンド編成でのライブの衣装もスクールガールだったそうです。制服と儚げな歌声の合わせ技で、切ない気持ちが募る募る募る。お客さんが飛ばすシャボン玉も素敵な演出になっていました。Say Sue Meというバンドのライブの時に、めちゃ踊っているお客さんがいると思ったら、彼女でした。なんて可愛い人なんでしょう。
続いては、フィリピンから出演のena mori。フィリピンと日本にルーツがあるシンガーソングライターで、NME『The 25 best Asian albums of 2022』第1位に選ばれていました(※1)。ちょっと前のリリースですが、DIYでiPhoneで作ったという「TALK! TALK!」のMVも可愛くて! フィリピンの「Wish 107.5」にも動画があるので見てみてほしいのですが、ミステリアスな感じがあって「どんな人なんだろう?」と、今回ライブを観るのを楽しみにしていたんです。いざ、実際に観たステージは、とってもパワフルで、エネルギッシュ。吸引力がある歌声とキャラクターで私たちの扉を開けてくる『北風と太陽』の太陽のような人。日本でも観てみたいです。シャイな日本人にも届くんじゃないかな。誰でもきっと踊り出しちゃうと思う!
世界中でたくさんの争いが起き、胸が痛くなる言葉がSNSに溢れています。呑気なことを言うつもりは全くないですが、少なくともこのフェスの会場にいる間は、生まれた場所や住んでいる場所、使う言語に関係なく、等しくリスペクトし合える気持ちよさを感じました。このフェスが初韓国ライブになった坂本慎太郎のステージで、ラストに演奏された「Disco Is(ディスコって)」で感動しながら踊りました。今年初開催だった『Asian Pop Festival』は、来年も開催する予定とのこと。来年もまた行きたいですし、自分がお役に立てることがあったら、喜んで尽力したいなと思いました。皆さんにも体験してもらいたいです。
※1:https://www.nme.com/features/nme-best-asia-albums-of-the-year-2022-3370548
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