TOMORROW X TOGETHERが果たすMOAとの約束 ワールドツアー『ACT : PROMISE』京セラドーム大阪公演独占レポート

 約束を果たすために、そして新たな約束を交わすために彼らは大阪にやって来た――。結成から5年、瞬く間に世界規模のボーイグループへと成長を遂げたTOMORROW X TOGETHER 。3度目となるワールドツアー『TOMORROW X TOGETHER WORLD TOUR <ACT : PROMISE>』を5月に韓国・ソウルのKSPO DOMEからスタートさせ、7月から舞台を日本へと移した。自身初、そしてK-POPアーティスト史上最速となる4都市8公演におよぶ4大ドームツアーは、メンバーの念願だった東京ドームを皮切りに京セラドーム大阪までの公演を終え、この後バンテリンドーム ナゴヤ、みずほPayPayドーム福岡へと続いていく。

 また、初の日本ドームツアー開催を記念したコンサート連動型イベント『TOMORROW X TOGETHER WORLD TOUR <ACT : PROMISE> in TOKYO/OSAKA/AICHI/FUKUOKA』も開催されている。公演が開催される4都市それぞれのコラボレーション施設にて、メンバー直筆サイン入りTシャツの展示をはじめ、大型フラッグや等身大パネルなど各地オリジナルの展開が行われるというものだ。

 4会場のなかで、京セラドームは唯一の“凱旋公演”にあたる。昨年7月、日本での初ドーム公演『TOMORROW X TOGETHER WORLD TOUR <ACT : SWEET MIRAGE> IN JAPAN』を京セラドームで開催していたからだ。その公演の最後にTAEHYUNが言った「次にまた素敵なセットリストを持って戻ってきます」という約束が、果たされる時が来た。そしてもうひとつ、今回のワールドツアー『ACT : PROMISE』では「僕たちの夢がどう成長してきたのか、そして僕たちの未来をMOA(ファンの呼称)と一緒にどうやって守りたいのか」を示すと彼らは言っていた。つまり、MOAと一緒に歩む未来を約束するということ。ツアー名が示す通りたくさんの約束が宿った京セラドーム公演2DAYS、2日目の模様をリアルサウンド独占でレポートする。

 灼熱の太陽が照りつけた7月28日。事前にメンバーが発表していたドレスコード 水色と白色の服に身を包んだMOAが会場を埋め尽くした京セラドーム内でまず目を奪われたのは、センターステージから5方向へ広がる花道だ。

 オープニング、白いマントを被ったメンバーたちを強く印象づけた映像が終わると4本ある花道の先端に、TOMORROW X TOGETHERが現れた。花道からセンターステージへ歩みを進め、YEONJUNがフードを脱ぎ、宙に浮かぶ王冠を自らの頭上に引き寄せていく。デビュー曲である「CROWN」をイメージさせるシーンの美しさに見入っていると、「大阪、叫べ!」という高らかな声が脳を揺らした。パフォーマンスが始まる合図、彼らが京セラドームに帰って来た瞬間だ。

 この日のライブは「Deja Vu [Japanese Ver.]」と「9と4分の3番線で君を待つ (Run Away) [Japanese Ver.]」でスタート。オープニングからキレのあるダンスで魅了するSOOBIN、YEONJUN、TAEHYUN、HUENINGKAIの4人はもちろんだが、2曲を披露するあいだに誰よりも大きな歓声を浴びていたのはBEOMGYUだ。7月初旬の東京ドーム公演からこの日までの間に金髪へと大きくイメージを変えたことに加え、足の怪我により東京ドーム公演では椅子に座ってのパフォーマンスだったと伝えられていた彼がステージに立ち、動きは抑えつつもスタンドマイクを手にパフォーマンスをしていたからだ。その事実にMOAの興奮が高まらないわけがない。

SOOBIN

 「MOAたちとお好み焼きを食べたいTAEHYUNです」、「アンニョン! MOAたちと親子丼が食べたいYEONJUNです」、「なんでやねん! 今日MOAの一日と僕らの夢まで噛み締める男、BEOMGYUです」、「大阪のたこ焼きになりたい男、HUENINGKAIです。それくらいMOAちゃんたちの身近な存在になりたいです」、「MOAの男、SOOBINです!」。大阪弁も盛り込んだ挨拶を挟み、BEOMGYUからは「みんなの応援のおかげでかなり早いペースで治っています。立っていられるし、ちょっとだけ遅いけど歩けるので心配しないでね」と体調についてのコメントがあり、会場からは「ファイティン!」の声が贈られる。ただ、やはり飛ぶような動きはできないこと、他のメンバーとは少し異なる形で参加することが告げられたが、「できるだけたくさんのステージに参加したいです。もし途中で参加できなくなっても、300%の力でみなさんを幸せにします!」と宣言。その言葉にHUENINGKAIも「TOMORROW X TOGETHERは完璧なチームワークのグループなので、BEOMGYUがいないステージもがっかりさせません。約束します」と、絆の強さをきっぱり言葉にしてみせた。するとBEOMGYUの「MOA、愛してるで!」の言葉を皮切りに「0X1=LOVESONG (I Know I Love You) feat. 幾田りら [Japanese Ver.]」、「Devil by the Window」と豊かな表現力を見せつけるパフォーマンスが続いていく。

YEONJUN

 この日のライブのなかでも強いインパクトを残した一曲が「Sugar Rush Ride」だった。次々と水墨画のようなビジュアルが描き出されていく映像に合わせて韓国の伝統音楽を取り入れた太鼓のリズムが流れるなか、センターステージではダンサーによる伝統舞踊・プチェチュム(부채춤)のパフォーマンスが始まる。突然の荘厳な雰囲気に、何が始まるのかと息を呑む。すると韓服をアレンジした衣装に身を包んだメンバーたちも扇子を使って美しく舞い踊る。伝統楽器の音色やリズムを巧みにミックスしたアレンジで、よく知るはずのダンサブルな「Sugar Rush Ride」ではなく新たな曲に聴こえるほどの斬新な提示に、耳と目が驚いた。そのまま続いた「Farewell, Neverland」まで、強さと美しさが際立つステージだった。

BEOMGYU

 衣装を替え、再びステージに姿を現した5人は鮮やかなブルーが目を引く揃いのスカジャンスタイルに。ディスコティックな雰囲気に心も踊る「Chasing That Feeling」や会場中が歌って踊って盛り上がった「Magic」をパフォーマンス。前に披露した2曲とのコントラストも映える構成が観る者を飽きさせない。

 2曲が終わるとMCへ。「めっちゃ好きやねん」タイムから、ピース、ほっぺハート、手で顔を隠してからパッと現れてみたり次々繰り出していくと、会場には大きな歓声と拍手、メンバーを呼ぶ声が響く。そんな声を背にBEOMGYUが先導してメインステージへと歩いていく。ステージ上に出現したのは、駅のホームのようなセットだ。「みんな来て!」と駅のベンチに腰掛けたBEOMGYUが足をブラブラとさせながら、メンバーの到着を待つ。BEOMGYUを中心に全員が集まり、ペンライトを使ってメンバーとMOA、会場が一体となったコール&レスポンスを楽しむ(HUENINGKAIが作り出したコール&レスポンスは「TXTが! おらな! 絶対! イヤや!」としっかりと大阪仕様で、会場からは笑いに包まれていた)。

TAEHYUN

 そして、YEONJUNの「次のステージに行く準備はできた? ほな行くで!」の声に導かれて「New Rules」「LO$ER=LO♡ER」が披露され、間髪入れずに響いた「きっとずっと」のイントロに大きな歓声が起こる。HUENINGKAIが制作にも参加した、メンバーの思い入れも深いポップソングだ。「次の曲も全力で行こうか!」と言うBEOMGYU、大きなフラッグを振り回しているTAEHYUNも楽しそうだ。するとステージ袖に機関車を模したトロッコが現れ、メンバーが次々と乗り込んでMOAのもとへ。笑顔で歌を届けながらピストル型のクラッカーをぶっ放して笑うSOOBIN、BEOMGYU、HUENINGKAIの先頭車両、そして後続車両に乗り込んだYEONJUNとTAEHYUNも手を振ったり、指差しをしたり、ファンサービスに余念がない。

HUENINGKAI

 楽曲が「Force」へと切り替わっても近距離コミュニケーションを楽しむ5人の姿に、誰もが手を振り続ける。会場内を1周してメインステージに戻っていく。ゆっくりでも、一歩一歩前に進むBEOMGYUの足取りに不安はない。すると、メインステージでこの日初めて5人が横並びになる瞬間がやって来た。曲は「Thursday's Child Has Far To Go」へ。メンバー全員がタオルをブンブン回して会場全体を煽っていく。BEOMGYUが音に体を委ねる姿や軽くステップを踏む姿が目に入り思わず「おお」と声が出てしまった。その後続いたMCでは、「僕たちからサプライズ!」とHUENINGKAIがTUBEの大名曲「シーズン・イン・ザ・サン」をカバー! BEOMGYUの「一瞬、ここが神戸の須磨海岸かと思いましたよ〜」というローカルネタも盛り込んだひとことに、MOAたちからどよめきが漏れる一幕も。そんな会場の空気をスーッと落ち着かせたのは、星空が目の前に広がる演出がとてもロマンチックだった「Trust Fund Baby」。緩急あるセットリストで、グイグイと自分たちの世界観へ引き込んでいく構成はさすがの一言だ。

 そして、ユニットステージへ。BEOMGYU、TAEHYUN、HUENINGKAIのマンネラインが「Quarter Life」を、そしてSOOBIN、YEONJUNのヒョンラインは「The Killa (I Belong to You)」を披露。特にSOOBINとYEONJUNのパフォーマンスに宿る色気は凄まじく、腰を使った動きを見せるたびに会場内に歓声が響いたことはここに記しておきたい。その雰囲気を引き継いで、5人揃って「Back for More」と「Tinnitus」を届ける。スパンコールが煌めいたジャケットを効果的に使ったタイトな振り付けに加え、YEONJUNがジャケットを脱ぎ捨てたり、TAEHYUNがお腹をチラリと見せたり、アダルトな雰囲気も醸し出しながら、類稀なダンススキルと表現力で大人の顔を垣間見せてくれたブロックだった。

 スクリーンでは、これまでのTOMORROW X TOGETHERの歩みをコラージュした映像が流れる。このライブで「僕たちの夢がどう成長してきたのか」を示すと言っていた言葉が脳裏に浮かぶ。彼らは恐るべきスピードで、夢を現実のものにしてきた。しかし、そこには一人ひとりが表現したいことを極限まで突き詰め、一曲一曲をストイックに作り込み、積み上げてきた努力の過程を忘れてはならない。だからこそ今、彼らは世界で、そして日本で、ステージに立っている。どう成長してきたのかについては、彼らの成熟したパフォーマンス、表現している世界が何より雄弁に語っていると思う。すると「Are you ready?」という声と歪んだギターの音が空間にこだましていく。その後披露された「PUMA」、「Good Boy Gone Bad [Japanese Ver.]」、続く「Growing Pain」ではロックサウンドにフォーカスし、迫力あるサウンドに合わせたワイルドな表情とダンスで魅了。「Make some noise!」と煽るYEONJUN、スティックを用いてステージをぶち刺すようなパフォーマンスを見せたBEOMGYU、ギターを持って気骨溢れるパフォーマンスで圧倒したHUENINGKAI、狂気をも垣間見せた5人の表現力には拍手が贈られる。

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