THE ALFEE、“3人でいる必然”を見せたデビュー50周年記念ツアー 挑戦を続けるバンドの勇姿を観た

 遂に幕開けした高見沢俊彦(Vo/Gt)、坂崎幸之助(Vo/Gt/Per)、桜井 賢(Vo/Ba)によるロックバンド、THE ALFEEのデビュー50周年イヤー。4月よりスタートした全国22カ所、全28公演を行う春のコンサートツアー『THE ALFEE 50th Anniversary 風の時代・春 From the Beginning』は、どの会場もソールドアウト。後半戦に突入した5月26日、NHKホール2daysの2日目。 “今年初の真夏日”と言われたこの日の会場内の空気はさらに熱かった。各会場ごとに違うペナント型キーホルダーなどのグッズ販売や会場ごとに絵柄の違う記念スタンプの捺印場所などがあり、ロビー内もファンの人で溢れかえっていた。

 「お待たせしました、まもなく開演いたします」のアナウンスが流れると、自然と客席の手拍子が大きくなり、期待と興奮に包まれる。SEが流れ、スモークが立ち込める中、赤い照明に照らされたステージ中央後方に3人のシルエットが浮かび上がると高まる歓声と拍手。高見沢が高く指をかざし、自身がボーカルを取る「悲劇受胎(50th Anniversary Version)」で幕を開ける。

 1曲目にしてすっかりあたたまった場内にドラムロールが放たれ、スイッチボーカルのナンバー「FLOWER REVOLUTION」が始まる。メンバー3人が曲に合わせてジャンプ、サビでは客席も両手を交互に挙げてパフォーマンスに参加し、会場の一体感を作り上げる。素早く楽器をチェンジし、桜井がボーカルを取るハードなナンバー「Final Wars!」に。シルバー、レッド、ブルーのウルトラマンカラーの照明がビームのように煌めく。

坂崎幸之助

 冒頭3曲ですっかり熱くなった場内に歓声が響く中、坂崎がMC。前日の出来事を「今日のオープニングは何事もなく」といじりながら、「初めての方、ベテランの方、ステージで動き回る50年目の生のTHE ALFEEを堪能して欲しいと思います」とあいさつ。すぐに坂崎のシンセドラムが鳴り響き「シンデレラは眠れない」が始まると一段と盛大な歓声が上がる。

 1985年のヒット曲に続くのは、この時点の最新リリースのアルバム『SINGLE CONNECTION & AGR-Metal&Acoustic』のオープニングナンバー「この素晴らしき愛のために(2023ver)」。足でリズムを取ったり、飛び跳ねたり、ギターを弾きながらとは思えない躍動感を見せる高見沢。この動きを止めないで歌い続けるその体力には感心せずにはいられない。ステージが暗くなって美しいピアノのイントロが始まり、高見沢のエンジェルギターが点灯し、THE ALFEEを代表するナンバーとして高い知名度を誇る「星空のディスタンス」に。

高見沢俊彦

 曲が終わり、坂崎を残してメンバーがステージを一旦去る。観客に着席を促し、恒例のコンサート初参加の人を挙手させたり、春ツアーの参加状態を聞いたりといった、しばしの客席とのコミュニケーションタイム。「生ギターとボーカルをやっています、坂崎幸之助です」と自己紹介したあと、「そして!」のかけ声と共にムーディなピアノ音が流れる中、ステージ両端から高見沢と桜井が登場。「#自毛のたかみーです」「#古希手前、髭の桜井です」と自己紹介し、狩人の「あずさ2号」のサビを歌ったり、「おそ松くん」のイヤミの「シェー!」のポーズを取ったりと客席は笑いに包まれる。

 そして恒例の桜井営業部長によるグッズ紹介コーナーに。THE ALFEEが名誉船長を務める横浜の「帆船日本丸」で撮影したツアーパンフレットや50周年Tシャツ、お菓子「華麗なる一族」(カレー味のピーナッツ揚げ)、「メリーあん 極」(焼き菓子)などを紹介。客席を笑いに包みこんだ後は、バラードタイム。2022年のアルバム『天地創造』から現実世界のリアルな日常を描いた坂崎ボーカルの「My Life Goes On」、桜井が艶やかな声で歌い上げる切ない恋の歌「COMPLEX  BLUE-愛だけ哀しすぎて-」、東日本大震災後に最初に制作されたという希望を歌った楽曲「生きよう」を高見沢が力強く歌いあげる。

桜井 賢

 THE ALFEE の武器とも言える3人のハーモニーで客席を魅了し、一旦メンバーがステージを去る。

 その後レスポールを抱えて戻ってきた高見沢がMC。途中活動休止もなく50年間続けてきたため、誰よりも一緒にいることが長かったというメンバー。出会ってから初めて、2カ月間会わなかったのがコロナ禍だというエピソードを披露。久々にレコーディングで会ったときは「なんか恥ずかしかった」という微笑ましい話題も。「3人が出会いデビューして50年経った今、NHKホールでライブをしていること、皆さんに応援して貰えているということは嬉しいことですし、何より僕らの励みになっています。今となっては3人でいることは必然という感じです。運命とか宿命という言葉では表せない気がします」と高見沢が語る。東京では久しぶりだという、2001年のアルバム『GLINT BEAT』から「運命の轍 宿命の扉」で後半戦スタート。客席も一気に立ち上がる。文学的な歌詞と情熱的なメロディに力強い桜井のボーカルが響く、確かにいい曲だ。

 間髪入れずに1984年リリースのアルバム『THE RENAISSANCE』から、高見沢と坂崎の二声のコーラスから始まる、プログレッシブなナンバー「GATE OF HEAVEN」へ。複雑に展開する曲調に合わせて、次々に眩い照明が変わる。坂崎ひとりに照明スポットがあたりアコースティックギターの音色を奏でたあとに三声のコーラスが始まり「天地創造」、そしてステージに風の音が鳴り響き、本編ラストへ。かつて80年代のライブアルバム、ベストアルバム『EMOTIONAL LOVE SONGS』、30周年の記念ボックス『HIT SINGLE COLLECTION』のボーナストラックに収録された珠玉のラブソングでラスト一部の歌詞が変更された「LAST STAGE 2024」。歌詞にあるように〈時を唄い 夢を叫び〉〈痛みをすべて唄に託してきた〉THE ALFEEの50年の月日。そしてこれからもそれを続けていく決意を、力の限りシャウトする高見沢の姿から感じられたラストだった。「LAST STAGE」のSEが流れる中、3人は客席に深々と頭を下げ手を振りステージを後にした。

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