20th Century、アイドル最年長の極上エンタメ 少年隊から“友達の曲”まで楽しむ純粋な心

 地球に帰還してのアンコール1曲目は「ツラいチャプター」。会場を揺らすほどの爆発力を持つスカナンバーだ。客席後方までまわり、ファンと笑顔を交わす姿はとてもまぶしく、楽曲の持つパワーと歌詞の前向きさも相まって、会場全体がこの上ない幸福感に包まれていた。

 最後に一人ひとりがファンへメッセージを送った。長野は「宇宙にも付き合ってくれてありがとうございました。皆さん、噛み砕くのが早い! 本当に助かります(笑)」とファンへの信頼を言葉にする。そして、「ライブってやっぱりいいですね。何年かライブができない日々が続いたりとか、ライブをやっても『声を出しちゃダメですよ』なんてこともありましたけど、こうやって皆さんと会って、声を出して発散して、いろんなキャッチボールができて、お互いの笑顔を見ることができて……やっぱりライブって僕たちにとって、皆さんにとってもそうだと嬉しいんですけれども、すごく大切な場所だというのをあらためて感じております。ライブという場をこれからも大切に、できる限りステージに立ち続けていきたいなと思っておりますので、これからも応援よろしくお願いします!」と、ライブという場への熱い思いを共有した。

 井ノ原は、この公演に多くのメディアの取材が入っていることに触れ、「どうですか? このファンの盛り上がり! 僕もいろいろ観ていますけど、こんなに盛り上がるライブ、なかなかないですよ。すごい! エネルギッシュ!」とファンを誇らしげに語ると、会場は歓声と拍手に包まれる。「皆さんの一人ひとりの顔、後ろの方までしっかり見えてます。この会場、2400人くらい入るらしいです。2400人の人生があるんだな……と思いながら(笑)。今日来るのに大変な思いして来てくれた人もいるだろうし、本当にいろんな思いでここに集まってくれて、なんか奇跡を感じました。みんなでこうやってエネルギーの交換ができることをこのままずっと……このくらいのステップでよければいくらでもできるんで(笑)」と笑いを交えながらステップを踏む。さらに「ずっと、できる限り“アイドル”としてやっていきたいと思ってます。気づけば歌って踊るアイドルとしては最年長になっちゃいまして、後輩たちがすごく頑張ってくれているので、僕らは地道にみんなとのんびりライブできたらと思ってますので、これからもよろしくお願いします!」と、“アイドル”を続けていく意欲を力強く語った。

 最後に坂本は、「トニセンとしてライブをやらせてもらって、もう30年近く皆さんとともに時間を共有しているはずが、どんどん客席の声が若々しく聴こえて……正直すごいなと思いました。パワーの交換をし合えることで、お互い持ちつ持たれつ、元気よくいきたいと思います」「昨今は新しいもの新しいものを求めて、何か大事なことを見失っているような、心の中で止めるものがなくなっているような気がしてて。今回のステージをやらせてもらうときに、やっぱり偉大な先輩、そして素晴らしい楽曲たちがいるからこそ、僕らはこうやってステージに立たせてもらえてるんだなとすごく感じました。これからも新しい曲はもちろんのこと、素晴らしい楽曲を皆さんにずっとずっと届けていきたいと思いますので、これからも応援よろしくお願いします!」と、「古いものを歌い継ぎ、新しいものへ挑戦する」というトニセンの姿勢をあらためて示してくれた。

 ラストナンバーは、「皆さんを思って歌いたいと思います」というメッセージと一緒に歌われた「あなたと」。〈あなたがいることで どの道も次の笑顔へ 繋がっていく〉〈出会ってくれたこと ありがとう!〉と紡がれるこの歌は、トニセン3人の心からのメッセージであると同時にファンの想いでもあるだろう。感慨深げに、何かを確かめるかのように客席を見つめる彼らの表情が心に残った。

 全27曲が約2時間にぎゅっとおさめられた濃厚なライブだった。地球をとびだして宇宙へ――という大スペクタクルなストーリーにファンを導く演出は、ベテラン3人の高いエンターテインメントスキルと確固たる信念あってこそ成立するものだろう。懐かしい楽曲が並ぶセットリストにもかかわらず、トニセンが新しいフェーズに移行したように感じられたのは、新しい表現に挑み、新たな意味を生み出していたからだと思う。

 何よりも一緒に地球をとびだせる信頼関係に、トニセンとファン双方の深い愛情を見たような気がした。一貫して歓声と笑いにあふれているのに、その幸福感ゆえに泣きたくなるような気持ちにもなった。

 そして、アイドルとはエンタメによって夢と現実を繋ぎ、ファンに笑顔をもたらす存在であるということを、あらためて認識させられた至高のショーだった。

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