Hilcrhyme『リサイタル 2024』で踏み出した未来への一歩 “今”に続く15年が色濃く詰まった一夜に

「今もなお俺は“ツボミ”のままでいる。常に咲きたいと願ってる。日比谷。本当はアリーナでやりたかったよ。ドームでやりたかったよ。でもまだまだ先だよ。この気持ちがあるから俺はやってこれたと思ってるよ」

 メインステージへと戻った後は、たっぷりの感情を込めて「ツボミ」が歌われた。14年前の『リサイタル』では相棒であったDJ KATSUの弾くピアノとともに届けられた楽曲。その歴史を脳裏に思い浮かべながらも、TOCは力強く真摯なメッセージを飛ばす。まるでツボミのように握りしめられたオーディエンスの“コブシ”が無数に突き上げられる中、TOCは今のHilcrhymeとして、この先に満開の花を咲かせることを誓ってみせた。そして、Hilcrhymeのメジャーデビュー曲であり、感動的な大合唱を巻き起こした〈相思相愛〉ソング「純也と真菜実」と、彼らをブレイクへと導いた大ヒットナンバーであり、「受け継がれていってほしい。聴き継がれていってほしい。そして歌い継がれていってほしい。そうやってずっと残っていけば俺は最高に幸せです」という思いを込めた「春夏秋冬」を日比谷の空へと高らかに響き渡らせてライブはエンディングを迎えた。

 「終われるわけがない。体力残ってますか? そう。これは2010年じゃないぜ。はじめよう、『リサイタル 2024』」という言葉と共にスタートしたアンコールは、15周年記念ベストアルバム『BEST 15』シリーズに収録された「Killer Bars」「ドラマ」という最新のHilcrhymeを提示する楽曲でスタート。「夢見る少女じゃいられない MASH UP」ではゲストである相川七瀬が登場、熱量の高いロックなツーボーカルでの掛け合いに会場が猛烈な興奮に包まれる。

 続く「事実愛 feat. 仲宗根泉(HY)」ではHYの仲宗根泉が心に染みる声を切なく添えていく。手を繋ぎ、目を合わせながら歌う2人の姿に、オーディエンスはグッと惹きつけられた。豪華ゲストの登場に興奮冷めやらぬ会場だったが、TOCはさらなるサプライズを用意していた。それが新曲「24/7 LOVE」。「15年経ってようやく書けたなという曲です。ファンのみなさんに宛てた曲です。24時間、7日間。俺は常にあなたたちを思って歌詞を書いています」というTOCからの思いを、その場にいるすべてのヒルクライマー(Hilcrhymeファンの呼称)たちがしっかりと胸に刻みつけた。

 椅子に座ったリラックスしたムードで、Hilcrhymeとしての居場所をあらためて提示した「My Place」の後は、最後のゲストとして、Hilcrhymeのアニバーサリーライブには欠かせない存在であり、TOCと同郷・新潟出身であるHIKAKINがステージに現れ、強烈なビートボックスで参加。「Technical」と「らいおんハート」(RAPカバー)を息の合ったパフォーマンスで披露し、割れんばかりの大歓声を巻き起こした。そしてラストナンバーとして選ばれたのは「大丈夫」。まるで未来を照らすように煌々と輝く照明の中で届けられたHilcrhymeからのエールに、オーディエンスはOKサインを掲げてレスポンスする。そんなピースフルな光景でライブは大団円を迎えた。

 ステージからの去り際、「16年目に向けて歩んでいきましょう。2024年、秋に会いましょう!」という一言を残したTOC。その言葉を受け継ぐように、ライブ終了直後には10月から12月まで続く全国ツアー『Hilcrhyme TOUR 2024』の開催と、ニューアルバムの情報が発表された。7月15日にメジャーデビュー15周年を迎えるHilcrhyme。その歩みはひと時も止まることなく、ここからも力強い足取りで続いていく。

Hilcrhyme Official Site

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