新しい学校のリーダーズ、時代の寵児としての存在感 『AG! Calling』に凝縮された強みや繋がり

リーダーズ、時代の寵児としての存在感

 新しい学校のリーダーズの3rdフルアルバム『AG! Calling』が素晴らしい。

 前作『若気ガイタル』から約5年ぶりのフルアルバム。その間に状況はガラッと変わった。海外で着実に支持を広げ、国内でも一躍ブレイクを果たし、いまや時代の寵児となった。そんな新しい学校のリーダーズにとって、新作はグループの勢いを裏づける作品としての“説得力”を示す1枚だ。そういう意味では結成10年目となるグループにとって、改めて名刺代わりのアルバムと言っていい。

 振り返れば、米レーベル 88risingと契約し“ATARASHII GAKKO!”名義で世界デビューを果たしたのが2021年のことだ。そこからグループは覚醒とも言っていい変貌を遂げてきた。88risingが主催する『Head In The Clouds Festival』を筆頭に数々の海外フェスに出演し、オーディエンスのハートを掴んできた。マニー・マークがプロデュースを手掛けた2021年のEP『SNACKTIME』からは楽曲制作にメンバー自身が深く関わるようになり、「Pineapple Kryptonite」など数々のライブアンセムを育ててきた。

 そうして着実に海外での支持を積み重ねてきた一方で、昨年には国内でも一躍ブレイクを果たした。2020年にリリースした代表曲「オトナブルー」の“首振りダンス”がTikTokでブームを巻き起こしたことをきっかけに、ムーブメントは大きく広がった。同曲はBillboard JAPANの2023年年間チャート「Heatseekers Songs」の首位を獲得。『第74回NHK紅白歌合戦』に出演し、1月には初の武道館公演を成功させた。

 今年4月に『Coachella Valley Music and Arts Festival 2024』にGOBI STAGEのトリとして登場し見せたパフォーマンスも圧巻だった。生身の迫力を見せつけ、コール&レスポンスを巻き起こし、オーディエンスを巻き込んでいくステージ。先日、スペイン・バルセロナで開催された『Primavera Sound Barcelona 2024』でも大きな熱狂を呼んでいた。

 そういうわけで、新作『AG! Calling』を一聴して感じたのは、そうした今の新しい学校のリーダーズの躍進を巡るいくつかの音楽的な文脈をひとつの軸に凝縮させるような1枚になっている、ということだ。

 ひとつはATARASHII GAKKO!としてのここ最近の海外でのライブの最も強力な武器となっている、衝動的で畳み掛けるようなエレクトロポップのサウンド。もうひとつは、デビューからグループのアイデンティティとなり「オトナブルー」でも前面にフィーチャーされた、日本においての代名詞となっている昭和歌謡のテイスト。さらにもうひとつは、88risingを拠点に生み出してきたアジアのアーティストとの繋がりや連帯。そういうものが渾然一体となって、ひたすら興奮をもたらすような仕上がりになっている。

 収録曲は全11曲。全曲のソングライティングにメンバー自身が関わり、様々なプロデューサーを迎えたバラエティ豊かなラインナップだ。そのうち「Fly High」、「Toryanse」、「Omakase」、「Arigato」、「Hero Show」、「Tokyo Calling」という6曲で、yonkeyとYoshio Tamamuraがプロデューサーとしてクレジットされている。

 Klang Rulerのボーカリストでもあるyonkeyは「オトナブルー」の作曲を筆頭にこれまで新しい学校のリーダーズの数々の代表曲を手掛けてきたソングライター。エレクトロニックミュージックやヒップホップの先鋭的なサウンドと歌謡曲をルーツに持つメロディという、そのセンスは新しい学校のリーダーズにとっても大きな武器となってきた。

 特に「Fly High」や「Toryanse」や「Tokyo Calling」のブリーピーなシンセサウンドと四つ打ちのビートというサウンドプロダクション、歌よりシャウトを前面に押し出したボーカルスタイルは、今の新しい学校のリーダーズにとっての“ど真ん中ストレート”という感じがする。アルバムでもこれが1曲目、2曲目、そしてラストと、核となる場所に置かれている。

ATARASHII GAKKO! - Fly High (Official Music Video)

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