音尾琢真、ロックで奏でる自身のすべて 好きなものを詰め込んだツアー『This is Who I am』初日レポ

 TEAM NACSのメンバー5人各々によるソロプロジェクト第2弾が進行しているなか、ライブツアー『This is Who I am』をスタートさせた音尾琢真。これまでのTEAM NACSのイベントや番組のために彼が生み出してきた楽曲の数々が、バンド編成のアレンジで各地を巡る。5月11日、神奈川・横浜ベイホールでの初日公演は、大盛り上がりとなった。その模様をレポートする。

 開演を告げるSE「月の裏で」が流れ始めた直後から、この空間にはTEAM NACSと音尾の熱いファンが会場に集まっていることが本当によくわかった。スピーカーから流れてくる曲に合わせて手拍子をして、合いの手のコールを入れたりもする観客の盛り上がり方がものすごい。土屋佳代(Key)、伊藤千明(Ba)、渋谷憲(Dr)に続いてステージに現れた音尾は、手にしたカメラでフロアの風景やメンバーたちを撮影。パシャパシャとシャッターを押すたびに賑やかな歓声が上がる。そして着ていたジャケットを脱いで丁寧に畳んだ彼は、白い長袖シャツを腕まくりして愛用のストラトキャスターを手にした。オープニングを飾ったのは、「冬歌」。オーガニックなレゲエ風味のサウンドが穏やかな手拍子を誘い、コール&レスポンスが醸し出すムードが明るい。2曲目「きみにキャッチュー」は、夢中になって踊る人々の姿が、とても平和な風景を作り上げていた。

 2011年と2014年にもライブを開催したことがある音尾だが、本人名義なのは今回のツアーが初。「1970年の全米のライブハウスを席巻した伝説の日系人ロックスターOttey Ottoman(オッティ・オットマン)」に扮した過去の公演についてMCで触れた彼は、「役者なので素の状態を観てもらう機会は少ないんです。TEAM NACSのなかにいると特にそうなる。あの人たち、よく喋るから(笑)。僕の好きなものを詰め込んだおもちゃ箱みたいなライブにしたいと思います」と今回のツアーの主旨を語りつつ、オッティ・オットマンの曲もたくさん届けてくれた。ストラトキャスターからテレキャスターに持ち替え、ブルージーなギターサウンドを奏でながら歌った「Come fly with me」を皮切りに「Who are you」「I don't know why」「Trouble」……渋いアメリカンロック的なバンドサウンドがかっこいい。時折披露するギターソロも、観客の大喝采を浴びていた。

 土屋によるピアノ伴奏で届けられた「I’m Ottey Ottoman」を経て、音尾のソロのコーナー。アコースティックギターを弾きながら歌った「月の裏で」は、観客の大合唱が加わった。「みんなすごい! そんなに歌ってくれるのかい?」「嬉しいよ。精鋭たちが集ってます!」と大喜びした彼は、「おねがい!NACS SUMMER!」と「ぼくらのキセキ〜five goes on〜」も披露。アコースティックギターによる複数のフレーズ、ボディを叩いて鳴らしたビートをルーパーで重ねてバッキングトラックを構築しながら歌う姿でも楽しませてくれた。

 バンドメンバーたちがステージに戻ってきて、再び4人編成となってからは、エネルギッシュなナンバーが連発された。頭上で手拍子をする観客の熱量がバンドサウンドを美しく彩っていた「勇気の翼」。ハンドマイクで歌いながら踊る音尾に刺激されて、サンバカーニバルのような開放的なお祭りムードが生まれた「Samba de kanemocchi」。そして「夏のご褒美」の瑞々しいサウンドが、本編を締め括った。

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