2024.05.14 18:00

フィリピン音楽シーンのトップを突き進むFELIP　新曲「Fake Faces」に込めた“自分を愛する”メッセージ

文・取材＝まつもとたくお、写真＝林将平

新曲「Fake Faces」に込めた想い――「とにかく自分を大事にして愛してほしい」

FELIP - 'Fake Faces' Official Music Video

――現時点での最新曲は「Fake Faces」ですが、前作に引き続いてロックをベースにした音作りですね。クリエーターズレーベルの153 / Joombas Music Groupの創設者であるヒョク・シンが制作に参加しています。数々のビッグネームを手掛ける彼とのコラボレーションはどうでしたか？

FELIP：最高でした。あまりにも有名な方なので、最初は緊張しながらやりとりをしていましたね。だってヒョク・シンさんが手掛けた人たちは、ジャスティン・ビーバー、EXO、NCTなど例を挙げればきりがないほどで、そのどれもが有名じゃないですか。そういう方と一緒に制作するので、本当にテンションが上がりました。彼との曲作りは順調でしたし、クリエイティビティの高さを間近で感じて、やっぱり天才だなと再認識しました。数時間で自分がやるべき仕事を終え、その翌日にはレコーディング。作業は段取りがよくて、それでいて緻密で、言葉の乗せ方にも徹底的にこだわる。こういう人だからこそビッグになるんだなと痛感しましたね。

――FELIPさんは今回作詞に参加していますね。どのようなメッセージを込めましたか？

FELIP：人間は誰かを利用しがちな生き物です。さんざん利用しておいてメリットがなくなったと思ったら、パッと消えてしまう人もいます。そのような内容を歌ったこの曲でリスナーに訴えたかったのは、こんなタイプの人間は世のなかに山ほどいるし、こちらから手を差しのべる必要もない。とにかく自分を大事にして愛してほしいという思いを込めました。

――以前から日本の文化に関心があると聞いています。『黒子のバスケ』に登場する青峰大輝にインスパイアされた楽曲「SUPERIORITY」や、日本で撮影した「STRAYDOGS」のMVなど、日本を意識した楽曲も出していますよね。

FELIP：はい、日本の文化は大好きです！　特に『ONE PIECE』、『ハイキュー!!』、『鬼滅の刃』はマンガを読んで、アニメも観たほどのお気に入りです。奥行きのあるストーリー展開も面白いですし、“苦痛があってこそ愛がある”というメッセージにも影響を受けました。日本のアニメからはいろいろなものを学んだので、それが反映されているオリジナルソングは多いですね。

FELIP - 'STRAYDOGS' Official Music Video

――それほど日本のマンガやアニメにハマっているのであれば、「STRAYDOGS」のMVの撮影のために初めて来日したときは感激したのではないですか？

FELIP：もちろん！　「僕の夢の国だー！」って叫びました（笑）。

――であれば、日本ではコミックスやアニメの関連グッズをたくさん買いたいでしょうね。今回の来日ではそういった時間は取れそうですか？

FELIP：それがずっと仕事なんです。本当は観光もしたいのですが……。「STRAYDOGS」のMV撮影の時は、アニメ版『SLAM DUNK』のオープニングシーンに出てくる鎌倉の踏切に行けて嬉しかっただけに、残念ですね。（スタッフに向かって）なんとかならないでしょうか（笑）？

――（笑）。では最後の質問になります。FELIPさんにとって“音楽”とは何ですか？

FELIP：音楽は僕のすべて。僕の命です。これからどのように進むべきかなんてことを考えるまでもなく、音楽についていけば大丈夫って思っています。だからミュージシャンとして人生を終わらせたいし、ひとりのアーティストとして音楽を作りながら天寿をまっとうしたい。それが最高の生き方なんじゃないかと考えています。音楽は自分にとって橋のような存在で、渡れば未知の世界へ行けるものだし、言語でもあるんです。でも、もしリスナーが歌詞の意味を理解できなかったとしても構いません。理解しようとするんじゃなくて感じてほしい。音楽とはそういうものです。音楽は僕のすべてなんです。