乃木坂46 山下美月だけじゃない 与田祐希、久保史緒里、遠藤さくら……俳優としても輝くメンバー

 さて、現在の乃木坂46は山下以外にも俳優として活躍しているメンバーが多く、山下と同期の与田祐希は、ドラマ初挑戦となった2018年『モブサイコ100』(テレビ東京系)では、主人公のクラスメイト役で、天然かつ学校ではアイドル的な存在という、与田のアイデンティティとも言えるコケティッシュで小悪魔なかわいらしさ全開の役柄を演じた。2020年の映画『ぐらんぶる』では、“クーデレ”(クール+デレ)な美少女として、金属バットを振り回し、口に含んだ水を吹きかけたり、全裸の男を踏みつけたりとドSキャラを爆発させ、コメディエンヌとしても開花。2021年『日本沈没-希望のひと-』(TBS系)では、未曾有の事態に挑む主人公たちが一息つける居酒屋の看板娘役。そして、与田の当たり役となった2022年の主演ドラマ『量産型リコ -プラモ女子の人生組み立て記-』(テレビ東京系)は、やることなすことすべてが平均的なごく普通のOLが、プラモデル作りを通じて少しずつ成長していく物語。与田のもともとのキャラクターをOL奮闘記にしっかりと落とし込み、視聴者が応援したくなる主人公・小向璃子役を演じ上げた。翌年には同作のもうひとつの世界線の『量産型リコ -もう1人のプラモ女子の人生組み立て記-』(テレビ東京系)でも主演を務めた。与田は自分のキャラをしっかりと生かし自然体で元気を与えてくれる俳優だ。だからこそ、逆に悪役やセクシーなギャップのある役を演じたらどうなるのか。善悪どっちに転んでも役者としての可能性は無限大である。今後の活躍が大いに期待される。

木ドラ24『量産型リコ -プラモ女子の人生組み立て記-』
予告映像 | 6月30日(木)深夜0時30分スタート | テレビ東京

 3期生のなかで最近演技面での頭角を表してきたのが、2023年のNHK大河ドラマ『どうする家康』にてグループ初の大河ドラマ出演を飾った久保史緒里。久保といえば肌の白さと透明感ある容姿で、自他ともに認める幸薄顔が特徴的だが、連続ドラマ初主演となった2021年の『クロシンリ 彼女が教える禁断の心理術』(カンテレ・BSフジ)では、他者を意のままに支配するブラック心理術を操るドSな魔女・クロノサキを演じ、2022年には初主演映画『左様なら今晩は』で幽霊役を演じた。2023年の映画『探偵マリコの生涯で一番悲惨な日』では、売れないホストに熱を上げるキャバ嬢という役を務めたことも印象深い。豊富な舞台経験に裏打ちされた演技力があるからこそ、特徴的な役のほうが久保にはハマる。だからこそ時代劇は久保に持ってこいで、前述の『どうする家康』での織田信長の娘・五徳(徳姫)役では、徳川家に入りながらも信長の娘としてのプライドが高く、美しい容姿とは裏腹に気性の激しい性格の演技を見せ、高い評価を得た。美しくも影のある役は久保の代名詞とも言えるが、もちろん純愛ラブストーリーや直近の朝ドラのように近代レトロな作風も似合うはず。今後もさまざまな役に起用されていくと予想される。

映画『探偵マリコの生涯で一番悲惨な日』予告篇(2023年6月30日公開)

 4期生のなかで俳優として期待されているのが4期生の遠藤さくら。地上波ドラマ初出演した2022年の『もしも、イケメンだけの高校があったら』(テレビ朝日)では、イケメン強豪校で誰もが振り返るような美少女ヒロインを演じた。翌年にはNHK連続テレビ小説『らんまん』に、主人公の万太郎と妻・寿恵子の娘・千歳役で出演。裕福ではないけれど真っすぐに育てられた母親譲りのしっかり者という、ピュアな存在を演じた。同年放送のドラマ『トラックガール』(フジテレビ系)では、それまでと一転したトラック運転手を演じ、仕事のあとのビールを美味しそうに飲むなど、ワイルドな役にも挑戦している。役者としてはまだ未知数な部分もあるが、どこかグループ在籍時代の西野の姿と重なる部分もあり、俳優として演じるキャラクターに固定された色がなく、毎回その役になりきろうと頑張る姿には親しみやすさを感じる。遠藤も、七瀬のような演技面での可能性を秘めていると言えるだろう。

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 4期生には、賀喜遥香が2022年のドラマ『最初はパー』(テレビ朝日系)でコメディエンヌとしての才能を開花させたり、個性派揃いの5期生にも、今後俳優としての才能が開花していくメンバーも間違いなく出てくるはず。乃木坂46は、数多いアイドルグループのなかでも特に多くの俳優を輩出し、在籍時にその才能を光らせ、卒業後も主演級として活躍している元メンバーも少なくない。もはや乃木坂46は新たなる俳優を育成/発掘する場としてドラマや映画界において多大なる影響を与えているグループだと言えると思う。

 先輩たちが切り開いた道を受け継ぎ、山下に次ぐ乃木坂46の看板役者は一体誰になっていくのか、楽しみだ。

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