慎吾ママの活躍から新たな気づきまで 稲垣吾郎、草彅剛、香取慎吾『ワルイコあつまれ』真の面白さ

過去の名作に触れるきっかけとなる『芸能界むかしばなし』

 そして、この日最後のコーナーとなったのが、稲垣が名優の物語を読み聞かせしてくれる『芸能界むかしばなし』。稲垣の落ち着いたトーンの声で読み上げられる朗読はかねてより定評のあるものだが、子どもに絵本を読んであげるように語りかける口調は、さらに柔らかく、スッと頭の中に内容が入ってくる感覚がある。

 今回彼が聞かせてくれたのは、1998年に紫綬褒章、2006年に文化功労者、2013年には文化勲章を受章した日本を代表する名優・高倉健の物語。大人世代なら誰もが知るビッグ俳優だが、83歳でこの世を去ったのが2014年11月と、気づけば別れからまもなく10年が経とうとしている。子どもたちからすれば『むかしばなし』と同じような感覚になってしまうのも無理はない。

 まるで桃太郎のようにして語られた高倉健の物語だが、そのエピソードは大人にとっても学びの多いもの。なかでも、1966年公開の映画『網走番外地 大雪原の対決』での縄に縛られて馬に引きずられるシーンでは、人形やスタントマンではなく「自分でやる」と宣言し、体中血だらけになりながら撮影したのだという逸話には脱帽だ。そうしたリアリティを追求するストイックな姿勢を持った俳優が日本にいたということは、どんなに時が流れても語り継いでいきたいところ。

 それと同時に、その作品についての情報がすぐに手に取ることができる世の中になっているのも感慨深い。早速ネットで検索したところ、本作のプレビュー映像がアップされており、例のシーンの迫力に圧倒される。さらには、そのままレンタル視聴することも可能だ。

 次々と新たな作品が生み出され、多くの情報が氾濫している現在に、何十年も前の名作に触れるタイミングというのはなかなかないかもしれない。しかし、この『芸能界むかしばなし』を通じて名作と出会いを果たすというのもいいきっかけになるのではないだろうか。

 『ワルイコあつまれ』が特番として初めて放送されたのが2021年秋のことだった。そしてレギュラー番組になったのが2022年4月から。2年のあいだに実にさまざまなコーナーが生まれた。今回の放送にはなかった『子ども記者会見』などの名物コーナーもぜひチェックしてもらいたい。『ワルイコあつまれ』は、歴史や化学を身近に知ることができたり、社会について考えさせられたりと、日々を豊かにしてくれるきっかけで溢れている。

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