Novel Core、誰かを救う“HERO”になるまでの軌跡 初の日本武道館ワンマンを振り返る

 披露された“大事な曲”とは、SKY-HIの「Over the Moon」。〈派手に転んだらさ/足下に月がいた〉――この歌詞は、「SOBER ROCK」の〈寧ろ派手に転ぶ方がRight way〉の引用元でもあるという。歌詞に合わせて、舞台上のスクリーンには月が浮かぶ。曲が終盤になると、ステージが虹色のライトに照らされる。まるで、苦難を乗り越えた末に憧れの先輩と同じステージに辿り着いた、Novel Coreの軌跡を表しているようだった。

 さらに、「Letter」「EVE」といった家族への感謝を綴った楽曲を、言葉の一つひとつを噛みしめるように届けていく。この日を迎えられたことに「自信持って言えるよ、幸せです。ありがとう!」と告げると、その喜びを表すように「Green Light」を明るくパフォーマンスした。

 終盤では、音楽の道を志したきっかけが合唱コンクールで指揮者を務めたことだったと話し、そこから指揮者を目指すも挫折、ラップに辿り着いたと語る。「夢、叶えていい?」と告げたNovel Coreは、合唱アレンジが施された「THANKS, ALL MY TEARS」「ジェンガ」を披露。ステージ背後のスクリーンには一緒に曲を歌う専門学生たちの映像が映され、時折スクリーンにも顔を向けながら、大勢で一緒に歌える喜びを全身で感じているように見えた。

 「しんどくなったら人を頼ってください。ひとりで生きていこうなんて思わないでください」と、オーディエンスへ向けて語ったNovel Core。「『この人なら信じていいかな?』という人を探してください。いないなら、俺がその1人目になります」。そう優しくメッセージを送ると、客席の一人ひとりを見回しながら、ラストに「HERO」を届ける。スマートフォンのライトで美しく照らされた会場を見て、Novel Coreは「俺はこの景色を忘れません。また絶対武道館に戻ってきます」と宣言した。

 「あなたのHERO、Novel Coreでした」と告げて彼がステージから去ると、スクリーンに浮かび上がったのは“I AM THE HERO at BUDOKAN“の文字。ライブタイトルに、公演開始前にはなかった“HERO”の文字が付け加えられていた。

 「I AM THE」で始まって「HERO」で終わった、自身初の武道館公演。このライブは、Novel Coreというひとりのアーティストが、SKY-HIという“HERO”に出会い、夢を叶えて今度は自分が“HERO”になるまでの軌跡を描いたものだったのだと思う。そして、次は私たちの番だと伝えてくれているように感じた。「HERO」では〈夢を見て 躓いた君の目は僕によく似ていたんだよ〉と歌われているが、この歌詞は自身のことを歌っているようにも、私たちに語りかけられているようにも思える。誰でも“HERO”になれる――ライブを観て、そんなことを教えてもらったような気がした。

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