Omoinotake、『Eye Love You』主題歌が放送重ねるごとに話題に ヒゲダン「Subtitle」との共通項も?

 このように、楽曲の全貌がリリースから少し経ったあとに解明されていく仕掛け。もちろんキャッチーなメロディや聴き心地の好いサウンドなど、このヒットは彼らの音楽的なセンスあってこそのものではある。そうした点に加えて、連続ドラマとのタイアップというフォーマットを存分に活かしたギミックによって楽曲人気を押し上げているのだ。現在各種チャートに表れているロングヒットの兆候は、まさにOmoinotakeのソングライティングの妙によるものと言えるだろう。

 Omoinotakeといえば、メンバーが3人とも島根県出身で、Official髭男dismと同郷のバンドとして知られている。Omoinotakeはギターのいない特殊な編成で活動しているが、ヒゲダンと同様にピアノを主軸としたスタイルで、音楽性は基本的にソウルやR&Bなどを下地としたJ-POPであるなど、共通点も少なくない。

 思えば、ヒゲダンが一昨年リリースした「Subtitle」もドラマ『silent』(フジテレビ系)の主題歌としてヒットした曲だった。以来、音楽シーンではここ1、2年ほどドラマ主題歌の目立ったヒットがなかったが、ここへきてようやく「幾億光年」が注目を浴びている。まるで同郷のヒゲダンからオモタケへとバトンが渡されたかのような胸アツ展開ーーといった見方は、少々こじつけが過ぎるだろうか。

Official髭男dism - Subtitle [Official Video]

 そもそも、この「幾億光年」のサビ直前の〈デイバイデイ〉でリスナーを引き込むテクニックはヒゲダンの「Pretender」の〈グッバイ〉を思い起こさせるし、イントロなしでボーカルとピアノの伴奏から始めるのは「Subtitle」とも重なる。また、「Subtitle」もドラマの主人公ではない相手視点でも捉えることのできる楽曲で、バンドの新たな王道を打ち立てた楽曲だった。

 Omoinotakeが、この「幾億光年」で見せたソングライティングは、今後の大ブレイクを予感させるものだ。おそらく視聴者も「Omoinotakeの主題歌でもっといろんなドラマや映画を観たい」と思っているに違いない。タイアップ作品に寄り添った抜群のテクニックを見せる両バンドが、揃って日本の音楽シーンを盛り上げる日も近いだろう。

※1:https://realsound.jp/movie/2023/12/post-1509555.html

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