宇多田ヒカル、三浦大知、千葉雄喜、Aimer、ヤングスキニー、WOLF HOWL HARMONY……注目新譜6作をレビュー
Aimer「800」
映画『マッチング』主題歌としての書き下ろし新曲。タイトルの数字は“きわめて多い数”、そして“嘘”の象徴で、誰を信じていいかわからないサスペンススリラーの世界をさらに盛り上げる歌詞の内容だ。サビの熱唱部分はもちろんグッと胸に迫ってくるが、何度も聴き返すうち、震えるビブラートがすっと消える、歌い終わりの寂しさがきわめて魅力的だと気づく。歌う直前のブレスで耳を惹きつけるシンガーが存在するように、Aimerは、歌が無音に消えゆく瞬間がとてつもなくいい、と思わせる声の持ち主。ゆえに白眉はラスト。〈偽らない予感を〉から〈信じたくて〉に切り替わる歌唱の違いと、最後の〈て〉が消えていくまでの数秒間に、心底ゾクゾクする。(石井)
ヤングスキニー「ベランダ feat. 戦慄かなの」
3月13日発売の2nd EP『不器用な私だから』からの先行配信。ヤングスキニーにとっては初めての客演曲だが、ソウルを経由した柔らかい鍵盤の響き、ヒップホップに寄せたビートの作り方、ラップ風パートの導入など、曲調そのものがかなり新鮮。熱いロック魂をゴリ押ししないヤングスキニーの柔軟性が吉と出ている。歌の主人公は、恋人がベランダで煙草を吸うたびに心を小さくすり減らしている〈私〉。異性を客演に迎える際、すれ違う男女の視点をここぞとばかりに強調する歌詞は多いが、かやゆー(Vo/Gt)はこのようなコラボでもあくまで女性目線の〈私〉のまま筆を走らせるのだ。作詞家としてのこだわりを強く感じる。MVにはかやゆーと戦慄かなのも登場し、それぞれいい表情を見せてくれている。(石井)
WOLF HOWL HARMONY「Frozen Butterfly」
LDH史上最大規模のオーディション『iCON Z ~Dreams For Children~』のファイナリストであるGHEE、HIROTO、コーラスグループ DEEP SQUADとしても活動しているRYOJI、SUZUKIを加えた4人組ボーカル&ラップグループの2ndシングル。各チャートで好成績を記録した前作「Sweet Rain」と同じくT.Kura、Chaki Zulu、DJ DARUMAがプロデュースした「Frozen Butterfly」は、緻密に構築されたリズムトラックと心地よい浮遊感をたたえたサウンドが溶け合うミディアムチューン。官能的なイメージと爽やかな解放感を含んだリリックを立体的に描き出す4人のラップ、ボーカルからは、このグループのポテンシャルの高さが伝わってくる。マチズモを排し、しなやかな身体性を感じさせるMVのパフォーマンスも好感度大。(森)
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