「オトナブルー」楽曲提供で脚光 yonkey率いるKlang Ruler、昭和歌謡好きが沼るポップソングの魅力

 そんなKlang Rulerの楽曲のなかでも、特におすすめの楽曲を紹介したい。

Klang Ruler feat. Rin音 - ビビデバビビ (Official Music Video)

 まずは、Klang Rulerのメジャーデビュー曲で、Rin音がフィーチャリングされている「ビビデバビビ」。この楽曲は、キレのあるビートとユニークな歌詞が印象的なダンスナンバーだ。「ビビデバビビ」という遊び心あふれる楽曲タイトルに象徴されるように、おもちゃ箱をひっくり返したような言葉選びと、思わずリズムに乗って体が動いてしまうようなトラックが魅力である。楽曲の世界観を見事にビジュアライズしてみせたカートゥーン調でポップなMVも必見だ。

Klang Ruler - ジェネリックラブ (Official Music Video)

 続いて紹介したいのは、Klang Rulerの6枚目の配信限定シングルで、決して叶うことのない儚い恋を描いた「ジェネリックラブ」。yonkeyとやすだちひろの掛け合いが楽曲のテーマでもある男女のすれ違いを効果的に描き出すKlang Rulerらしい一曲だ。サウンド面では、80’sなレトロフューチャーサウンドがデジタル時代の切ない気持ちを立体的に演出しており、楽曲トータルの世界観を下支えしている。どことなく漂う懐かしさと、近代的な目新しさが共存する一曲だ。

Klang Ruler - Set Me Free (Official Music Video)

 そして、「オトナブルー」でも参照した歌謡曲の要素が色濃く反映されているのが、7作目の配信限定シングル「Set Me Free」。「ジェネリックラブ」でも特徴的だったシンセウェーブな音像を踏襲しつつ、昭和のアイドルを思わせるキャッチーなサウンドに仕上がっている。〈今すぐSet Me Free〉という耳に残るキメフレーズが繰り返されるところも歌謡曲的アプローチと言えるだろう。ややダークでホラーテイストな楽曲でありながら、抜けのある清涼感も担保するyonkeyの優れたバランス感覚が際立つ一曲である。

Klang Ruler - グッバイワールド(Official Music Video)

 最後に紹介したいのは、Klang Rulerの最新配信限定シングルで葛藤を繰り返しながらも前進する決意をテーマにした「グッバイワールド」だ。前作「飛行少女」のアンサーソングに位置づけられたこの楽曲。「飛行少女」で素直になれず疎外感や人間関係のわずらわしさを感じていた少女が「グッバイワールド」では自分自身と向き合い、一歩ずつ前進していく姿を見せる。そして、スペーシーで壮大なスケールを感じさせるサウンドと切迫感のある歌詞が「飛行少女」から続くストーリー性をさらに高めている。それでも「グッバイワールド」のメッセージは、楽曲のストーリーのなかに閉じることなく、楽曲を聴く私たちにも投げかけられており、リスナーの背中を押してくれる応援歌にもなっている。

 このようにyonkeyは、Klang Rulerのメンバーとしても、さまざまなアーティストに楽曲提供するプロデューサーやトラックメイカーとしても、多彩な音楽を生み出してきた。「オトナブルー」のヒットによって、yonkeyの名前は一躍有名になったが、彼のキャリアはまだまだ始まったばかり。

Klang Ruler - iCON (Official Music Video)

 2020年にリリースした「iCON」では、〈人生全額ベット/どうせ死ぬまで迷路/手伸ばし夢見る成功/ICON奪うぜ俺たち〉とバンドとして進むことへの覚悟と野望を力強く宣言。彼らが定める目標はまだまだ高い場所にあることが窺える。yonkeyがこれからどんな音楽を生み出していくのか注目と期待が高まると同時に、彼が率いるKlang Rulerも個性が際立つバンドとしてますます輝きを増していくだろう。

※1 https://realsound.jp/2020/02/post-511206_3.html

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