星野源、感覚に直結した言葉とサウンド 「光の跡」は追い込まれた先で自信を深めた1曲に

学生時代から東京ドームまでつながるオードリーの姿

ーー続いては『オードリーのオールナイトニッポン in 東京ドーム』の主題歌「おともだち」について、まず歌詞に関してはオードリーのお二人のどんな部分を描きたいと思いましたか?

星野:お笑いコンビの印象ってその年代によって変わってきていると思うんですけど、特に昨今は仲の良さが求められている気がしていて。でも若林(正恭)さんはそこに対して苦言というか、「それは違うんだ」っていうことを何度も言っているんですよね。僕はオードリーの二人と話したときに思ったことがあって、それに基づいて歌詞を書いていったところが大きいです。それと同時に、オードリーのことを全く知らない人が聴いたときにも「友達ってこういうものだよね」「こういう友達っていたよね」みたいに伝わるものにしたいと思って。その結果こんな歌詞になりました。

ーートークバラエティ番組『LIGHTHOUSE』(Netflix)で若林さんと対話を重ねたことは「おともだち」の歌詞を書くにあたって影響を及ぼしていますか?

星野:それはすごく大きいんですけど、実は『LIGHTHOUSE』のなかでコンビ間の話はあまりしていないんですよ。それよりも、若林さんを見ていたときに思ったことが大きいですね。あと、イベントのテーマ曲ということで曲を書き始める前に若林さんとは一度ご飯に行って、東京ドーム公演に向けてどんなビジョンがあるのかを聞いたりもしました。でもそれよりも、ふと話してくれた、若林さんは学生の頃から春日(俊彰)さんと朝まで長電話をしていて、今もラジオで同じようなことをしているっていうエピソードを聞いたときに、これだと思ったんですよね。芸人さんが東京ドームで開催するイベントのテーマソングというよりは、二人の人間のテーマソングにしたいと思って。側から見ていると、学生の頃から東京ドームまでつながっているかけがえのない二人に見えるんです。だから、本人たちからしたら特段嬉しいことでもないのかもしれないけど、周りから見れば素敵に映っているよっていう塩梅になっている曲な感じですね。

ーー星野さんは『オールナイトニッポン』(ニッポン放送)で、オードリーの二人を音でも表現したいと思ったと話していましたが、音楽的にはどんなビジョンを描いていたのでしょう?

星野:実はこの変なイントロが先にできちゃったんですよ(笑)。変なところで転調するし、なんのコードに当てはまるのかもよくわからないんです。そんななかで、オードリーの何層もある魅力、明るくて楽しいんだけどでもマッドでネガティブな面もある感じをイメージしながら調整していきました。イントロが始まった時点では、このサビのイメージに結びつかないと思うんですよ。これは結構キャッチーなサビだと思うんですけど、そのあたりも自分が思うオードリーの感覚に合うようにしたいとは思っていました。

ーー星野さんはオードリーの魅力について「ポップでありアナーキーでもある」と話していましたが、まさにその双方が両立していますよね。

星野:そうですね。出てきちゃったものに対してバランスを取っていったというか、アナーキーな部分だけになりそうだったらポップの方向にグイッと引っ張るみたいに調整していった感じです。

ーー次は「UCC COFFEE CREATION」のCM用に書き下ろした「Beyond the Sequence」。この曲は打ち込みのインスト曲で、マシンが自分の意志を持って主張し始めたような不思議なフィーリングがあります。そもそもどうやって発想していったのでしょう?

星野:これはすごく前に作ったんです。打ち込みをまだよくわかっていないなかで作っていました。まだ慣れていない頃の曲なんですけど、映像のビジョンみたいなものを見たときに、このCMに合うと思って完成させていった感じです。コーヒーに合わせてどうこうというわけではなく、なんかできちゃったみたいな。メロディを弾いているとき、機材がしゃべっているみたいだと思いながら作ったのはすごく覚えていますね。CM用に作ったときから結構時間が経ってしまって、今のフィーリングとは全然違うと思ったので、今回は収録するに当たってほぼすべてのパートを少しずつずらしてグルーヴを整えたり、ミックスもやり直しました。

ーーCMがオンエアされたのは2021年10月ごろからだったと思いますが、当時星野さんは「自然にインスト曲ができていって、その作業がすごく楽しい」と話していました。ちょうど制作環境が変わったタイミングだったこともあるのかもしれませんが、今もそういう状況は続いているのでしょうか?

星野:続いていますね。例えば「解答者」みたいに最初はインストだったものを歌に発展させていったりすることもあって。そういうマテリアルみたいなものは日々できていっています。

■リリース情報
星野源『光の跡/生命体』
2023年12月27日(水)発売
・初回限定盤A(CD+BD):4,950円(tax in)
・初回限定盤B(CD+DVD):4,950円(tax in)
・通常盤:1,300円(tax in)
購入:https://jvcmusic.lnk.to/GenHoshino_13thSG
配信:https://jvcmusic.lnk.to/Why_Life

<収録曲>
M1. 光の跡
M2. 生命体 
M3. おともだち
M4. Beyond the Sequence

<初回限定盤収録内容>
『YP Live Streaming“宴会”鳳凰篇』全12曲&ドキュメンタリー
1. エピソード
2. SUN 
3. ダスト
4. ドラえもん
5. そしたら
6. ダンサー
7. ストーブ
8.Nothing
9. レコードノイズ
10. 不思議
11. ギャグ
12. Hello Song&ドキュメンタリー
『LIVE the SPEEDSTAR』全8曲
1. ひらめき
2. ばらばら
3. スーダラ節
4. 恋
5. 化物
6. 地獄でなぜ悪い 
7. くせのうた 
8. くだらないの中に

星野源 オフィシャルサイト

関連記事