Snow Man ラウール、&TEAM K、BE:FIRST SOTAら『FNS歌謡祭』ダンスコラボから感じた新フェーズ

 2023年は、事務所やグループを越えて実現したダンスコラボレーション企画が多い一年となった。7月15日放送の『音楽の日2023』(TBS系)や11月16日放送の『ベストヒット歌謡祭2023』(読売テレビ・日本テレビ系)ではダンス&ボーカルグループを中心とした面々が集結し、圧巻のパフォーマンスを見せたことで話題を呼んだが、12月6日放送の『2023 FNS歌謡祭』(フジテレビ系)第1夜でも豪華なコラボ企画が放送された。「繋がる」をテーマに本企画を彩った、日本を代表する“ダンスの精鋭”たちをここであらためて紹介するとともに、今回のコラボ企画のポイントを掘り下げていく。

夜に駆ける/EXILE NAOTO ガチで踊ってみた【オリジナル振り付け】

 三代目 J SOUL BROTHERSのリーダー/パフォーマーであるEXILE NAOTOは、約24年の歴史を持つ「J Soul Brothers」を二代目・三代目にわたり継承しながら、EXILEのメンバーとしても活躍している。ダンススタイルはいわゆる“LDHらしい”ニュースクールヒップホップ。今でこそダンサーがダンスで食べていくことが可能な時代だが、かつて「パフォーマー」という職業を広め、日本のダンスの新時代を築いてきたのは、EXILE HIROをはじめとするLDHの大きな功績と言えるだろう。その双璧とされるEXILEとJ Soul Brothersで長年にわたり活躍し続けているNAOTOは、日本のダンスカルチャーにおいても重要な存在だ。

【FNS歌謡祭2023】ダンス企画ラストダンス練習動画【DA PUMP KENZO】

 KENZOはDA PUMPのパフォーマーとして活動する傍ら、2010年以降ヨーロッパはじめ各地で行なわれたストリートダンス世界大会で驚異の8年連続優勝を果たすなど、前人未到の記録を打ち立ててきた。変幻自在なダンススタイルと、ストイックな姿勢で積み上げた努力に裏打ちされたスキルで、世界中から耳目と尊敬を集めるダンサーだ。中学3年生でダンスに出会って以来、人生のほとんどをダンスに捧げてきたKENZOは、これまでに世界30カ国で400回以上のパフォーマンスを行い、国内外150以上のダンス大会で審査員を務めた経験を持つ。また、INIを生んだ『PRODUCE 101 JAPAN SEASON2』でもダンストレーナーを務めた。ブレイキンが2024年のパリ五輪正式種目に決定したことを受けて日本ダンススポーツ連盟(JDSF)のアンバサダーにも就任しており、日本ダンス界をレペゼンするダンサーの一人だ。

Goddamn - Tyga / Chihiro Ueno choreography /中務裕太 GENERATIONS from EXILE TRIBE feat.EXPG Lab

 GENERATIONSの中務裕太は、ポッピンやロックダンスを中心に予測不可能なダンススタイルを特徴とするパフォーマー。LDH内でも信頼を置かれる人物であり、そのスキルは実力派揃いの同年代グループが集うライブイベントのパフォーマーショーケースでも安定してトリを任されるほど。LDHが運営するダンススクール・EXPG STUDIOのスーパーバイザーを務め、2023年からはGirls Dance Project Street部門のチーム・I AM ME.のディレクターとして後進育成にも尽力している。中務自身も高校1年生でEXPGにスカウトされているが、この時代のダンス&ボーカルシーンにおけるダンスパフォーマンス分野を牽引し、経験を生かして育成にも携わる姿は、後輩たちにも大きな影響を与えていることだろう。

ラウール「TGC SPECIAL STAGE | 東京ガールズコレクション2023 AUTUMN/WINTER」

 長い手足と抜群のスタイルを持ち、2023年6月にパリコレに初参加するなどモデルとしても活躍するSnow Manの最年少メンバー・ラウール。現在の事務所に入所する前からダンスチームに所属し、小学3年生の頃から世界的ダンサーのRIEHATAを“師匠”としていた。2019年にSnow Manのメンバーとして抜擢され、2020年にCDデビューを果たしている。抜群のスタイルから繰り出されるダイナミックでしなやかなダンスが持ち味だが、特筆すべきはその表現力だろう。体全体を使ったラウールのダンスと表情は楽曲の世界観をぐっと深める。

JO1|'Forever Here' Dance Break - REN

 川尻蓮は『PRODUCE 101 JAPAN』から生まれたJO1でパフォーマンスリーダーを担う存在。同番組のテーマ曲「ツカメ ~It’s Coming~」でセンターを任されていたのが川尻だ。オーディション参加前から錚々たるアーティストの作品に参加していた経歴を持つ川尻は、JO1としてのデビュー前から国内外から注目される存在だった。“日本初”の『PRODUCE 101』シリーズというプレッシャーがかかる中、番組中もその期待に応え続け見事デビューを勝ち取った。もともとジャンルレスで高いスキルを誇る川尻だが、デビュー後もその貪欲さでさらなる進化を見せている。JO1は複雑なフォーメーション移動が多用された、全体で魅せるダンスを得意とするグループだが、特に川尻がセンターに立った時のオーラは唯一無二。グループ全体でバランスを取りながらも川尻にしかないグルーヴ感でパフォーマンスを1ランク上のものにしている。

BE:FIRST / SOTAによるTo The First振り解説 (Choreography of To The First) [You're My "BESTY" #21]

 様々なダンスコラボ企画に呼ばれる存在となっているのがBE:FIRSTのSOTAだ。ダンサーネーム“souchin”としても知られ、HIPHOP、ポップ、ロック、ハウスなどあらゆるジャンルが守備範囲の彼は、2015年以降、ダンスチーム・KANA-BOON!を10代の若さで率い、HIPHOPダンスの世界大会『World Hip Hop Dance Championship』でダンサー・振付師としてこれまでに4度の優勝を経験。BE:FIRST所属後はグループの振付等を手掛けることもある。一方で、所属事務所のBMSGではトレーニー(練習生)のダンスレッスンも担当。2023年1月にはニュージーランドで開催された『I-DEVELOP 2023 DANCE CAMP』でワークショップを開催するなどダンス&ボーカルシーンでも一線を画した存在であり、同世代はもちろん、先輩世代からも一目置かれるダンスの申し子だ。

[UNFILTERED CAM] &TEAM K(케이) 'War Cry' 4K | BE ORIGINAL

 HYBE LABELS JAPAN所属の&TEAMを代表して登場したのは、最年長のK。グループでも定評ある、しなやかなダンスパフォーマンスの実力を持つ彼だが、実は高校時代は陸上競技に打ち込んでおり、ダンスを始めたのはなんと高校卒業後。ダンス歴は長くないにもかかわらず、エキスパートが集ったこのダンスコラボに名を連ねているのは彼のすごさだ。Kは、韓国を中心に活動しているENHYPENが結成されるきっかけとなった『I-LAND』に参加。番組内では最終審査まで残ったものの惜しくも落選。その後『&AUDITION - The Howling -』に参加し、見事デビューを勝ち取った。&TEAMは高いシンクロ率のダンスが強みだが、そのなかでもKはここまで努力で掴み取った彼らしい、緻密で職人気質なパフォーマンスが魅力と言えるだろう。

少女時代 / MR.TAXI (DANCE VER.)

 そして、今回のダンスコラボを監修したのが、アメリカを拠点にダンサー、振付師、演出家など多方面で活躍する仲宗根梨乃だ。高校卒業後に沖縄から単身で渡米した彼女は、BoAや東方神起、SHINeeをはじめとするSMエンタテインメント所属アーティストを中心に、10年以上にわたってK-POPグループの振付を担当。中でも少女時代の「GENIE」「MR.TAXI」は、彼女のキャリアに欠かせない作品だ。ほかにも、ライブ演出やKENZO同様トレーナーとしてオーディション番組『PRODUCE 101 JAPAN』シリーズへの出演など、そのダンススキルと濃密な経験値で世界中の音楽シーンを底上げしていると言えるだろう。今回、まさに“アベンジャーズ”のような面々のパフォーマンスを彼女が監修していることには、胸を熱くした人も多いのではないだろうか。

関連記事