リアルサウンド連載「From Editors」第34回:M-1グランプリをきっかけに“劇場”でお笑いを見る

 「From Editors」はリアルサウンド音楽の編集部員が、“最近心を動かされたもの”を取り上げる企画。音楽に限らず、幅広いカルチャーをピックアップしていく。 

M-1グランプリをきっかけに“劇場”でお笑いを見る

 ついに!M-1グランプリ準決勝進出30組が決まりましたね!去年の最終決戦進出組のさや香、ロングコートダディ、決勝経験者のオズワルド、真空ジェシカらが期待通り準決勝に進んだことに加えて、ママタルト、令和ロマンなど2023年知名度を広めた組も順調に駒を進めており、どの組が決勝に進むのか、どの組が優勝するのか楽しみで仕方ないです。

 このタイミングでこの企画が回ってきたので、決勝進出や優勝予想をしてもいいのですが、去年予選を会場で観ても大はずししてしまったのでここではやめておきます。代わりに“劇場でお笑いを見る”ことについて話せればと思います。

 お笑いを劇場で見たことある人はあまり多くないような印象を受けます。確かに、有名なコンビのネタはお金を払わなくてもテレビやYouTubeで見ることができるし、わざわざお金を払って劇場までお笑いを見に行くのってどうなんだろうと思う方もいるかもしれません。それでも、テレビやスマホの画面で見るネタ動画と、生で見るネタというのは本当に大きく異なるものです。

 劇場でお笑いを見ることで一番違うことは他のお客さんの存在だと思います。家でテレビを観ながらだと、なかなか声を出して大笑いするということはないのですが、劇場だとお客さんがいる中で見るので一緒に大笑いしながら見るのは文字で書く以上に楽しい体験になります。そして、ステージとの距離がかなり近い。私が今までお笑いを観た劇場で一番広い劇場は東京・新宿にあるのルミネtheよしもとだと思うのですが、キャパは500席弱。ルミネtheよしもとはM-1優勝経験のあるコンビも普通に出演するので、普段テレビで見るようなコンビをかなり近い距離で観ることができます。その他の劇場だともっと狭くて、同じ東京吉本系なら芸歴9年目以下の芸人が出演する神保町よしもと漫才劇場はキャパ120席程度。K-PROが運営する西新宿ナルゲキも150席程度になります。本当に近い距離で観るネタは動画で見るより何倍も迫力もありますし、かなり細かいところまで見ることができます。そして、何よりテレビで見るより自由であることが多いです。ネタの持ち時間はそのイベント毎に異なりますが、テレビよりも長尺でネタを披露することも多いので、知ってるネタだとしても知らない流れがあったり、お客さんの話を入れたりアドリブで時々ネタが入ったり。そういう「ここでしか見ることができないネタ」が楽しめるのも劇場ならではだなと思います。

 私がお笑いの劇場に初めて行ったのは2020年のM-1グランプリの3回戦の動画がきっかけでした。予選の動画をYouTubeでなんとなく流し見していたら面白いなと思った当時は無名のあるコンビを見に都内の劇場に足を運び、そのまま色々なお笑いライブに足を運ぶようになりました。劇場で観ると目当ての芸人以外も本当に面白くて、いつのまにか“お笑いファン”の仲間入りをしていると思います。笑うことは健康に良いとも言われていますし、近くにお笑いの劇場がある方は一度足を運んでみてはいかがでしょうか。

M-1グランプリ -2022.12.18 sun-

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