22/7(ナナブンノニジュウニ)、『旅人算』を通じて見据える未来 後輩メンバーの大きな成長も

ナナニジが見据える未来

 デジタル声優アイドルグループ・22/7(ナナブンノニジュウニ/通称ナナニジ)が11月22日、2枚目のアルバムとなる『旅人算』をリリースした。後輩メンバー初参加となる今回のアルバムは、『覚醒』から最新シングル『僕は今夜、出て行く』収録、さらに対照的な色を持つ新曲2作品「君とどれくらい会わずにいられるか?」と「世界の矛盾」を収録。グループの変遷から未来までを見据えたアルバムになっている。

 リアルサウンドでは今回、メンバーの麻丘真央、西條和、椎名桜月にインタビュー。アルバム新曲の初披露となった11月7日の『ANNIVERSARY LIVE 2023』の手応えから、アルバム『旅人算』への思い、そして未来に向けた大きな目標についてなど、深く語ってもらった。(香月孝史)

後輩メンバーだけでの定期公演も 人に意見を伝えることを怖がらなくなった

22/7(写真=晴知花)

――ニューアルバム『旅人算』収録の新曲も初披露された、11月7日の『ANNIVERSARY LIVE 2023』のことからお伺いします。芝居と楽曲パフォーマンスを絶え間なく繋げた、一本の演劇のようなライブでしたが、手応えはいかがでしたか?

麻丘真央(以下、麻丘):普段のライブでは、MC中など舞台袖にはける時間があるんですが、今回はお水を飲む休憩も芝居の中に組み込まれているぐらい出ずっぱりのライブでした。ずっとこのライブに向けて頑張ってきたこともあって、終演直後は「終わった! できた!」という達成感と安堵の気持ちで、(西條)和さんの腕の中で泣いてしまって(笑)。

椎名桜月(以下、椎名):演技の中で“パワー”という台詞のあとに「謎の力」を披露して、“青春”という台詞から「不確かな青春」を披露して、という流れを会場の皆さんもすぐに理解して沸いてくださって、「きっとこのライブはすごく楽しくて新しいライブになる」と開演してすぐに感じました。「カフェ」という劇中のコンセプトと22/7の楽曲の世界観が合うのか、最初は不安な部分もありましたが、ライブ全体をカフェの開店から閉店までの流れにすることで、全体的にまとまりのある素敵な公演になりましたし、すごく達成感を感じています。

西條和(以下、西條):私を含めた初期メンバーはライブにも慣れているので、何となくルーティンみたいなものもできてきていたのですが、今回、劇を盛り込んだことで舞台袖に一切下がらずライブしたりという試みをして、まだ私たちは新しいことができたんだなって、メンバー同士で話していました。幕が開いた瞬間、今までのライブと雰囲気が違うことにファンの方々も気づいて沸いてくださったのが肌で感じられて、すごく嬉しかったです。私は最初、寝ている役だったので一切お客さんのことは見えていなかったんですけど(笑)。

22/7(写真=晴知花)
西條和

――お芝居と曲がリンクしていくようなライブには、新たな可能性も感じましたか?

麻丘:演じるという意味では、私たちはこれまで声優としてキャラクターを演じてきましたが、今回は舞台上に立って、移動や立ち位置まで含めた演技でした。演劇のようなライブでもあったので、ナナニジとしてグループで舞台ができたら面白そうだなと。

椎名:舞台上で常に見られている状態で演技をするのが初めてで、スタッフさんからは「言葉を喋っていない時の演技の方が大事だよ」と言われていましたね。カフェという設定の中で、目の前にはいないお客さんを案内する動作など、各自で考えながら細かく作っていきました。ナナニジは、キャラクターも演じるデジタル声優アイドルであることが強みだと思いますが、今まで見せていた声優としての面だけでなく、自分たちの姿でまた新しいキャラクターを演じるのはすごく楽しかったです。

――西條さんが常に寝ている姿、椎名さんと天城サリーさんが言い合っている姿など、普段のメンバーに近い光景も多かったですね。

椎名:私とサリーさんが言い合うシーンはほぼ台本がなくて、リハでも毎回喧嘩の内容を変えてたんです。「見て、なごみん(西條)寝てるじゃん!」「あの人はいつも寝てますよ!」のやりとりは、マストで入れようって話になってたんですけど。舞台を経験されているサリーさんが、言葉でというより存在として、みんなを引っ張ってくれました。今回は各々いつもの人間性に近い設定だったので、今度は全然違うキャラクターとして演技をしたり、それこそ朗読劇を間に挟むとかナナニジの強みを生かしたライブをやれたりするんじゃないかなと、希望を持てるステージでした。

22/7 椎名桜月(写真=晴知花)
椎名桜月

――その一方、後半は楽曲パフォーマンスで重い曲が続き、全体的にハードなライブでもありました。

麻丘:「命の続き」や「とんぼの気持ち」のように気持ち的に重くなる曲もあれば、単純に体力的にきついというのもあって。でも、あのブロックはアドレナリンが出ていて、“覚醒”以外の何物でもないというか。体力的にも精神的にもきつかったからこそ、作り込まずに自分の素の感情で台詞を言えた感覚がすごくありました。追い込まれるから言えることもあるんだ、みたいな。もうちょっとハードでもできる気がする、という感じはありましたね。

椎名:舞台袖にはけたりファンの皆さんに手を振ったりというパートもなく、常に役を演じ続けなければいけない中で、演じることへの距離感がいつもよりも少し近かったんじゃないかな。リハーサルでも台詞の言い回しや動きをみんなで話し合う時間が多くて。声優として声をあてる時とは違って、アニメーションが動きを補完してくれることもないので、自分の動きと台詞を観た人がそれだけで情景を理解できないといけない。去年のアニバーサリーライブだったら、私たち後輩メンバーにはできなかったと思います。今年、ナナニジとしてのツアーや後輩メンバーだけでの定期公演を経て成長できたからこそ、新しいことを考える余裕も生まれてきて。アイドルという仕事にいい意味で慣れてきたんだなと思いました。

――西條さんは、ハードだったライブ後半ブロックはいかがでした?

西條:口、パッサパサでした(笑)。「絶望の花」「理解者」や「命の続き」のように、重さのある楽曲もあったんですけど、個人的に今回は暗くしたくないなと思っていて。カフェがテーマで衣装をそれに合わせているし、新しいことにも挑戦しているので、せっかくだったらファンの方に希望を持ってもらえるライブにしたいなと。「とんぼの気持ち」では(望月)りのちゃんと最後のフリーダンスを一緒に踊ったんですけど、初めて「とんぼの気持ち」を笑顔で終わったなって。もちろん、この曲がもともと持っている重さも大事なんですけど、ちょっと表現を変えてみようかなと意識していました。

――人数的にも後輩メンバーの割合が多くなったからこその変化もありますか?

西條:私たち初期からのメンバーは6年やっているので、なんとなく決まりごとになっているものも多いんですけど、それに対して後輩メンバーが良い意味で新鮮な立ち位置から意見を言ってくれるのがありがたくて。スタッフさん方もその意見を聞いてくださるので、自分たちで考えたものを一旦実践してみて結果が見える。そのことで、より自分たちから動くようになったと思います。

――後輩メンバーの皆さんも、グループ内でできることは多くなってきましたか?

麻丘:先輩の卒業などもあって、もっと自分を持たなきゃと思ってからは、いろんな人に意見を伝えることを怖がらなくなりました。もちろん、先輩と後輩ではあるけれど、初めて22/7を見た人は、私たちのことを「後輩メンバー」という目で見るわけではないですし。最近はそういう意識でいろんなお仕事に取り組んでいます。

22/7 麻丘真央(写真=晴知花)
麻丘真央

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「インタビュー」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる