aiko、あいみょん、三浦大知、乃木坂46、Red Velvet、GLIM SPANKY……注目新譜6作をレビュー

New Releases In Focus

 毎週発表される新譜の中から注目作品をレビューしていく連載「New Releases In Focus」。今回はaiko「星の降る日に」、あいみょん「あのね」、三浦大知「Sheep」、乃木坂46「Monopoly」、Red Velvet「Chill Kill」、GLIM SPANKY「The Goldmine」の6作品をピックアップした。(編集部)

aiko「星の降る日に」

 aikoにとって44枚目となるシングル表題曲。軽やかなバイオリン、ベースとドラムに加えてボンゴらしき打楽器、あとはレトロで温かいオルガン。心地よい演奏の中心にaikoの歌声がたっぷりと響く。一言でいうなら伸びやかな歌唱だが、厳密にはファルセット、柔らかな地声、その中間のような歌声と、フレーズごとに絶妙の違いがある。声の伸ばし方もそれぞれで、揺らぎのある半音移動、ぐっと力を込めたロングトーン、気の抜けたブレスでさっと切り上げる、などの手法が。これらを彼女は計算ではなく感覚的に使い分けているのではないかと思う。aikoが歌うテーマはいつだって恋のこと。しかし毎度の再生産とは違う。細やかに変わり続ける表情こそが魅力なのだと再確認。(石井)

aiko-『星の降る日に』 trailer movie

あいみょん「あのね」

あいみょん – あのね【very short movie】

 1981年に出版され、現在までに全世界で累計2500万部という驚異的なベストセラーとなった黒柳徹子の自伝的小説『窓ぎわのトットちゃん』。あいみょんの新曲「あのね」は、本作を原作にしたアニメーション映画の主題歌として制作された。〈「さよなら」その口癖は誰譲りなの?〉という言葉ではじまるこの曲は、“私”が“君”に語り掛ける形で進んでいく。この先、何があるかわからない。孤独に包まれることもあるだろう。それでも私は、一生懸命に生きる君を抱きしめていたいーー。「あのね」の歌詞とメロの出来は、『窓ぎわのトットちゃん』の世界と強く重なりながら、聴き手の人生や日常にもつながるはず。6分46秒という時間が一瞬にも永遠にも感じる、新たな代表曲の誕生だ。(森)

三浦大知「Sheep」

三浦大知「Sheep」

 「能動」に続く、約7年ぶりのオリジナルアルバム『OVER』からの先行配信曲「Sheep」は、三浦大知の音楽的盟友の一人であるUTAのサウンドプロデュースによる楽曲。シンセベースとピアノ、ビートを軸にしたシンプルにして奥深いトラックのなかで三浦は、美しいファルセットを響かせ、自由な旋律の線を描き出す。睡眠に入り込む直前のようでもあり、宇宙空間を漂っているようでもある不思議な感覚にリスナーを誘い込み、エンディングで〈いつでもここにいるから〉というフレーズを手渡すこの曲を聴けば、彼の音楽表現が新たなフェーズに入っていることを実感するだろう。歌が上手いとか、曲がいいという概念を超えた、音楽というアートフォームの可能性をじっくりと味わってほしい。(森)

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