月詠み、朗読と音楽を行き来し表現した“アナザーストーリー” Spotify O-EASTワンマンレポ

 中盤は再びユリイ・カノン歌唱による「真昼の月明かり」と、「だれかの心臓になれたなら」「アメイセンソウ」を間髪入れずに披露。とりわけ素晴らしかったのが「花と散る」の後に歌った「白夜」である。スクリーンに大きく欠けた月が映っていた序盤から、曲が進むにつれて徐々に月が満ちていき、歌い終える頃には綺麗な満月になっている。締めの一節〈夜の月が尊いと思うのは/その光が唯ひとつしかないからでしょう〉も相まって、言葉では表し尽くせない感動的な景色が広がっていた。これこそ歌と映像とが一体となったこのライブでしか味わえない体験である。

 ラストスパートは「救世主」「イフ」「生きるよすが」の3曲。会場を呑み込むほどのYueの声量は、終盤になるにつれてさらに大きくなっていった。“口から音源”とはよく言うが、月詠みのライブで感じ取れる臨場感や迫力は、音源とは比べ物にならない。その圧倒されるほどの気迫に、観客も負けじと拳を突き上げて応戦していた。

 アンコールでは新曲と「おどりゃんせ」を披露。曲中ではYueが「もっともっと、かかってこい!」とオーディエンスを強く煽る一幕もあり、本編では月詠みの世界観に静かに耽っていた客も、ここでは堪らず弾けていた様子が見て取れた。ステージから放たれるエネルギーに、会場全体が活気であふれかえっていた。

 朗読と演奏を行き来し、月詠みの世界を映像と音で表現したこの公演に、観客から大きな歓声と拍手が送られた。芸術的な演出とライブならではの肉体的な盛り上がり、その両方を存分に味わえた一夜であった。

■セットリスト
M1 逆転劇
M2 夢と知りせば
M3 月が満ちる
M4 或いはテトラの片隅で
M5 春めくことば
M6 ヨダカ
M7 メデ
M8 真昼の月明かり
M9 だれかの心臓になれたなら M10 アメイセンソウ
M11 花と散る
M12 白夜
M13 救世主
M14 イフ
M15 生きるよすが

EN1 新曲
EN2 おどりゃんせ

■オフィシャルSNSアカウント
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