NiziU、韓国デビュー曲「HEARTRIS」をしっかり花開かせた力量 グループの歴史の新たな一歩に
先ごろリリースされたシングル『Press Play』で韓国デビューを果たしたNiziU。2020年の結成&日本デビューから実に3年を経て、満を持してのデビューとなった。リード曲の「HEARTRIS」は、韓国の音楽番組『SHOW CHAMPION』(MBC MUSIC)で11月8日に1位を獲得したばかり。日本で積み重ねてきた経験をスプリングボードに、今後の活躍に期待が高まるところだ。
『Press Play』は既発曲(『映画ドラえもん のび太と空の理想郷』の主題歌になった「Paradise」)の韓国語バージョンをふくむ全3曲で構成されており、グループの快活なキャラクターをいかしつつ、メロディアスな魅力にあふれた作品になっている。
前述の「HEARTRIS」はゲームのテトリスをモチーフにしたラブソングで、イントロや間奏にゲーム音楽を思わせる電子音を散りばめつつも、全体のトーンは定番のコード進行を効果的に使った、ファンキーなベースラインが印象的なほんのりとクールさをまとったR&B調のポップソング。歯切れのよいピアノはボカロのリリースカットピアノを連想するが、全体の音作りから、むしろクラビネットっぽい心地よいグルーヴを醸しているのが絶妙な塩梅だ。
ダンサブルなビートを基調とし、タイトな曲尺に耳に残るメロディと展開をぎゅっと詰め込んだK-POPマナーを踏襲しつつ、ベタなコード進行とリリースカットピアノの組み合わせには現在のJ-POPの面影も感じられる。そう考えると不思議なバランス感がある曲だ。単に自分の耳がその組み合わせに「J」を聴き取りすぎなのかもしれないけれど、K-POP的なつくりこまれた画作りに、これまたベタなアニメ調、というかモロにアニメのカットが挟み込まれるMVのテイストも踏まえると、意識的に折衷しているのかもしれない。とはいえ、一聴してあざとさは全くない。韓国デビューということもあってもちろん韓国(そして広くは世界のK-POPファン)のリスナーを意識しているだろうが、日本のリスナーのツボにもばっちりハマりそうな、よく練られた曲だと言えよう。