横浜アリーナをM!LKらしく染め上げる 最大級のハッピー届けた初アリーナ公演に確かな手応え

M!LK横浜アリーナ公演レポ

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 その後は後方のステージへと移動し、光るマイクスタンドでムードあるパフォーマンスを披露した「行けたら行くよ」で大人な表情を見せる。「ジャングリズム」のワイルドさから一転、アイドル全開の笑顔でメンバー同士が絡む「テレパシー」では、赤いマントをなびかせながらアリーナの外周を走ってウェーブを完成させた曽野の頬に、佐野と山中がキスする場面も。その後、塩﨑が映像とリンクさせたダイナミックかつ繊細なソロダンスを披露したり、「labyrinth」では挑発的な視線を投げかけながら肌を見せるパフォーマンスをしたりと、一瞬も目が離せない演出が続いていく。ステージの2階で山中が優しく切ない歌声を響かせた「last moment」、佐野が思いつきで深夜に仕込んだという牛のカチューシャでキュートな可愛さをアピールした「愛と合図」など、かっこいいにも可愛いにも振り切れる5人の引き出しの多さを実感した。

 MCでは、佐野が登場の瞬間のインパクトを狙って金髪にしたが直前まで隠していた話や、いつも食事に行くと奢ってくれる吉田に対して山中が「最近羽振りいいけど、バイトしてる?」と突っ込んだりしながらトークを展開。いつも通り仲の良い5人のやり取りを楽しんでいたのだが、自然な話の流れの中でセンターステージに移動し、用意された椅子に腰掛けた吉田がアコースティックギターを手にした瞬間のざわめきと言ったら! 今回も演出を手がけた塩﨑は「本当はポールダンスをやってほしかったんだけど」とジョークを交えつつ、5人は吉田のアコースティックギターをフィーチャーした「イチニノサン」を披露した。1stシングル『コーヒーが飲めません』(2015年)のカップリングというM!LK創成期の大切な1曲を、今のこの5人で、新たなバージョンで届ける。当時から応援してきたみ!るきーずにとっても感慨深いものがあったと思うが、のちに加入した山中と曽野がアコースティックギターを弾く吉田を見つめている表情にも、言葉にならない想いが滲み出ているように感じた。

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 会場のライブカメラを使ってみ!るきーずと共に楽しむ2回目のインタールードを終えると、会場後方のステージに真っ赤な衣装を身にまとったメンバーが現れた。オープニングのプレゼントボックスと同様、この衣装にもそれぞれ違った形でリボンが取り入れられていて、目にも楽しいインパクトだ。5人「コーヒーが飲めません」から「テルネロファイター」「シアワシェイク」「かすかに、君だった。」、そして「Say Yeah」をメドレー形式で畳み掛ける。この時点で23曲を歌ったことになるが、もともとジャンルにこだわらず、挑戦を恐れず進化してきた彼らの楽曲の振り幅を思うと、場面ごとのストーリー性や景色の作り方、その繋ぎも含めてかなり練り上げられていることがよくわかる構成だ。たとえ1フレーズの歌唱であっても世界観は伝わるーーそんな楽曲に対する信頼感も伝わってきた。

 次のMCでは、全力で駆け抜けたここまでをざっくばらんに振り返るメンバーたち。吉田が「リハのときも楽しかったのよ。でも比べものにならないわ」と感慨深げだったため、話はこのままいい方向に流れるのかと思いきや、アコースティックギターを弾き終わった瞬間の「ありがとう」の言い方について全員から突っ込まれる事態に。M!LKらしいやり取りでひとしきり爆笑となったが、結局はそういった演出を担当した塩﨑、そして今回も素敵な衣装を担当した山中への感謝を口々に伝えていた。

 また吉田は、「この半年間、この1日のために費やしてきたと言っても過言じゃない。この場所に今僕たちが立てているのは、たくさんのスタッフさんが関わってくれているから。そういう人たちが僕たちのことを支えてくれることも、この5人で活動ができることも、皆さんが応援してくれてることも、ひとつも当たり前のことなんてないと痛感しました。そしてこれからもずっと、僕たちが皆さんにとっての幸せであれたらいいなと感じました」と挨拶。そして次の曲「コトノハ」を歌うにあたって「僕たちのことをずっと近くで見てきた同期であり友達が託してくれた曲。僕たち自身で作詞してもこんなことは書かないだろうなっていうくらい、今までの葛藤とかこれからの希望とかを彼ら自身の目線で書いてくれました」と言葉を続けた。さくらしめじが書き下ろしたこの曲には、メンバーもひとしおの想いがあるのだろう。楽曲の後半、一瞬だけ5人が円になって心を重ね合った次の瞬間、客席の方を向いた曽野の目は涙でいっぱいだったし、佐野も込み上げるものをグッと堪えるような仕草。塩﨑はマイクを通さずに「ありがとう」と呟きながら笑顔で会場を見渡していた。

 本編ラストは「Aiシャンデリア」。胸を張って未来へ進んでいく5人の軽やかな覚悟を伝える、晴れやかなナンバーだ。メンバーからのメッセージが書かれた手紙が客席に降り注ぐ中、5人はメインステージに向かってパレード。清々しい笑顔で手を振り、ステージを後にした。

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 アンコールでは、3台のトロッコに乗り込んだメンバーがスタンド席を周回。「ジブンエール」と「DEAR LIFE」をみ!るきーずのすぐそばで賑やかに届けた。その後リーダーの吉田が、9周年を迎える来年は「BIG LOVE YEAR」と題して年間プロジェクトを始動することを発表。詳細についてはこれからだが、「支えてくれた皆さんに愛を届けに行く1年にしたいので、いろんな企画を用意しています」と意気込みを語っていた。

 最後に佐野は「信じられないですよ、この景色。今日は僕たちM!LKのためだけに、こんなにたくさんの方が集まってくださって。本当にありがとうございます。自分たちで言うのもアレですけど、すごい歴史があると思うんです。正直、やってて大変でした。今でこそこんなに多くの方々がこの5人を認めてくれて、ついてきてくれてますけど、当時は元の5人が良かったとか元の7人じゃないと応援したくないっていう声も多かった。そんな中で横浜アリーナを満杯に埋めてる今がすごくハッピーです。ドームツアーを目指してるけど、昔から応援してる人は遠くなっちゃうじゃん、僕らが。今でも遠いなと思ってる人はいると思う……みんなと約束したドームツアーは絶対に叶えます。でもいつまでもみんなの近くにいるっていうのも絶対に約束します。なのでこれからも僕たち5人の応援をよろしくお願いします」と頭を下げた。そして「僕たちは5人で、気持ちは8人で、ドームツアー叶えます」と告げ、決意も新たに、メジャーデビュー曲「Ribbon」を披露しアンコールを終えた。

 盛大な「もう一杯!」コールに応えて再びステージに現れた5人は、M!LKのライブ恒例となっているバラエティコーナーに突入。今回はアリーナの外周を使った障害物競走で、三輪車や麻袋に入ってのジャンプなどを経て懐かしい衣装に生着替えし、ゴールをするという内容だ。1位は佐野で、5位の山中はゴムパッチンの罰ゲーム。走り回って転げ回って猛スピードでゲームを終え、歌うことなくWアンコールを終えた5人。なんともM!LKらしい、ユニークなエンディングだった。

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 開催が決まったときには巨大な会場に感じていたであろう横浜アリーナを何周も何周も走り、遊び倒し、笑い合って涙しながら自分たちの色に染め上げたM!LK。その手応えはきっと、この日最後に発表された全国4都市ツアー『M!LK CONCERT TOUR 2024「HERO」』を作り上げるエネルギーとなって、すでに彼らを突き動かしているはずだ。

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