宮野真守、ファンの声が戻ってきた再会のツアー “チームマモ”で迎えたファイナル公演

 「カノン」では、ステージを激しく動いて熱唱。コール&レスポンスが重要な一曲だけに、客席の熱気も最高潮に達する。淡々とした佇まいから放たれるまっすぐ伸びていく歌声が、壮大な楽曲と見事に調和した「Quiet explosion」。声の力だけで場を圧倒するような独特の表現は、宮野の新境地とも言えるのではないだろうか。

 「Sing a song together」のコーラス部分を使ったコール&レスポンスは10分強にも及び、「Kiss×Kiss」では、トロッコに乗って会場を一周。客席の隅々にまで投げキッスを贈り、ファンとの濃密なコミュニケーションの時間が続く。

 「みんなの輝く笑顔を間近で見ることができました、ありがとう!」「やっぱりライブって、歌って、力を持ってるね。こんなに大勢のみんながひとつになって楽しんでる。こんな幸せな、ピースフルな空間、なかなかないよ。みんなのおかげです。どうもありがとう!」と語ると、観客からも「ありがとう!」と次々に声がかかる。「この3年間、いろいろとエンタメは苦しい状況を迎えて、何をしていいかもわからなかった頃から、少しずつ前に進んで、その時の最高を常に目指して、できないから止まるんじゃなくて、『今できる最善って何なんだ?』と目指してエンタメを発信してきました」「試行錯誤の連続でしたが、何よりも嬉しかったのは、それをみんなが受け止めてくれたことだなと今は強く思います。みんなが“宮野真守のエンタメ”を一緒に盛り上げてくれたからこそ、今の景色があるんだと思います。だから、僕はその気持ちにこれからも全力で応えていこうと思いました」と、ファンの存在の大きさをあらためて告げる。そして、「だから、今日はツアーファイナルだけど、絶対にこれが最後じゃない」と未来の約束をして、本編最後の曲「TEAM」へ。

 「TEAM」は、前回のツアー『MAMORU MIYANO ARENA LIVE TOUR 2022 〜ENTERTAINING!〜』では観客は発声ができず、バンドやダンサー、スタッフが代わりに歌い、ファンは心のなかで想いを乗せ、歌った。宮野はその経緯を伝え、「もう我慢しないで、みんなで一緒に歌いましょう。僕らはチームです。チームマモ全員で歌います!」という言葉に会場がひとつになる。最後はすべての声を振り絞るように歌い上げ、何度も胸を叩き、ステージから去っていった。

 鳴りやまないアンコールに応え、ライブTシャツに身を包んで再登場した宮野。青と白の光に包まれ、幻想的な光景のなか歌われたのは「透明」。「今日、ひとつここで僕の夢が叶いました。この曲を作ってもらった時から、夢見ていた光景です」「みんなの声に呼ばれて、名前を呼んでくれて、包まれて、満たされて、この曲を歌うことができました」と、コロナ禍で生まれた楽曲をついに声援のなかで歌えた実感を語った。

 その後、2024年の富士急ハイランドとのコラボや、本公演のテレビ放送、来年6月にシンフォニックコンサートを開催などの嬉しい告知が成され、「来年の6月までを(アーティストデビュー)15周年とします!」と宣言されると観客からは歓びの大歓声と拍手が贈られる。「ラストもう一曲、全員で行くぞ!」とシャウトして始まったのは、「EXCITING!」。真っ赤に染まったペンライトの海のなか、全身を使って歌い上げられる。そのパワフルさと会場の一体感は最後まで増すばかりだ。

 ダブルアンコールで披露されたのは「J☆S」。客席をトロッコで巡りながら、会場の隅々まで手を振り続け、ファンと互いに感謝の想いを贈り合うあたたかい空気のなか、ツアーの幕は閉じた。

 色濃い個性を打ち出しながらも幅広いジャンルの音楽を網羅し、そのすべてにおいて圧倒的なパフォーマンスを見せつつ、ファンとの双方向性を失わない。そんな宮野真守のライブは、今後も進化を続けるのだろう。『SINGING!』のツアータイトルにふさわしく、ファンと一体となって歌う歓びをあらためて示し、未来への希望を感じさせたライブだった。

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