米津玄師「KICK BACK」、米レコード協会ゴールド認定が持つ歴史的意味 本人コメントも踏まえて考察

 米津と常田の2人が筋トレ対決を繰り広げるという衝撃的なミュージックビデオが果たした役割も大きいだろう。YouTubeのコメント欄には各国語のコメントも集まっている。奥山由之監督が手掛けたこのMVについては米津はこう語っている。

「あれはすごかったですね。あれは監督の奥山さんの手腕で、こんなに素晴らしいミュージックビデオが出来上がったのは、すごく幸せなことだと思います。それまでの自分のモードとして、曲やミュージックビデオの中にユーモアや笑える要素を取り入れる、そのことによって自分を俯瞰から眺めることで作り変えていくみたいなことを2、3年くらいやってきたんですけれど、『KICK BACK』の映像が出来て、これ以上はないなという感じがした。そういうエポックメイキングな出来事でした。やりきった感しかないですね」

米津玄師 Kenshi Yonezu - KICKBACK

 そして、大きなポイントは、この曲が決して海外の音楽シーンのトレンドを意識したり、グローバルヒットになることを狙って作られたようなものではない、ということだろう。むしろ北米や英語圏のポップスの潮流にはないタイプの楽曲である。歌詞も日本語だ。そういう楽曲がアメリカのマーケットで結果を残したということは、J-POPの海外受容という面でもエポックメイキングな出来事だと思う。

 日本語で曲を書くということのこだわりについての米津の発言も印象的だった。

「自分の中での方法論とか、自分がやりたいこととか、歌ったり演奏したりする上での喜びというものが、大きく日本語に結びついている実感があるんですね。それが一番自分にとってしっくりくる。もっと言うと、そこ以外だと神通力が宿らないんですよ」

 「KICK BACK」だけでなく、米津玄師の他の楽曲もこの先大きく広まる可能性を持っている。

 12月8日には宮﨑駿監督の映画『君たちはどう生きるか』(英題『THE BOY AND THE HERON』)がアメリカで公開される。“アカデミー賞の前哨戦”とも言われるトロント国際映画祭で観客賞(ピープルズ・チョイス・アワード)の3位となるなど、同作は海外での評判も高い。米津による主題歌「地球儀」(英題「Spinning Globe」)も、映画と共に広まっていくはずだ。

 米津はアメリカでのヒットについて「どういう人たちが自分のことを好きでいてくれるのか、顔をつき合わせて聞いてみたいと思ったりしますね。まだアメリカには行ったことはないんですが、いつかライブとかで行ってみたいなとは思っています」とコメントしていた。

 新たなフィールドで彼の音楽がどう響くのか、さらなる海外展開にも期待したい。

※1:https://www.riaa.com/gold-platinum/?tab_active=default-award&se=sukiyaki#search_section

米津玄師「KICK BACK」

■米津玄師「KICK BACK」
特設サイト:https://reissuerecords.net/kickback/
リンクファイア:https://smej.lnk.to/KICKBACK
ミュージックビデオ:https://youtu.be/M2cckDmNLMI

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