湘南乃風、レゲエへの葛藤や解散危機を乗り越えて築いた居場所 それぞれの思いが交差するデビュー20周年インタビュー

家のような、自分の帰る場所(RED RICE)

RED RICE

ーー二十周年記念公演『風祭り』はどんなライブになりそうですか?

RED RICE:湘南乃風のベストな楽しみ方ができるライブになっているんじゃないかと思います。周年なので規模も大きいし、お祭り的な要素が多いので、このライブにしか来ない方もきっといると思うけど、誰一人置いていかず全員が楽しめる選曲になっています。

ーー前回ハマスタで開催した10周年記念公演で印象に残っていることはありますか?

RED RICE:最高でしたね。神奈川県出身者で、横浜スタジアムを知らない人はいないだろうし、俺も子供の頃から大洋ホエールズ(現:横浜DeNAベイスターズ)の試合を観に行っていた場所なので、そこに立てるのはすごく嬉しかったです。野球場でライブができるのは格別で、すり鉢状になっているのでそこから見える景色が最高でした。その頃はまだ未来に不安も感じていなかったから、横浜スタジアムに立てるのが当たり前だと思っていて、今と10年前の心境は全く違うと思います。やっぱり10周年以降のこの10年は、かなりきつかったです。横浜スタジアムにはもう来られないかもしれないと思う瞬間は、いっぱいありました。10周年までは、もっと知名度を上げたいとか、もっと楽曲を届けたいという気持ちでみんながまとまっていたけど、10周年以降はそれぞれのやりたい方向性が変わったり、ソロ活動も活発になりました。お互いを分かり合ったことで馴れ合ったわけじゃないけど、据え置きにしていた感情が結構あって、15周年が終わった後にそれが爆発して、ぶつかり合った時はヤバイかもなって思いました。

 湘南乃風の存続自体がヤバイと思うところまで行って、そこから2年くらい休止期間があったんだけど、それで何となくまた気持ちがお互いに向き合ってきて、「じゃあ再開しようか」となった時にコロナ禍になってしまって。そこから20周年までの5年は、本当にやばかったです。それまで当たり前に埋まっていた会場も埋まらなかったり、この先もうあの景色は観れないのかな、あの日常は戻ってこないのかなって、すごく感じました。横浜スタジアムなんていう言葉は、2~3年前までは全然出て来なかったくらい不安でした。「20周年を迎える時に世の中はどうなっているんだろう?」って、それすら見えない時期が結構長くあって。大変な時期だったけど、それでも何とか前を向いてポジティブな気持ちに変換する作業ができた。それによってメンバーがまとまってきて、「いよいよ20周年に向かえるんだな」って。ここ最近ですね、そういう実感が湧いてきたのは。

ーーメンバーとの関係はどうでしょう。

RED RICE:20年でやっと本当の友達とか、本当の夫婦になれると、先輩から聞いたことがあって。「確かにそうかもな」と20年経って思いました。俺らはライバルという感じでスタートして、もちろん友達だったけど、本当の友達にはまだ辿り着いていなくて。でも20年くらい経つと悪いところも含めて許せたり、年齢も重ねるからいい意味でこだわりがなくなるんです。ライバルとかそういうことを一回置いて、本当の友達になれたみたいな感覚は、今回のツアーを回ってみてあったかなって思います。

ーーハマスタのセットリストで思い入れのある曲は?

RED RICE:「睡蓮花」です。「純恋歌」の次にリリースした曲で、ちょうどその頃は“ソカ”のリズムが流行っていて、「俺らもやりたいね」という話を若旦那にして作りました。「純恋歌」が湘南乃風として作った初めてのラブソングで、その曲でたくさんの人に認知してもらえたけど、「やっぱり俺たちは現場だよね」とか、タオルを回して盛り上がるパーティーチューンの楽曲にしたい、現場で一番盛り上がる曲にしたいという思いで制作したのが「睡蓮花」です。その頃は若旦那とよく遊びに行っていて、オールジャンルのクラブに行って感じたノリも楽曲に取り入れてみたり、当時の俺らが知り得る限りの盛り上がる要素を詰め込みながら、その裏には難病支援のメッセージも込めました。

 ただ「イェー!」って盛り上がるだけで終わる曲にはしたくなくて、そこに湘南乃風としてのメッセージを残したい、そういうバランスで考えたら、曲の長さが7分を越えるような曲に仕上がっていました(笑)。要は、「俺らを作り上げた曲」です。これがあればどんな現場にでも出ていけるし、俺らの気持ちを強くしてくれるし、俺らを支えてくれたと思います。あれからいくつも“ソカのサマーチューン”を作ってきたけど、時間経過と共に「睡蓮花」を歌い続けるのはいいことだなって、だんだん気持ちが変わりました。それに代わる何かを生み出すことよりも、それを歌い継いでいかなきゃみたいな気持ちが出てきて、本当に俺らが胸を張って代表曲だと言える曲です。ライブで盛り上がるとかメッセージを込めるとか、いろんな良さが詰まった、「ザ・湘南乃風」みたいな曲なんじゃないかと思います。

ーーデビュー当時と20周年の今で、RED RICEさんの中で変わったところはありますか?

RED RICE:デビューした頃は、まだ自分が定まっていなくて、すごく格好つけていたと思います。10周年くらいまでは、そうだったかもしれないですね。「そういうのはもういいや」って、結構ナチュラルに自分をさらけ出す感じになれたのは、本当にここ数年のことです。当時は、すごく気が張っていたのだと思います。俺はグループで一番実力がなかったし、ナイナイ尽くしで、ただみんなと出会えてグループを組めたからこうなれたみたいな。だからグループとして評価を受けても、一回も本心で腹の底からストンと満足できたことや、その評価を素直に受け入れられたことがありませんでした。

 ずっとそういう感じがあったから、どこかで虚勢を張るわけじゃないけど、格好つけたり強がったり、特に初期の頃はそうだったかもしれないです。でも、どこかでいろんなことを認められるようになりだして、みんなのおかげだっていうことを素直に受け入れられるようになったり、そんな中で自分のポジションでできることをやればいいんだ、ラッキーでこのグループにいられたとしても、その中で自分の存在意義を見つけられればいいやみたいな気持ちに、どこかでシフトしていって。そこからは、自分の良さをもっと出そうとか、肩肘張ることを止めようという気持ちになりました。

ーーRED RICEさんにとって湘南乃風とは?

RED RICE:俺にとってはホームみたいな感じ。家のような、自分の帰る場所で、自分を育ててくれて、飯を食わせてくれて、兄弟たちがいろんなことを教えてくれて、そこでいろんなことを学んで。もう人生の半分をここで過ごしているので、全てが詰まっているんじゃないかな。

■放送情報
『湘南乃風 二十周年記念 WOWOWスペシャル“風祭り”』

・湘南乃風~二十年の伝説~ 完全版
10月15日(日)午後7:30~放送・配信 [WOWOWライブ][WOWOWオンデマンド]
メジャーデビュー20周年の湘南乃風。メンバー各自の視点で振り返る歴史、横浜スタジアム公演への想いとは。彼らの過去~現在~未来を解き明かすオリジナル特番の完全版。

・湘南乃風 二十周年記念公演『風祭り at 横浜スタジアム』
10月15日(日)午後9:00~放送・配信[WOWOWライブ][WOWOWオンデマンド]
湘南乃風、20周年記念の横浜スタジアム公演を独占放送&配信。「純恋歌」「睡蓮花」などヒット曲連打、コロナ禍を乗り越えて取り戻したタオル回しの“熱い”夏をお届け。
収録:2023年8月12日(土)神奈川・横浜スタジアム

・湘南乃風ライブ『十周年記念 横浜スタジアム伝説』
11月3日(金・祝)午後10:00~放送・配信[WOWOWライブ][WOWOWオンデマンド]
「純恋歌」「睡蓮花」などのヒット曲をリリースし、邦楽シーンを牽引してきた湘南乃風。10周年を迎え、2013年8月に横浜で行った一夜限りのスタジアムライブ。
収録:2013年8月10日(土)神奈川・横浜スタジアム

・湘南乃風ライブ『風nation2014 ~男気ハンパねぇ!!不良少年パワースポット~』
2023年12月放送・配信予定
2013年にデビュー10周年を迎え、「第二章」の幕を開けた湘南乃風。初開催となった、さいたまスーパーアリーナでの熱いライブの模様を放送&配信する。
収録:2014年12月28日(日)埼玉・さいたまスーパーアリーナ

・『“湘南乃風” 宴 ~俺たちと一緒にタオルまわさねぇか!! TOUR2016~』
2024年1月放送・配信予定
湘南乃風が2016年に全国6都市10公演のアリーナツアーを開催。その中から、会場が熱狂とタオルで埋め尽くされた愛知・日本ガイシホールでのファイナル公演を放送&配信。
2016年12月18日(日)愛知・日本ガイシホール

■関連リンク
番組サイト:https://www.wowow.co.jp/music/shonannokaze/

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