リアルサウンド連載「From Editors」第27回:『孤独のグルメ』で紹介されていたトンカツが美味しかった
「From Editors」はリアルサウンド音楽の編集部員が、“最近心を動かされたもの”を取り上げる企画。音楽に限らず、幅広いカルチャーをピックアップしていく。
『孤独のグルメ』ってすごい
一人暮らしのひとり飯が辛過ぎて、誰かと一緒にご飯を食べている気分を出すためにハマったのがドラマ『孤独のグルメ』(テレビ東京)。
『孤独のグルメ』で取り上げられたお店を訪れる、という聖地巡礼的な趣味はまったくないが、たまたま訪れた街に聞き覚えがあり、ふと訪ねてみようと思い立った。
お店の名前は「とんかつ しお田」。『孤独のグルメ』シーズン9の第一話で井之頭五郎(松重豊)が訪れる、宮前平の丘を登った先にある小さなトンカツ屋だ。
筆者は普段トンカツ屋にはまず行かない。食べ物としてパワフル過ぎるというか、食べ切るのが辛そうだからだ。おそらく、トンカツ屋に入ったのは数年ぶりだった。
カウンター席しかないこぢんまりとした店内は、おそらく10人も入れない。店主とおかみさんの二人で切り盛りしているのであろう。昼(11時〜14時)と夜(17時〜20時)の二部制で、筆者は夜の部の開店時間となる17時を少し過ぎた頃に入ったが、すでに半分以上の席は埋まっていた。
井之頭さんは「ひれかつ御膳」に「クリームコロッケ」と「海老フライ」を単品で注文していたが、筆者はヒレカツと海老フライがセットになった「海老ヒレ御膳」と「クリームコロッケ」を注文。オープンキッチンでトンカツが揚がるまでの工程がカウンターから見えるのも楽しい。
そうして眺めている間に、ご飯・豚汁・小鉢・漬物、そしてメインのヒレカツ&海老フライという大ボリュームの御膳が目の前に登場した。
ここのヒレカツは肉をカットして串にさして揚げるという風変わりなスタイルで、カツの形が俵型になっている。そんなカツとの未知との出会いだったが、ひと口つければサクっと衣が軽快な音をたて、肉の旨味が噛むごとに溢れてくる。脂が削がれた肉本来の味はこんなにも濃密なのかと膝を打つ美味さ。自らすり鉢でするゴマの風味も良し、ソースで食べても、塩で食べても美味い。トンカツ観が一気に変わる味だ。
そしてゴロリとしたヒレカツの奥にそびえるはキャベツの山、そしてその横に鎮座する巨大な海老フライ。タルタルソースに潜らせて海老フライを一口。こちらも衣はサクサク、海老はプリプリで大満足の一品だった。
残るはクリームコロッケだが、これもまた新しい体験。タコやらイカやら具材がゴロゴロ、まろやかなクリームに包まれた海鮮の旨味が口の中でほどけて広がっていく。筆者の中でのクリームコロッケ革命が宮前平で起きていた。
食後、胃袋が満たされた幸福感と共に思ったことは、『孤独のグルメ』ってすごい。さすがテレビ東京の長寿番組。伊達にシーズン10まで続いてない。
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