ゆず、Kアリーナ横浜こけら落とし公演2日間を総括 アコギと歌、ダイナミックな演出…“HIBIKI”掲げた究極のエンターテインメント

「DAY2 RED×ALL STARS」

 「RED×ALL STARS」と題された2日目の公演は、バンドメンバーの河村吉宏(Dr)、須藤優(Ba/XIIX)、松本ジュン(Key)、真壁陽平(Gt)、磯貝サイモン(Key/バンドマスター)とホーン隊、弦カルテット、さらに総勢150名のパフォーマーが参加。幅50m×奥行き15mのステージ、縦12m×横42mの巨大LED稼働スクリーンなど、Kアリーナ横浜のスペックを最大限に活かした極上のエンターテインメントを体現してみせた。

 オープニングに選ばれたのは「ヒカレ」。開放的なバンドサウンドと〈閉ざされた 扉 今/開けて明日へ〉というこけら落としにピッタリのフレーズが響き合い、グッズの赤いTシャツを着た観客が手拍子で応える。続く「うたエール」では大勢のパフォーマーが登場。〈待っているよ 未来/届け 僕らの声〉という今回のライブのテーマとつながる歌を高らかに打ち鳴らした。大きな会場を包み込む〈LA LA LA〉の大合唱によって、ライブは早くも最初のピークを迎えた。

 「僕たちゆずとバンドメンバー“HIBIKI ALL STARS”、そしてHIBIKIダンサーズと一緒に、最高の、究極の“ゆずエンターテインメント”をお届けします!」(北川)というMCのあとは、楽曲ごとに様々な演出が施されたステージが続いた。リリックビデオ風のポップな映像とともに披露された「公私混同」。シックな音像と憂いを帯びたボーカルが結びついた「from」。モノクロのムービーが楽曲の世界観を際立たせた「彼方」。クラシカルなストリングスからはじまり、可動式の照明トラスによる鮮やかな光とともに心地よい高揚感を生み出した「慈愛への旅路」。独創的なアイデアと最新の技術を駆使したステージングは、まさに“ゆずエンターテインメント”と呼ぶに相応しい。

 ライブ中盤では会場全体が一つになる場面が続いた。「俺たちの街に来てくれたみんなに、この曲を届けます」(北川)という言葉に導かれたのは「桜木町」。イントロが始まった瞬間に大きな拍手と歓声が沸き起こり、約20年前にリリースされた名曲が気持ちよく広がっていく。「タッタ」では北川がステージ下手、岩沢がステージ上手に移動。タンバリンを持って踊るオーディエンスの“楽しい!”が溢れた笑顔も心に残った。モータウン風の軽快なビート、華やかなホーンの音色が一つになった「夢の地図」では大きなバルーンが客席で跳ね、温かみのある歌声と前向きなメッセージがさらに増幅されていく。観客参加型のステージもまた、ゆずのライブの大きな魅力だ。

 二人が横浜の名所を巡る映像(この日は大観覧車「コスモクロック21」、山下公園でした)の後も、Kアリーナ横浜のスケール感を活かしたステージが続いた。センターステージで披露された「REASON」では、70台のレーザー、総数800台の照明を活かした“光のアート”と呼ぶべき演出で楽曲の世界観を鮮やかに描き出す。軽快な4つ打ちと“君”への切ない思いが交差する「君を想う」の後は、「やばいよね。伝説の夜だよね、すでに。次は僕らの代表曲を」(北川)と「雨のち晴レルヤ」へ。提灯、花火、かざぐるまなど和の雰囲気を感じさせる映像とともに、一つひとつのフレーズを丁寧に紡ぎ出した。

 続く「ULTRA HIBIKI PARTY」も、DAY2の大きなポイントだった。マスコットキャラ「ゆず太郎」をモチーフにしたアンドロイド“YZ-TARO”が、人類の危機を救うため、100年後の世界から2023年の横浜にやってくる……というビジョン映像からはじまったのは、アッパーチューンを繋げるダンスミックスメドレー。巨大なDJブースにギラギラの衣装をまとった北川、岩沢が登場。ゲストDJのTeddyLoidとともに「恋、弾けました。」「マスカット」「奇々怪界-KIKIKAIKAI-」「言えずの♡アイ・ライク・ユー」「RAKUEN」をつなげ、会場を巨大なダンスフロアへと変貌させた。特筆すべきは音響の良さ。エレクトロ的なトラックと生のバンドサウンドのバランスも素晴らしく、ゆずの新たな音楽的トライを体感できた。

 バンドによるインスト演奏、メンバー紹介を挟み、ライブはクライマックスへ突入。いきいきとしたバンドグルーヴとともにサビの大合唱が生まれた「少年」、“それそれそれそれ!”“祭りだ祭りだ!”コールも楽しい「夏色」。何度もライブで聴いてきた楽曲だが、この日も驚くほどにフレッシュなステージが繰り広げられた。根底にあるのはもちろん、“みんなと一緒に思い切り楽しみたい”という二人の真っ直ぐな思いだ。

 本編ラストは新曲「ビューティフル」。ユリの花の映像、パフォーマーたちの演舞、〈響き合うよ 僕らは ひとつずつ彩ってゆく〉という言葉が結びつき、大きな感動へとつながった。Kアリーナ横浜で撮影されたMVを踏襲したステージは、今回のライブのもっとも重要なポイントだったと言っても過言ではないだろう。

 オーディエンスによる「贈る詩」の合唱に導かれ、ゆずとバンドメンバーが再びステージに登場。フラッグを掲げたパフォーマーとともに「Frontier」を放ち、圧倒的な一体感を生み出してみせた。ここで北川は、改めて今回の公演について語り始めた。

「誰にも超えられない、とんでもないこけら落としをやってやろうと心に決めていました」「この会場で俺たちの声を、思いを響かせたい、そんなふうに思いました。それ以上に、みんなの思いと歌声と笑顔と涙と歓声と拍手をこの会場に響き渡らせたい。そんな思いでこのタイトル(“HIBIKI”)を付けました。今、このタイトルを付けて本当によかったと心から思っています」

 最後はもちろん「栄光の架橋」。ゆず、観客が思い切り声を響かせ、ライブはエンディングを迎えた。

 生声で「ありがとうございました!」と感謝を告げ、がっちり握手を交わした二人。そしてスクリーンには「beautiful never give up!」「またあおう ゆず」の文字。弾き語り(DAY1)、バンドセット(DAY2)を通し、ゆずの音楽表現がさらに大きく広がり続けていることを証明した、記念すべき公演だったと思う。なお、ゆずは今回のライブの好評を受けて、11月18日・19日の2日間、同じくKアリーナ横浜で『YUZU SPECIAL LIVE 2023 HIBIKI in K-Arena Yokohama』のアンコール公演を開催する。

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