EXILE TAKAHIRO、シンガーとして開けた新しい世界 コロナ禍や初の単独ツアーを経て紡がれた、人生を鼓舞する楽曲たち
「歌うのが苦しかった時もあった『Ti Amo』をどんどん好きになった」
――「THIS IS LOVE」(作詞:小竹正人/作曲:Ryan Kim, Chris Lee, Joris Daniel, Daan Jansen, BrownBoyz)についてはいかがですか?
TAKAHIRO:この曲も「Unconditional」を作曲してくださったRyan Kimさんを中心に、海外作家の方々が作ってくださったのですが、80年代っぽいエモさのある音遣いで、あの頃の音楽シーンの香りがするバラードです。今こういう曲をやるのは逆に新しいし、この曲は化けると思いました。
――優しく語りかけるようなメロディと歌唱が印象的ですが、自分で作詞せず、小竹さんに依頼したのはなぜですか?
TAKAHIRO:一度は自分で書こうと思ったんですけど、この曲を自分で書いたらイメージ通りにしかならないなと思ったんです。期待を超えないだろうなと。そうではなく、もっと詩的で小説のような雰囲気を感じたいなと思ったので、デビュー曲以降、長年お世話になっている小竹さんに作詞をお願いしました。僕はライブでも小竹さんコーナーを作るくらい、小竹さんが書く歌詞の世界観が好きで。「THIS IS LOVE」も星空の下で聴いているような、神秘的な景色がバッチリと浮かぶ歌詞で、お願いしてよかったなと心から思いましたね。小竹さんはいつも「TAKAHIROはこういう歌詞を歌うといいと思う」っておっしゃってくださるので、今回も今の僕に似合う歌詞を書いてくださったんだろうなと思います。
――また、EXILE RESPECTシリーズの楽曲を集めたDISC-2には、新たに「Everything」「羽1/2」「Ti Amo」が収録されています。2021年に「優しい光』」についてインタビューした時は「これまでも、良い形になった曲から順番にどんどんリリースしてきましたし、今後もフットワーク軽めに続けていけたらと思っています」(※1)とおっしゃっていましたが、この3曲も同じ流れでしょうか?
TAKAHIRO:いえ、コロナ禍の不幸中の幸いで、時間だけはたっぷりあったので、あれから制作が一気に進んだんです。なので今回は、いくつかある候補曲の中から選べる状態にあって。特に『EXPLORE』は、自分にとってかなり思い入れの強いアルバムになると思ったので、デビュー曲「Everything」は絶対収録すべきだと思いました。そして「羽1/2」は、ATSUSHIさんとSHUNさんが第一章で歌われていた名曲で、自分がファンだった頃から大好きな曲。たぶん、カラオケで一番歌ってきた曲だと思いますし、いまだにカラオケに行ったら必ず歌う十八番です(笑)。
――DISC-1には、ATSUSHIさんが作曲し、清木場俊介(SHUN)さんが作詞した「Spotlight ~光の先へ~」も収録されていますが、SHUNさんが手掛けた「羽1/2」を歌い、ご自分のアルバムに収録することも、TAKAHIROさんにとって夢のようなことなんでしょうね。
TAKAHIRO:はい。憧れの2人が歌ってきた楽曲をカバーするのは、もちろん緊張感がありますけど、生粋のEXILEファンだからこそ、「羽1/2」はぜひ自分の声で大切にカバーさせていただきたいなとずっと思っていて。その気持ちが強かったので、実は「羽1/2」はアルバムリリースが決まる前、それこそEXILE RESPECTシリーズが始まった当初に完成していたんです。それから数年が経ち、今回ようやくリリースすることになりました。
――「Ti Amo」も長年愛されている名バラードですが、TAKAHIROさんにとってはどんな存在ですか?
TAKAHIRO:以前もお話した通り、僕はデビューしてから長いことスランプに陥っていて。そのスランプ時期のど真ん中に発表したのが「Ti Amo」。『日本レコード大賞』をいただいた思い出深い曲ではありますが、本音を言うと、歌うのが苦しかった時もあって。でも、ファンの方にとっては、EXILEの楽曲一つひとつに大切な思い出があって。みなさんがそれだけ愛してくださっているのに、歌をお届けする僕が曲を愛せていないというのは、本当に失礼な話だなと思ったんです。いつまでもトラウマにとらわれていないで、自信を持って堂々と歌をお届けできるようにならないといけないなと。EXILE RESPECTシリーズ自体もそういう決意で始めた企画ですし、「Ti Amo」の制作も同じ心構えで取り組みました。
――改めて「Ti Amo」と向き合ってみて、心境は変わりましたか?
TAKAHIRO:単独ツアーでも「Ti Amo」を披露したんですが、歌うたびにどんどん「Ti Amo」のことが好きになっていきました。そう思えるくらい、EXILE RESPECT企画で自分自身が救われたなと感じていますし、それに対する恩返しの意味も込めて、今回アルバムに収録させていただきました。
――「Ti Amo」のアレンジからは、冒頭で伺ったバンドメンバーとの関係性も感じました。楽器と声で会話しているみたいだなって。
TAKAHIRO:ライブで披露した際も、「Lovers Again」や「Ti Amo」はセッション感が強くて。グルーヴを一番感じられる楽曲なので、ミュージシャンもみんな「楽しい」って言いながら演奏していました。特にライブは、オリジナルのフレーズをなぞってみたり、ライブならではのアレンジを加えていたりするので、DISC-5に収録されるライブ映像と音源との違いを比べていただけると、二度美味しいと思います。
――個人的には、「Ti Amo」の〈遊びのような恋には向いてない むかしから〉の後の「アッ」っていう声が好きです(笑)。
TAKAHIRO:あれは、オリジナルでATSUSHIさんが入れてたんです。それがとてもカッコよかったので、僕もやりたいなと思い、入れました。「道」とかもそうなのですが、EXILE RESPECTでは、ライブでいつもATSUSHIさんがやるアレンジをできるだけ再現したいなと思っているんです。僕もそうだったんですが、いつもライブに来てくださっている方たちは、音源よりもライブでのイメージが強く印象に残っているだろうなと思ったので、そういう方の期待に応えられる歌を収録したいなと。EXILE RESPECTは、ファンがファンのためにやっているような企画なので(笑)、同じ気持ちで楽しんでもらえたらいいなと思います。
――では最後に、この先のソロ活動の展望を聞かせてください。
TAKAHIRO:このアルバムを作ったことで新たな世界が開けたと感じているので、この先はもっと自由に、型にはまらない活動をしていけたらいいなと思っています。9月21日には、『EXILE VOCAL BATTLE AUDITION』の最終審査を行った思い出の地・日本武道館でもワンマンライブが控えていますが、それ以降もいろんな距離感、表情のステージをお見せしていきたいと思っています。今後は今までよりも積極的にソロ活動をしていくので、ぜひアルバムを聴き込んで、ライブに来ていただけると嬉しいです。
※1:https://realsound.jp/2021/08/post-833915.html
■リリース情報
EXILE TAKAHIRO
New Album『EXPLORE』
2023年9月6日(水)リリース
【3CD+3DVD】¥11,000(税込)
【3CD+3Blu-ray】¥11,000(税込)
【2CD】¥4,950(税込)
■ライブ情報
『EXILE TAKAHIRO 武道館 LIVE 2023 “EXPLORE”』
9月21日(木)開場17:30 / 開演18:30
会場:日本武道館