山下智久、デビュー27年目の集大成と新たなスタート 大事な仲間への感謝を刻んだアリーナツアー最終日

山下智久、5年ぶりツアー最終日レポ

 この公演の2日前の9月1日に、芸能生活27周年を迎えた山下。これまで音楽だけでなく、役者としてもさまざまな経験を積んできたと語り、そしてスクリーンにはドラマ撮影時の一枚の写真が映し出された。写真は、2007年放送のドラマ『プロポーズ大作戦』(フジテレビ系)での一枚だった。同ドラマ主題歌の「明日晴れるかな」(桑田佳祐)のイントロが流れ始めると、山下は大階段に座りながら優しい歌声を響かせ、会場を温かなムードに包む。続いて、『コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-』(フジテレビ系)の主題歌「HANABI」(Mr.Children)へと繋げ、青色のペンライトに包まれた会場を見て、「コード・ブルーだからブルーなんだ! 赤い人は反抗期だ(笑)」と笑いを誘いつつ、「皆さんの大きな思いやりでこのステージは彩られています。たくさんの愛情ありがとうございます!」と柔らかな笑みを浮かべた。

 「大事な人を思い浮かべながら聴いていただけたら」と言って披露したのは、自身主演の映画『SEE HEAR LOVE 見えなくても聞こえなくても愛してる』(Prime Video)の主題歌で、全編英語詞のナンバー「I See You」。続けて「Forever in My Heart」をしっとりと届けたあとは、「Vision」「Beautiful World」といったダンスナンバーで盛り上げていく。

 本編のラストを飾ったのは、アルバム『Sweet Vision』でも作品の最後に収録されている「ONE」だ。人には無限の可能性があると信じているからこそ、聴いている人に希望や勇気を届けられるように、一緒に夢を見続けられるようにという想いを込めた曲だという。〈支え合った日々の意味が/形になってく〉〈ひとつ ひとつ 叶えてゆく/ひとつ ひとつ 進んでいく〉――そんな歌詞は、10代の頃から現在まで挑戦を繰り返し、音楽や映像作品と多方面で活躍してきた山下自身の生き方と重なるように思う。力強く歌い上げたあとは、マイクを通さず地声で「ありがとう!」と告げ、ステージを後にした。

 アンコールでは、1曲目に「愛、テキサス」を披露。ラストサビ前の語りパートでは、「今日はみんなに会えて嬉しかったです。27年経ったけどこれからもよろしくね!」と再び感謝を告げた。2曲目の「Summer Nude」では、ステージにダンサーとキッズダンサーが全員登場。曲の終わりと共に銀テープが打ち放たれ、華やかなフィナーレを飾った。

 過去曲が盛り込まれていたことや、自身が出演したドラマ主題歌のカバーもあったことを踏まえ、これまでの山下のキャリアをなぞるようなライブだった。約5年ぶりのツアー開催ということで、ファンとの久々の再会を果たしたツアーでもあり、自身の再出発を意味するツアーでもあったのではないかと思う。ステージから去る直前には、「今回は長い間待たせてしまいましたが、次はすぐに会いましょう!」と約束を交わしていた。ファンと一緒に夢を見続けていくために、きっと彼はまたここから、一つひとつ進んでいくのだろう。

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