乃木坂46、『おひとりさま天国』で通算32作目の首位 アイリッシュトラッド風EDMの冒険作に感じる王者の風格

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参照:https://www.oricon.co.jp/rank/js/w/2023-09-04/

 乃木坂46の新曲は、なぜアイリッシュトラッド風のメロディが繰り返されるEDMなのか? しかもイントロから壮大。何が起きているのだ? そう考えていたところ、この記事の原稿依頼が来ました。2023年9月4日付のオリコン週間シングルランキングで1位を獲得したのは、乃木坂46の『おひとりさま天国』。通算32作目の首位獲得となりました。

乃木坂46『おひとりさま天国』

 「おひとりさま天国」は、イントロですぐ、EDMのビルドアップのスネアロールが鳴り響きます。17秒頃からのメロディは、そのままEDMにおけるドロップだとも解釈できます。そしてAメロに突入しても、歌詞の合間では、前述のドロップと同様のメロディが繰り返されます。そのメロディはアイリッシュトラッド風なので、ちょっとした混乱を私にもたらしました。

 そのメロディの部分に関しても、これまでの乃木坂46のサウンドを踏襲した部分があり、メンバー以外と思われるコーラスが響いています。そしてBメロに入ると、再びスネアロールが鳴り響くビルドアップに。サビの直前に〈It's the single life〉という声が挿入されるのも効果的。サビは普通に歌詞が歌われ、さらに〈ナナナ〉という歌声が続きます。

 メンバーによると思われる「ヘイ!」という掛け声も、効果音のように全編に挿入されています。また、こうしたEDMサウンドなのに、2番でエレキギターが鳴り響くことには慄きました。全編を聴き終えて軽く唖然としたことも書き記しておきましょう。一曲の中で、J-POPの形式とEDMマナーの両方が同居している楽曲なのです。混沌としているのにすっきりと聴かせる辺りは、編曲のAPAZZIによるトラックメイキングの魔法だとも言えるでしょう。

 長々と書いてきましたが、要するに「おひとりさま天国」は音楽的にはかなりの冒険作。よくシングル表題曲になったと思うほどです。乃木坂46の公式ライバルとして、僕が見たかった青空もシングル『青空について考える』でデビューしましたが、サウンド的には穏健。いつかアイリッシュトラッド風のEDMまで聴かせてしまう乃木坂46に追いついてほしいものだと感じます。そんな「おひとりさま天国」を、ポップスとしてごく自然に聴かせてしまうのは、現在の日本のアイドルシーンのトップに君臨する乃木坂46だからこそ。王者が王者たるゆえんを感じさせるのが「おひとりさま天国」です。

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