内田雄馬、全国ツアー『Keep in Step with』で魅せた音楽への情熱 “チーム”としての絆を再確認した一夜

 バンドとダンサーによるパフォーマンスパートのあとは、青のライダースジャケット衣装に着替え、ハードなサウンドにパワフルなボーカルを乗せた「Loser」、レトロでスタイリッシュな照明演出のなかで歌われた「Mirror」と怒涛のセットリストが続く。前向きでストレートなメッセージ性を携えた「スタートライン」では、ステージ上段で反復横跳びをしながらも完璧なボーカルを披露する驚愕の歌唱力を見せ、最後は笑顔のまま側転を決めた。さらに、「BE MY BABY」でもエネルギッシュなダンスを見せ、内田のパフォーマンスは加速していくばかり。

 2階スタンドを一周し、ファンの近くで歌われた「JOURNEY」、会場がひとつになって大合唱した「FROM HERE」、“内田雄馬化コーナー”としてスマートフォンでの撮影が許可された「equal」と、ファンとのコミュニケーションも濃厚だ。

 最後に選ばれた楽曲は「Salt & Sugar」。歌詞から引用されたツアータイトルの通り、ダンサーやバンド、演出、客席からの反応すべてが、内田のハイレベルなパフォーマンスと足並みをそろえ、彼のステージのひとつの完成形を見せたような形となり本編の幕が閉じた。

 そしてアンコールに応え、ツアーTシャツで再び登場。「SummerDay」はソウルフルにまるでフェスのような空気感で歌われ、会場の盛り上がりも最高潮に達する。

 振替公演となった本公演が、さまざまな奇跡が重なり開催できたことをあらためて感謝し、「本当にみなさんに支えられていると実感したツアーでした。振替によって観られなかった、来られなかった方もいらっしゃると思います。でも必ず“チーム内田雄馬”みんなで、また楽しい音楽を共有する時間を絶対に作って、またもう一度作ろうという気持ちおりますので、我々内田雄馬をよろしくお願いいたします!」と再会を約束。アーティスト活動5周年を迎えたことへの感謝と共に、「還暦まで楽しいこと、していたいよね?」と笑いながら呼びかけると、大きな歓声と拍手に包まれた。

 「NEW WORLD」「風でありたい」と、アンコールに突入してもパワフルなパフォーマンスは衰えることなく続き、全身を使って音楽の喜びをファンと共有した。この日のラストナンバーは、幕張公演で初披露となる「1 LOVE 1」。「必ずまたここで、みんなで会いましょう!」と告げると、会場の隅々まで喜びの表情で見つめ、「これからも共に歩んでいこう」という強いメッセージを歌い上げて、ツアーの幕を閉じた。

 彼自身がMCで“チーム内田雄馬”、“我々内田雄馬”と自称したように、ソロアーティストでありながらも、ダンサーやバンドメンバーのあたたかさやスタッフ、ファンを含めた”アーティスト・内田雄馬”の強さを感じさせた。

 歌唱力、パフォーマンス力は圧倒的なレベルだが、しかしそれは他者を攻撃することなくすべての人を巻き込み、全員の音楽への情熱をライブとして昇華しているようだった。ファンが参加できるコーラスや掛け声をモニターに映し出して声を出しやすいように演出され、また客席の照明も暗くしすぎずにステージと地続きであることが示されるなど、ファンも参加しやすい工夫がライブの随所に織り込まれていたことが印象的だ。まさに客席もステージも会場全体がひとつになって作り上げられた、『Keep in step with』というツアータイトルにふさわしいライブだった。

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