B'zは「太陽のKomachi Angel」でトレンド入り、THE ALFEEやAIRも定番に? 高校野球「夏の甲子園」のドラマを彩る応援曲
8月23日まで阪神甲子園球場にて熱戦が繰り広げられる、「夏の甲子園」こと第105回全国高等学校野球選手権大会。今大会では、2018年より導入された「タイブレーク制」に変更があり、9回が終了した時点で以降の延長全回、無死一・二塁の状態から始まる形となった。また、暑さ対策として5回終了後に10分間、選手たちが体を冷やす時間「クーリングタイム」が設けられた。「脱丸刈り」の高校が増えてきたこともトピックとなった。
それらだけではなく、筆者が注目したのが4年ぶりの声出し応援解禁である。それにより、各高校の吹奏楽が演奏する音楽に乗せた活気ある応援がよみがえり、選手たちの活力となっている。ちなみに8月16日におこなわれた3回戦、土浦日大と専大松戸の試合では、台風7号の影響で東海道・山陽新幹線の遅延、運休が相次ぎ、応援に駆けつけるはずだった専大松戸のチアリーダー、吹奏楽部員が球場へ到着できなかった出来事もあった。それでもベンチに入れなかった野球部員らが掛け声、拍手などで懸命に応援。「生声応援」はとても感動的だったが、熱戦の末、専大松戸は6対10で敗退した。
専大松戸が「チアリーダーや吹奏楽部がいなかったから敗れた」ということは断じてないだろう。ただ「音楽を使った応援」という部分に着目すると、それは選手の大きな支えとなり、なによりモチベーションがあがる。筆者も学童野球ではあるが野球経験があり、そういった「音楽応援」があるといつも以上に気持ちがのった(野球に限らず多くのスポーツにもあてはまるだろう)。それだけに球場へ着けなかったチアリーダー、吹奏楽部の悔しさは想像以上のものがあったはず。
山本リンダ「狙いうち」は定番選曲、X JAPAN「紅」は発祥不明
学童野球から高校野球まで「音楽応援」の選曲として昔からおなじみなのが、山本リンダの「狙いうち」(1973年)である。
〈ウララ ウララ〉を「打てよ 打てよ」、〈この世は私のためにある〉を「お前が打たなきゃ誰が打つ」という風に歌詞を替え、サビの〈狙いうち〉を「ヒットやホームランを打つ」に引っ掛けて歌唱。東京六大学野球の明治大学応援団がチャンステーマとして同曲を採用、また中日ドラゴンズもチャンステーマに使用するなど、幅広い世代に野球応援に使われる楽曲として定着している。「狙いうち」はまるで野球のために作られたのではないかと思えるほど替え歌として馴染みが良い。野球少年であれば必ず一度は口ずさんだことがあるだろう。
おなじく超定番なのが、X JAPANの「紅」(1989年)だ。過去にはチームカラーが赤色である広島東洋カープに在籍時の江藤智選手の応援歌として使われていたが、発祥についてははっきりとはしていない。
ただ野球に青春を捧げ、日々練習を積み重ね、仲間と共に甲子園という大舞台を目指す球児たちの姿と、X JAPANの破壊的なパフォーマンス、派手なメイクと衣装で決めたビジュアル、そして「紅」の〈紅に染まったこの俺を慰める奴はもういない〉〈もう二度と届かないこの思い〉という歌詞はどう考えても向かう先の世界観が違い、そのミスマッチな選曲が逆におもしろい。これはやはり「紅」が1980年代から1990年代の若者たちに大きな衝撃と格好良さを印象づけたことによる、「音楽応援」の選曲だったのではないだろうか。