香取慎吾はなぜパーフェクトビジネスアイドルであり続けるのか ライブ、個展、セレモニアルピッチ…福岡での密着映像から紐解く

 8月6日にRKB毎日放送でオンエアされた『個展「WHO AM I」開催記念 香取慎吾、福岡アイシテマース!』がTVerで配信されている。現在、福岡市美術館で個展『WHO AM I』を開催している香取。本映像は、その開幕までの3日間に密着したものだ。

 個展名の『WHO AM I』とは、アイドル、タレント、歌手、画家……とさまざまな形で活躍する香取が「俺は誰なんだろう?」と自問自答してしまうところからつけられたもの。密着映像でも、テレビ番組への出演に、福岡PayPayドームでのセレモニアルピッチ、そして個展の設営をして翌日には『Black Rabbit』福岡公演・北九州ソレイユホールのステージに立つなど、次々と異なる顔を見せてくれた。

 なかでも印象的だったのは、そんな多くの顔を使い分ける“香取慎吾”を客観的に見つめていく、いわば“セルフプロデューサー”な顔。その一面が色濃く見られたのが、セレモニアルピッチを終えた直後のことだ。もともと球技は苦手なほうだと言う香取だが、本番では見事なピッチングを披露。マウンドで見せた驚きと喜びが入り交じる笑顔は、私たちがよく知るアイドルの顔だった。

 だが、その後に控え室へと向かいながら「超うまくいくか、超外れて面白くなるか、どっちかなんですよ」と話した様子は、自分のことでありながら別の人について分析しているようにも聞こえた。まるで、うちの香取慎吾はこんなことができるんですよ、とでも言うように。

 また、そのあと取材陣に囲まれた会見では「記者のみなさん写真撮りましょうよ、一緒に!」と壇上に取材陣を呼び寄せ記念撮影をしていく。それも、ひとりのタレントがその場のノリで声をかけたというよりも、普段なかなか来られない福岡で出会った記者たちに「香取慎吾をどうぞよろしく」という気持ちがあったからのように見えた。

 筆者としては、このシーンが密着映像として届けられたことが嬉しかった。なぜなら、これまで何度も香取を取材してきたが、記者たちに向けてサービス精神旺盛な場面を数多く見てきたから。とはいえ、記事にする際には伝えるべき情報を優先して発信するため、なかなかその情報を入れていくのが難しい。また、「こんな嬉しいことをしてくれました」と個人的な感想を入れるのも少々気が引ける。かといって、香取が「こんなことをしてあげました」なんて自ら発信することもない。だから、香取のこうした粋な計らいをNAKAMA(ファン)に伝えるタイミングがなく、歯がゆい思いをしてきた記者も少なくなかったはずだ。

香取慎吾の福岡3日間に密着!【福岡SNG】

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