THE ALFEE、結成50周年直前のファンへの誓い「できる限り3人でここに立つ」 恒例イベント『風の時代★夏』2日目徹底レポート

 3人に楽器が渡され、坂崎の言うところの“演奏会”の再開へ。ダブルAサイドシングルのもう一曲の最新曲「鋼の騎士Q」が始まる。曲中の「ヘイ!」という掛け声部分では、客席からは拳があがっている。鐘が鳴り響き、壮大なイントロの珠玉のバラード「ONE」へ。ギターソロでステージが上昇し、メインステージに戻っていく。メインステージには高見沢ひとりが残り、前日に引き続き“THE ALFEEのいいところ”についてMC。前日はその質問の答えに桜井が「長続きしているところ」「コンサートが楽しい」、坂崎が「そこそこのところ」「顔がいい」などと答えていた。この日にあがったのは「みんな幼稚」「ライブに来るとたくさんのギターが見られる」などなど。

 そして情熱的なピンクの照明に照らされ、「夏のイベントでは久々」だという次の曲「LOVE」が高見沢から紹介されると客席からは大歓声が沸き起こる。ドラマティックなイントロが始まると観客は立ち上がり、情熱的で美しいメロディと桜井の美声に酔いしれる。メインステージ前方に炎が上がり、高見沢と坂崎のツインボーカルによる「振動α」。坂崎はギターを持たずハンドマイクで熱唱。ライブでは約1年ぶりにこの曲を聴くが、より重厚になった気がする。波のSEが流れ、2022年2月にリリースされたアルバム『天地創造』からの大作ナンバー「組曲: 時の方舟」へ。もはや約9分という長さは感じないし、変わっていく曲の展開にも観客は怯まずついていっている。リリース以来、全てのライブで演奏されてきたこの曲の成熟度は高まっていっているように思う。やはりTHE ALFEEのナンバーはライブで演奏されることで育っていくのだ。濃いブルーの照明のメインステージに満点の星のような照明が輝き、本編ラストのナンバー「君に逢ったのはいつだろう」を、ライトが輝くエンジェルギターを手に高見沢が優しく歌い上げ、ロマンティックな空間で幕を閉じた。

 アンコールの声と拍手が客席から鳴り響くなか、ステージからは春ツアーでも聴いたポップなナンバーが流れてくる。1980年代のTHE ALFEEのラジオから生まれた、まさるの「ま」、たかみーの「た」、さかざきの「さき」による、本人たち曰く“日本の高齢化社会を牽引するジジイアイドルグループ”「またさきトリオ」が、春ツアーに引き続きマラカスライトを両手に持ち、ネオンカラーのコスチューム姿で登場。「横浜編」として1984年小泉今日子に楽曲提供された「The Stardust Memory」を3人のスイッチボーカルで披露。The BeatlesのナンバーやTHE ALFEEのデビュー曲のB面「危険なリンゴ」、3人の若き日の写真がステージ左右のモニターに映し出されるなかで西城秀樹の「YOUNG MAN (Y.M.C.A.)」が披露され、楽しい時間が過ぎていく。

桜井賢

 観客の手拍子に見送られて「またさきトリオ」がステージを去り、ノスタルジックなピアノ音からエンジェルギターを光らせながら高見沢が登場。続いて坂崎、桜井もステージに再登場し、スローテンポでサビから始まる「星空のディスタンス」に。盛り上がりをそのままに、「Stand Up,Baby -愛こそすべて-」に突入。センターに移動した高見沢は拳を上げながら飛び跳ね、〈こんな素敵な夏イベの夜はほかにない〉と歌詞を変えて歌い、客席を一層盛り上げていく。「Stand Up, Baby!」のシャウトを経て曲を終わると、サポートメンバーのドラムス 吉田太郎、キーボード ただすけが紹介される。「結成50周年THE ALFEE、まだまだいくぞ」の掛け声とともに、高見沢が「今年第29回目の『Sweat & Tears』」を紹介し、客席には銀テープが舞う。高見沢がセンターへ、桜井が上手に坂崎が下手の3方向に分かれ、熱くなった観客のボルテージをもう一段階上げていく。中盤は3人がムービングステージに上がり、センター席を通過し、後方まで移動する。真ん中に戻って3人揃って頭を振るパフォーマンスをし、炎が上がるメインステージに帰っていく。そこから続いたのは、坂崎がハンドマイクでボーカルを取る「恋の炎」。ムービングステージで中央に移動して演奏する3人に、情熱的な赤いライトが照らされる。演奏が終わり、サポートメンバーを間に挟んで5人で深々と頭を下げ、手を振りながら去っていく。アンコールラストがこの曲というのはなかなかに新鮮だった。

 ほどなくして2度目のアンコールに応えて、メンバーが登場。3人が輪になって集まるとドラム音が鳴り、THE ALFEEの「夏イベ」を象徴する一曲でもある、すべての人へと贈る応援歌「ラジカル・ティーンエイジャー」へ。高見沢はギターを持ってムービングステージに移動。客席から一斉に上がる拳、終盤にドラム音と3声のコーラスのみになると、客席からは自然と美しい歌声が湧き上がってくる。

 「夏イベ」という空間を十分堪能したあとは、メンバーからのひとこと。「この暑いなか、みんなで外よりも熱く! ありがとうございました」(桜井)、「久々にみんなの声が聞けた夏イベ、最高でした」(坂崎)「失ったものは若さ、でも代わりに積み重ねてきた時間や経験値があるのは紛れもない真実。諦めずにこの道を歩いてきてよかった」「僕らにどのくらいの時間があるのかわからないけど、できる限り3人でここに立つつもり。いまだゴールは見えず、古希を恐れずまっしぐら!」(高見沢)と挨拶。オーラスは、1986年のアルバム『AGES』から「WIND OF TIME」。時代の風に吹かれても前を向いて自分の道を突き進め、と桜井がエモーショナルに歌うこの曲は、数あるTHE ALFEEの“風”を題材にしたナンバーのなかでも、最も今の時代に適したメッセージを持つものだろう。曲が終わり3人がムービングステージに移動し、ゆっくりと後方へ向かう。固く肩を組んで各方向に頭を下げ、後方の階段から拍手と歓声が鳴り響く会場を後にして「夏イベ」は幕を閉じた。

 2023年「夏イベ」のDVDパンフ『THE ALFEE 2023 Summer Come On! ALFEE!! 風の時代★夏』の「ALFEE KITCHEN」では、協力して和食定食を作った3人。試食をしながら「和食は飽きがこない。THE ALFEEのコンサートみたい」と高見沢が言えば、桜井が「飽きさせないために同じことをしないから」とつけ加える。ライブ会場には毎回THE ALFEEのライブを初めて観ると言う人が結構な数がいるが、何百回と観ている人はもっと多いはず。“いつも通り”で安心できるが、毎回違う仕掛けがあるから飽きることはない。それこそがTHE ALFEEのライブの魅力で、ファンをリピートさせている理由だろう。「この秋、どこかの街で会いましょう」――最後に高見沢は言っていた。結成50周年の特別なイベントも挟みながら、『風の時代』は秋、冬とまだまだ続いていく。

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