宇多田ヒカル、サザンオールスターズ、乃木坂46、THE RAMPAGE、milet、菅田将暉……注目新譜6作をレビュー

 毎週発表される新譜の中から注目作品をレビューしていく連載「New Releases In Focus」。今回は宇多田ヒカル「Gold 〜また逢う日まで〜」、サザンオールスターズ「歌えニッポンの空」、乃木坂46「おひとりさま天国」、THE RAMPAGE「Summer Riot 〜熱帯夜〜」、milet「Living My Life」、菅田将暉「ユアーズ」の6作品をピックアップした。(編集部)

宇多田ヒカル「Gold 〜また逢う日まで〜」

 映画『キングダム 運命の炎』書き下ろし主題歌。ピアノとハミングによるイントロが圧倒的な気品を醸す楽曲だが、聴き始めと聴き終えた後の印象が驚くほど違うのだ。前半はゆったり物語を聞かせるように。歌声に気持ちよく導かれていく聴き手は、単語や文末の一語をあえて区切る、宇多田特有の不思議な間合いに吸い込まれる。この違和感こそ求心力だ。そして中盤、強めのキックが出てきたのを合図に、楽曲は現代的なダンスミュージックへと変化。精緻なリズムが絡み、官能的なハーモニーが重なり、高揚へと向かうラスト、すべての音はふっと消えて一言だけが残される。……なんだったんだ、今の。一度では解けない謎が何度もリピートをうながす凄い曲。(石井)

サザンオールスターズ「歌えニッポンの空」

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 デビュー45周年を迎えたサザンオールスターズから、新曲3カ月連続リリース企画の第2弾「歌えニッポンの空」が到着。第1弾「盆ギリ恋歌」は、歌謡、演歌、テクノなどが入り混じった“時空を超えたエロソング”だったが、「歌えニッポンの空」の曲調は完全に真逆。ラテンの香りが漂うサウンド、爽やかでノスタルジックな空気を運んでくるメロディを軸にした心地いいミディアムチューンに仕上がっている。歌詞のテーマは、故郷への思い。その土地に生まれ育った数多くの命、〈やがて生まれ来る君〉から〈亡き面影〉まですべての人々に思いを馳せ、感謝を伝えるこの曲は、単に明るいだけの夏ソングではなく、鎮魂と希望を共存させた深く、強い思いが込められている。(森)

乃木坂46「おひとりさま天国」

おひとりさま天国

 5期生の井上和が初めてセンターをつとめる33rdシングル曲「おひとりさま天国」は、曲名通り、“どんなときもおひとりさまが最高!”なポップチューン。友情より恋愛を優先する友達を横目で見ながら、恋愛なんて苦しいことばかり、パートナーなんていなくても問題ナシ、さあ、一人で楽しもう! というメッセージを掲げた歌詞は、ジェンダーを問わず、世の“おひとりさま”の共感を集めるはず。サウンドの基調はEDM。シンプルな4つ打ち、バウンシーなベースライン、色彩に富んだシンセはかなり懐かしさがあるが、やがて訪れるであろう00年代リバイバルの先取りと思えば、これもアリと思える。テンションをアゲ過ぎず、素の表情が感じられるボーカルも心地いい。(森)

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