K-POP好きのライターが今、英国アイドル Wham!を全力で推す5つの理由

歌うまボーカリスト好き集合!思わず唸るジョージ・マイケルの歌声

 純粋にジョージの声が美しい。本当に歌が上手い。これもWham!の大きな魅力です。バンドやアイドルグループの“ボーカルに惹かれがちな人”には刺さるかもしれません。ジョージの声と歌唱力については映画『ワム!』の中でも幾度となく触れられていますし、彼はのちにソロでグラミー賞を獲得する実力者。フレディ・マーキュリーの追悼コンサートで披露した「Somebody To Love」は圧巻のパフォーマンスです。「歌が上手いとは、こういうことなのか……」と思わせるものがあります。Queen公式YouTubeにも当時の映像が上がっていますので、一度見てみて損はありません。させません(断言)。

Queen & George Michael - Somebody To Love (Freddie Mercury Tribute Concert)

アイドルファンの大好物?!仲良し男子達のわちゃわちゃ感

 Wham!は事務所の都合で組まされたコンビではなく、幼馴染で大親友同士。映画『ワム!』を見るとお分かりいただけるかと思うのですが、K-POPアイドルのような「リアルバラエティ番組」を撮っていたら面白かっただろうなと思うほど、わちゃわちゃしている(笑)。私を含め、一部のアイドルファンが大好きなアレです。Wham!の軌跡はヤンチャ男子同士の友情と絆をベースにした「成長物語」としても、興味深いものがあります。最終的に解散するものの、ジョージが2016年に急死する最後まで、アンドリューとの友情は続いていたそうです。アンドリューは2019年に『Wham! George & Me』という回顧録を出版しますが、決して暴露本的な内容ではなく、愛あるエピソードで埋められていたことも、2人の絆を証明しています。たとえグループがバラバラになり、個々の道を歩みはじめてもメンバー間の精神的な繋がりは永遠であってほしい……アイドルファンのエゴかもしれませんが、そんな夢と希望を体現してくれる2人なのです。

K-POPから垣間見えるWham!の存在感、ファンを公言する大物アーティストも

 最後にK-POPライターとして、韓国の音楽界に与えた影響や関連性についても触れておきたいと思います。実はBTSのMVにもWham!が出てくるのをご存知でしょうか。初めて全米ビルボードチャートでトップに上り詰めた「Dynamite」のMVには、マイケル・ジャクソンを彷彿とさせる振り付けと歌詞をはじめ、The BeatlesやQueenなど欧米のレジェンダリーアーティスト達の“要素”が散りばめられています。その中で、Wham!の1stアルバム『Fantastic』もしっかり登場(レコードショップで踊るRMのそばにある赤いレコードです)。直接的な言及はありませんが、彼らの音楽の礎となった存在のうちの1組であると考えられます。そして「餅ゴリ」の愛称でお馴染み、J.Y. ParkもWham!とジョージ・マイケルのファンを公言し、影響を受けたと述べています。メロディアスで色気も感じるダンスミュージック、彼の作り上げた「JYPサウンド」の中には確かに“Wham!イズム”が生きているように感じます。そして何より「アイドルがアーティストであること」を証明し、「異国からのアメリカ進出にも成功」、世界的人気を獲得したことは、その後に続く後輩グループにとっての希望かつ追い風となったのではないでしょうか。

BTS (방탄소년단) 'Dynamite' Official MV

 こんなに知ったような文章を書いている筆者も、実はWham!デビュー後の生まれで、残念ながら現役で活動していた時代を知りません。存在を知ったのは解散から10年以上経った後のことでした。だからWham!を聴くのに早いも遅いもないと断言させていただきます。もしかしたら今聴いている「あの曲」、追っている「推しグループ」のどこかにもWham!のエッセンスが見つかるかもしれません。

※1:https://realsound.jp/2023/07/post-1369869.html

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