寺嶋由芙、つんく♂提供曲も初披露した生誕ライブは“神現場”に こだわりの演出と呼応するファンのエネルギー
寺嶋由芙が7月9日東京・神田明神ホールで『#神現場のゆっふぃー』を開催した。ライブ前日の7月8日に誕生日を迎えたのを記念し開催された生誕ライブだ。
ハロー!プロジェクトの名曲の数々がSEとして流れる会場には、記念すべき日を祝おうと多くのゆふぃすと(=寺嶋由芙のファンネーム)が集い、開演を待つ。寺嶋本人によって注意事項などがアナウンスされると、大きな歓声が起こり客席の準備は万端だ。
この日のオープニングアクトは、お笑いコンビ・ドドんの二人。寺嶋とはケーブルテレビの番組で5年間共演しており、満を持してのワンマンライブ参加だという。芸人の傍ら僧侶としての顔も持つ石田芳道が“お坊さんトーク”と寺嶋の曲名を掛けたボケを軽妙に繰り出し、安田義孝の小気味よいツッコミで漫才が繰り広げられる。最後には石田が客席に降りてファンと絡み、会場を盛り上げた。
オープニングムービーでは、今年2月に行われたライブで憧れのつんく♂から楽曲提供がされると知らされた際の映像や、歌詞とデモが届き初めて楽曲に触れた瞬間、レコーディング風景……と新曲が作られていく過程が映し出される。そしてついに、黒を基調とした新衣装に身を包んだ寺嶋がステージに登場すると、手拍子で迎え入れられ本編がスタート。
オープニングナンバーは、「大宇宙の無限愛」。ライブ前から告知されていた新曲の初披露だ。キュートでハードなダンスと、一度聴いたら忘れられないつんく♂色の強いキャッチーなメロディとサウンドに寺嶋の甘いボーカルがハマり、昭和・平成から脈々と続いてきた“女性アイドル”というカルチャーの成熟を感じさせる一曲である。客席からは初披露とは思えないコールとサイリウムの応援で熱量を返し、冒頭から“神現場”の様相を見せる。
「絶対、神現場にしようね!」とシャウトし歌い出した2曲目は「サバイバル・レディ」。完璧な振り付けで早くも会場に一体感が生まれる。続いての「#ゆーふらいと」では、客席の隅々まで笑顔で見渡し、コミュニケーションを図る姿が印象的だ。
お馴染みの自己紹介とコールアンドレスポンスで始まったMCでは、「おかげさまで今年も無事に誕生日を迎えることができました!」と告げると、お祝いの大きな拍手が贈られる。「推しのお祝いはヲタクのお祝いなので、無事に推しに誕生日を迎えさせてくれたゆふぃすとをねぎらうべく、いいライブにしたいと思います!」と笑顔を見せた。
続いて夏曲メドレーのブロックへ。「君にトロピタイナ」「冬みたい、夏なのに。」「わたしを旅行につれてって」「君も好きだったんだね、夏」「夏色のナンシー」「恋の大三角関係」と、ノンストップで夏曲を披露。様々な曲調の夏歌を、表情を変えながら明るく、時に切なく歌い踊る姿が印象的だ。高い歌唱力やダンスといった上質なパフォーマンスはもちろん、絶妙な表現力で魅了していく姿は、まさに夏生まれのアイドルの本領発揮と言えるだろう。メドレー最後の「夏'n ON-DO」ではドドんが再登場しバッグダンサーを務め、客席も大盛り上がり。
次のブロックでは、シックな空気を纏い、スイート&ビターなボーカルで楽曲の物語性を見事に表現した「恋の後味」、ミラーボールが回るなかウィスパーボイスでセクシーな一面を見せた「Best Honey」と、打って変わってステージは大人なムード。大きく手を振り、観客一人ひとりと目を合わせるように歌い上げられた「初恋のシルエット」、しなやかなダンスと絶妙な演技力で魅せた「知らない誰かに抱かれてもいい」と、寺嶋の音楽面での充実を感じさせる楽曲が続いた。