ASP、7人がツアーで積み重ねたそれぞれの成長とチームワーク さらなるブレイクスルーを予感させるグループの現在地

 7月2日、WACKの7人組グループASPの全国ツアー『KiLLiNG ASP TOUR』最終公演が、Zepp DiverCityにて開催された。彼女たちにとって、Zepp DiverCityでの公演は今回が3度目であった。同ツアーの「DiGEST MOViE」の中で語られていたように、メンバーたちが胸の内に抱く「Zeppを越えていきたい」という想いは強く、実際に当日はその意志の強さが全面に出たパフォーマンスが次々と展開されていった。

ASP

 「Just do it」「いつでもファッキュー」「the MAN CALLiNG」から幕を開けた今回のライブ。そこからこの日のステージに懸ける彼女たちの気合いと覚悟がひしひしと伝わってきた。何より、猛々しいビート、過激なディストーションサウンドを受けながら、堂々たるマイクリレーを繰り広げていく7人の勇姿に痺れた。ASPは7人組のグループであるが、初期メンバーはユメカ・ナウカナ?、 ナ前ナ以、モグ・ライアンの3人のみで、マチルダー・ツインズ、ウォンカー・ツインズの2人、チッチチチーチーチー、リオンタウンの2人は、それぞれ後から加入してきた経緯がある。しかし今回のライブでは、7人の間の歌唱やダンスのスキルの差を感じさせないような一体感を放つパフォーマンスを見せてくれた。後のMCで、ナ前は、今回のツアーを通して、理想と現実の間で葛藤しながらも、格好悪い自分と必死に向き合いながら成長を重ねてきたメンバーたちを「かっこいい」と称えていたが、この日のツアーファイナル公演は、まさに、各メンバーの、そしてグループ全体の大きな成長を示す場になっていたのだと思う。

 今回のライブにおいて特異な存在感を放っていたのが、4月にリリースされたメジャー1st EP『DELiCiOUS ViCiOUS』の収録曲だ。予測不能な展開を見せるハードコアなトラックを乗りこなしながら、まるでリミッターがぶっ壊れてしまったかのような狂騒感を伝えた「SEXUAL CONVERSATiON」。一転して、クールなビートと憂いを帯びたメロディを通して切実なエモーションを歌い届けた「I won't let you go」、洗練されたトラックの中で、この世界に向けて力強く中指を突き立てる「NO COLOR S」を続けて披露した。今回のEPに収録された新基軸の楽曲たちによって、彼女たちのライブに今まで以上の奥行きがもたらされていて、今後これらの楽曲がライブパフォーマンスを通してさらに磨かれていくのが楽しみになった。

 「レリゴ」「WASTED TEARS」を通して会場全体の一体感と高揚感を際限なく高めた後、「The Empero's New Clothes」では、たおやかなメロディを通して、ライブ空間の中に温かなフィーリングに満ちたひと時をつくりだしてみせる。かと思いきや、「ITSUMO KOKOKARA」では再びギアを上げ、チーチーが壮絶なデスボイスを轟かせ、「Tokyo Sky Blues」では、リオンが鮮烈な超ロングトーンを響かせる。先ほど、今回のツアーを通した各メンバーの成長について触れたが、一番最後に加入したチーチーとリオンの成長は特に目覚しいものであったと思う。続けて、ウォンカーによる「思いっきりぶちまける準備できてますか?」という熱烈な問いかけと共に披露されたのは、彼女が作詞を手掛けた「SPiT OUT」だ。まるで全ての感情を吐き出すような全身全霊のパフォーマンスは圧巻で、観客を巻き込んだ“ゲロ吐きダンス”もバッチリ決まっていた。

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