香取慎吾、「グループとソロでは全然違う」ライブに懸ける変わらない想いと進化したステージ 『Black Rabbit』のすべてを語る
香取慎吾LIVE『Black Rabbit』が好評に伴い、全国のホールで追加公演を開催中だ。さらなる追加公演として7月29日、30日の2日間、会場は香取としては初めて立つステージ、ぴあアリーナMMでのライブも決定した。
当初予定されていた今年1月の東京・有明アリーナ、3月の兵庫・神戸ワールド記念ホールを終えると、東京・NHKホール、大阪・フェスティバルホール、愛知・愛知県芸術劇場 大ホール、福島・けんしん郡山文化センター、福岡・北九州ソレイユホールと各地を巡り、残すは神奈川・ぴあアリーナMM、9月に延期となった石川・本多の森ホールのみ。
今回のライブについて「もう2つ(1stアルバム『20200101』〈読み:ニワニワワイワイ〉と2ndアルバム『東京SNG』)のいいところをミックスしたライブは、今しか観られないってことだよね」とニッと笑ってみせた香取。「どのシーンも好き」と愛着たっぷりな『Black Rabbit』への想い、そして久しぶりに浴びたNAKAMAの歓声や、最近の“くろうさぎ”についても語ってもらった。(佐藤結衣)
力強い歓声に「これがなくて、よくこの何年間も頑張ってこれたな!」
――今回は会場も大きくなり、地方も周りました。ソロライブを重ねてきて、今どう感じられていますか?
香取慎吾(以下、香取):めちゃくちゃ楽しいですね。ソロライブの始まりが東京の明治座だったんですけど、1カ所で1カ月近く公演するという形だったので、こうして全国を周るのは今回初めてのことだから。ずっとやってきた全国ツアーみたいで“ちょっと久々に懐かしいな”って感じもするし、こんなにいろいろやってきたのに“初めて感”もあって……うん、楽しい!
――ツアーの途中からは、声出しも解禁になりましたね。
香取:本当にルールがどんどん変わっていって、コロナ禍でどうしたらいいかわからない世界が始まって、そこからまた元に戻るというよりは、新しい世界がまた始まったという感じですよね。明治座の時はみんなマスクをしていて声も出せなかったから、僕もひとことも喋らないライブをしたんですよ。MCもスマホで打った文字をモニターに映して会話をする、みたいな。それも今じゃ信じられないくらい、どんどん変わっていってると思いますね。
『Black Rabbit』も、最初は座ったまま声援のかわりに拍手をするようにしていたんです。それから立ち上がってよくなって、声が出せるようになって、今ではマスク越しではない笑顔を見られる。久しぶりに声援を聞いた時にはびっくりしましたよ、その大きさに! 一緒にステージを盛り上げてくれてるダンサーたちが「音楽が聴こえなくて踊れない」って言っていたくらいだったから。
――やはり声援があると全然違いますか?
香取:違いますね。やっぱり元気をもらえます。よく僕のパフォーマンスを観て「元気をもらってます」と言ってくれる人に「いやいや、むしろこっちが元気をもらってるよ」なんて言っていたけど、“本当にそうだった”って今回実感しました。すごいパワーをもらって、こっちまで笑顔になって、「これがファンの応援の力強さか!」みたいな。逆に「これがなくて、よくこの何年間も頑張ってこれたな!」とも(笑)。MCも、明治座でやっていた頃は“大きな声で笑ってはいけない”ような雰囲気もあったじゃないですか。だから、ちょっとスベってるぐらいの空気のなかでやってたのが、今じゃもうドッカンドッカン笑ってくれるので。最近ちょっと喋りすぎてますね!
――会場ごとに違いはありますか?
香取:使える特効の違いくらいかな。あとは、アリーナだと(ステージの)端から端まで走り続けなければいけないのが、ホールではあまり走らなくてもよくなるとか(笑)。そうなると、一点集中で走らなかった分のパワーでもっと暴れられる。ただ、お客さんの反応は本当に毎回違うなって感じています。オープニングでは盛り上げるためにちょっとしたワクワクと共に、緊張感みたいなものを作る演出が好きなんです。クッと締めるというか。その瞬間にブワーッて拍手が起きて、歓声がキャー!となる日があったかと思えば、ザワザワザワって始まる日もあって。“シーン……”となって僕のほうが「何が起きたんだろう?」ってドキドキする時も。僕は暗いところでひとりでスタンバイしてるので「なんでだろう?」って。一方で、声がすっごく出ている公演では「お客さんに盛り上げ役がいるのかな?」なんて思ったりします。
――その生の感じが、ライブのよさでもありますね。
香取:そうですね。自然に作られた空気に引っ張られて、ライブの始まり方も(それぞれの公演で)きっと変わってくると思うし。ある会場では、僕が登場したらみんなが「うわ!」ってびっくりして引いちゃうような時もあって(笑)。僕が一歩前に出るたびに、お客さんが「うわ!」「うわうわ!」って一歩ずつ下がっていっちゃう、みたいな。きっとお客さん同士でも移っていっちゃうんでしょうね。そういうのも面白かったな。