『SUMMER SONIC』、フェスシーンで存在感を放ち続ける3つの理由 最速ソールドアウトとなった2023年の見どころも

サマソニ、存在感を放ち続ける理由

 2000年にスタートし、今では日本を代表する夏フェスとして君臨している『SUMMER SONIC(通称、サマソニ)』。毎年、千葉と大阪で8月に開催される大型フェスであり、20周年を迎えた2019年には東阪合わせて約30万人の動員を記録した(※1)。

 大御所から気鋭のインディーズバンドまで、多くのアーティストが出演してきたサマソニは、数々の歴史的瞬間を生み出してきた。初回の2000年にはGreen DayとThe Jon Spencer Blues Explosionがヘッドライナーで出演し、Muse、Coldplay、Dragon Ashなどの人気バンドに加え、ファンクのゴッドファーザーであるジェームス・ブラウンなど、レジェンド級アーティストも出演。2003年にはRadioheadとBlurがヘッドライナーとして出演し、初のソールドアウトを記録する。2005年にはDeep Purpleが往年の名曲を披露し、2006年にはMetallicaが名作『Master Of Puppets』20周年に、アルバム全曲を通した長時間ライブを披露。その後も数え切れないほどの歴史的ライブが行われたサマソニだが、近年では、The 1975が約2年ぶりのライブ活動再開を『SUMMER SONIC 2022』で果たし、世界的に注目を集めたことも記憶に新しい。

 そして8月19日、20日に開催が迫る『SUMMER SONIC 2023』だが、今年は史上最速でチケットがソールドアウト。サマソニがここまで支持を集めている理由は何なのだろうか。

① 全員が楽しめるラインナップ

 サマソニの魅力の一つは、老若男女の幅広い世代が楽しめるラインナップだろう。たまたま観たライブがきっかけで、全く知らないアーティストにハマるというのもフェスの醍醐味だが、サマソニにおいてはラインナップの幅広さから、自分が全く予想できない形での出会いがある。夏フェスにはロックバンドが多いというイメージを持っている人も多いかもしれないが、特にサマソニは早い段階からヒップホップアーティストを招致しており、2004年にはナズ、Beastie Boys、リー・スクラッチ・ペリー、Jurassic 5、N.E.R.Dなどのヒップホップアクトに加え、Green Day、Hoobastank、アヴリル・ラヴィーン、稲葉浩志などのロックアクトが入り混じっている。

 2000年代後半になるにつれ、ロックバンド以外がヘッドライナーを務めることも増え、2009年にはビヨンセがヘッドライナーとして出演。2010年代に入ってからは日本からも様々なジャンルのアクトが出演しており、2012年にはヘッドライナーのGreen Dayとリアーナに加え、ももいろクローバーZなどのアイドルも出演している。その他にもいち早くBTSなどのK-POPアーティストも出演しており、2001年には韓国の「文化大統領」とも呼ばれるソ・テジが出演した。現在「Makeba」でバイラルヒットを飛ばしているジェインも、筆者は2019年のサマソニで観て思わずファンになった。

Jain - Makeba (Official Video)

 今年も海外の大御所ロックバンドや日本のインディーズバンドだけではなく、ケンドリック・ラマーとジャニーズWESTが同日に同じステージに登場する。他のフェスでは絶対に見ることができない並びで、世界的なポップミュージックの潮流を捉えつつ、日本中の老若男女が楽しめるようなイベントを企画することに対する熱意を感じる。

Kendrick Lamar - The Heart Part 5

② 立地とアクセス

 二つ目は立地である。「都市型フェス」と銘打っているように、東京公演は都心から難なく日帰りで参加できるのも大きな特徴だ。宿泊先を探す必要があるフェスも多いなか、サマソニは「日帰り」を当初からコンセプトとしており、気軽に非日常を味わうことができる。また、会場の幕張メッセ内には屋根があるため、完全な屋外フェスとは異なり、猛暑や大雨でも休むことができる。しかしMARINE STAGEやBEACH STAGEに移動するときのために熱中症対策は必要なので、そこは気をつけよう。

③ ステージの豊富さ

 ステージによって様々なシチュエーションを楽しめるのもサマソニの人気ポイントだ。『COUNTDOWN JAPAN』から『KNOTFEST』まで、さまざまなフェスが開催される幕張メッセの屋内で熱狂した後に、海沿いのBEACH STAGEで潮風に当たりながらライブを観るのも最高だ(個人的にはBEACH STAGEが最も好みで、2018年にジョージ・クリントンを観たことが忘れられない)。また、幕張メッセ内はステージ間の距離も、他の野外フェスなどに比べて遠くないため気軽に移動できるのも利点だ。

 そのような魅力的なポイントを踏まえて、今年のラインナップから注目アーティストを紹介していきたい。

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