五条院凌は生ライブの“おバイブス”が魅力 早見優が驚いた、ファン層の幅広さとピアノのポテンシャル
より「歌心」が感じられる昭和歌謡のメロディ
──ところで今は、国内外で昭和歌謡やシティポップが再評価されています。その現象をどんなふうに感じていますか?
早見:なんだか不思議な気持ちですよね。先日もDJ Night Tempoさんともそういう話をしていたのですが、今の若者たち……娘たちもそうなのですが、みんなストリーミングで音楽を聴いているので、アルゴリズムで次から次へと関連曲を流してくれるじゃないですか。古今東西、様々な楽曲がランダムに再生されるから、全てタイムレスに感じているんじゃないかと思うんです。昭和時代の楽曲は、スタジオで生のストリングスをレコーディングするなど、本当にお金と時間がかかっていましたから、仕上がりのクオリティもすごくいいんですよね。筒美京平さんをはじめ職人の方々が曲を作っていたので、メロディもキャッチーだしアレンジも素晴らしい。
となると、もはや音楽に「時代の刻印」をつけなくてもいいのかなと。音楽って、聴いていたその時代へ瞬時にタイムワープができる魔法を持っているじゃないですか。リアルタイム世代の方たちは懐かしい思いで聴いてくださり、今の若い人たちは素直に「いい!」とおっしゃってくださるのはすごく嬉しいことです。
──五条院さんは、歌謡曲のメロディにどんな特徴があると思っていますか?
五条院:わたくしが好きな歌謡曲では、短調でドラマティックなメロディが多くて。例えばAメロが16小節あったとしたら、4,8小節目あたりでグッとくるような和音を使っている。いわゆる「属七の和音」や「ドッペルドミナント」と呼ばれる和音を持ってくることによって、「哀愁」の風が吹くというか、すごく心をが揺さぶられるんです。わたくし自身、楽曲を制作するときに、意識的にではないですが、振り返ってみるとそういう手法を使っていることが多くあるのですよね。より「歌心」が感じられると思っていて。わたくしにとってお昭和歌謡の音世界は、その音一つひとつに浸れて、情景が浮かんでくるようなパワーを持っていると感じます。
早見:ドラマティックというのは、例えばクラシック音楽にも通じるところがあるのかしら?
五条院:それはあると思います。たとえば演歌は、おラフマニノフさまやおチャイコフスキーさまを彷彿とさせるような、重厚でドラマティックな哀愁の響きがあると感じております。
早見:へえ、面白い! そういうふうに聴いてみると色々な発見がありそうですね。五条院さんは、ラテン音楽とか興味ある? 情熱的でどこか切ない響きは、今おっしゃっていたような音楽の傾向と近い気がするけど。
五条院:ラテン音楽もたまに聴いたりします。「レゲトン」のグルーヴ感は特に好きです。話がちょっと逸れますが、わたくしが幼い頃から大好きなバレエの演目『ドン・キホーテ』には、フラメンコの要素があって。わたくしが持っているこの扇子も、情熱的な表現をするときや、 「強い女性」を演出するための小道具なんです。スパニッシュやラテンは、わたくしの音楽性を構成している要素の一つだと思っております。
──歌謡曲そのものが色々なジャンルの音楽を内包しているから、それをピアノでアレンジすることによって五条院さんの表現の幅も広がりそうですよね。
五条院:そうなんです。今回、お昭和歌謡について調べたりみなさまからのおリクエストをいただいたりしていく中で、初めて知ったお曲もあって。例えば岩崎お宏美さまの「聖母たちのララバイ」は特におシンクロしました。歌詞の冒頭が〈さあ 眠りなさい〉じゃないですか。わたくし、コンサートで最後にいつも言う言葉が「おやすみなさいませ」なんです。それは、「わたくしの演奏をお聴きになって、疲れた心や体を癒して心ゆくまでおやすみくださいませ」という気持ちなんです。ですから「聖母たちのララバイ」はわたくしにぴったりの楽曲だなと。
──ちなみに早見さんの「夏色のナンシー」は、五条院さんにとってどんな印象の楽曲ですか?
五条院:ほんっとうに、おキュート! わたくしとは対極にいらっしゃるような、爽やかでおフレッシュなおバイブスで溢れる楽曲でございますよね。実は、お優さまのおアルバム楽曲を全て聴いたんです。
早見:え、本当ですか。ありがとうございます。
五条院:おナンシーさまは、とにかく元気潑剌! という。聴く人を爽やかなお水と南国のお風で満たしてくれるような、潤いたっぷりの楽曲ですよね。聴いているだけで、心が洗われるよう。でも、わたくしがお優さまの楽曲で一番「おラブ」なのは、「哀愁情句」なんです。もう、びっくりしたんですよ。イントロのストリングスがとにかく激情的で。今まで聴いたことのないような盛り上がり方だなと。その後にピアノのメロディが来るんですけど、タイトル通りすごく哀愁を感じる。そこにお優さまのボーカルが、どんなふうに入ってくるのか。ちょっとドキドキ、ワクワクした気持ちで聴き進んでいったら、やっぱり甘くておキュートなお声が入ってきて。Aメロの折り返しの〈終らないカーニバル〉では、語尾がポルタメントしていて甘く下降するんです。そこがもう、中毒性があって何度も聴きたくなるんですよね。歌詞も誠におキュートですし、おリピして聴いております。
早見:嬉しいなあ。でもあの曲、いくつの時にもらったのかな。当時はまだ10代だったし、ストリングスがどうとか考えもせず無我夢中で歌っていましたね。
五条院:実はわたくし、「哀愁情句」をわたくしが奏でたらどういう響きになるのかしらと思って、いろんなアプローチを考えたりしておりまして。昨日も弾いておりました。
早見:ええー、本当に? めちゃめちゃ嬉しい!
五条院:やっぱり最初のストリングスやメロディラインがわたくしの音楽世界とすごくおシンクロしているなと感じておりますので。いつかご一緒できたら嬉しいです。
早見:練習しておきます! それにしても五条院さん、YouTubeもすごく楽しいですし、テレビで姿を拝見するのもいつも楽しみにしているんですけど、それって本当に一面なんですよね。コンサートに行って、それを実感しました。みんなが1音も聴き漏らさないよう、食い入るように聴き入っているのが本当によくわかるし、みなさんの心にしっかりと届いているのだなということがすごくよくわかる、温かいコンサートでした。
■ツアー情報
『So Fabulous Summer Concert 2023』
【茨城公演】
日程:2023/7/29(Sat)
時間:OPEN16:00 / START17:00
会場:茨城 結城市民文化センター アクロス 大ホール
料金:前売¥5,000 / 当日¥5,500
※全席指定・tax in
※未就学児入場不可
【愛知公演】
日程:2023/8/27(Sun)
時間:OPEN16:00 / START17:00
会場:愛知 豊明市文化会館
料金:前売¥5,000 / 当日¥5,500
※全席指定・tax in
※未就学児入場不可
『So Fabulous Autumn Concert 2023』
【北海道公演】
日程:2023/9/26(Tue)
時間:OPEN18:00 / START19:00
会場:北海道 カナモトホール(札幌市民ホール)
料金:前売¥6,000 / 当日¥6,500
※全席指定・tax in
※未就学児入場不可
【東京公演】
日程:2023/9/29(Fri)
時間:OPEN18:00 / START19:00
会場:東京 江東区江東公会堂 (ティアラこうとう)
料金:前売¥6,000 / 当日¥6,500
※全席指定・tax in
※未就学児入場不可
五条院凌オフィシャルサイト:http://worldapart.co.jp/gojoinryo/
サイン入りチェキプレゼント
五条院凌&早見優のサイン入りチェキを2名様にプレゼント。応募要項は以下の通り。
応募方法
リアルサウンド公式Twitteをフォロー&本記事のツイート、または応募ツイートをRTしていただいた方の中から抽選でプレゼントいたします。当選者の方には、リアルサウンドTwitterアカウントよりDMをお送りさせていただきます。
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※当選の発表は、賞品の発送をもってかえさせていただきます。
※チェキはランダムでの発送となります。指定はできません。
※当該プレゼントは、応募者が第三者へ譲渡しないことが応募・当選の条件となります(転売、オークション・フリマアプリ出品含む)。譲渡が明らかになった場合、当選は取り消され賞品をお返しいただく場合がございます。
※Instagramでは別バージョンのチェキプレゼント企画も!
リアルサウンド 公式Instagram
<締切:7月19日(水)>