Official髭男dism、米津玄師、YOASOBI……Billboardチャート2023年上半期発表 5年前との比較で導く“ヒットの新法則”

 2018年との文化的な違いで言えば、TikTokの台頭が見逃せない。コロナ禍の影響で、スマートフォンという手軽かつ身近なアイテムで楽しめるエンタメが浸透したことが、動画系SNSの躍進を押し上げた。短い動画に合わせるための日常風景のサントラになるような軽妙かつ切ない楽曲は、ここ数年支持を集め続けている。Tani Yuuki「W/X/Y」や、なとり「Overdose」といったニューカマーのヒットソングはここから生まれた。“生活を映えさせたくなる”という部分が、ティーンを中心としたヒットソングの要点と言えるだろう。

荻野目洋子 / ダンシング・ヒーロー(Eat You Up)MV [New Dance Ver.]

 チャートの中でその爆発力が目立つのが、YOASOBI「アイドル」だ。今年4月12日にリリースされたのち、わずか2カ月で上半期において第3位にランクインという、異例の大ヒットを記録している。オープニング主題歌となったアニメ『【推しの子】』(TOKYO MXほか)が海外でも支持されていることが大きな追い風となっているが、国内ではTikTokでのダンス動画も話題である。振り返れば、2018年上半期では荻野目洋子「ダンシング・ヒーロー」が高校ダンス部での注目をきっかけにリバイバルヒット。その結果、11位にチャートインしていた。ダンスや振りコピという拡散力の高い文化が、この5年間絶えずにヒットを生み続けていることがわかる。

YOASOBI「アイドル」 Official Music Video

 チャートを査読すると、ライブ映え、タイアップとの親和性、日常場面でのサントラ力、踊ってみたくなるキャッチーさなど、さまざまなヒットの法則が浮かび上がる。しかし、楽曲のジャンル的な統一感はなく、あらゆるポップソングにヒットの可能性の扉は開かれていると言えるのが、現代の音楽シーンの面白い点だ。また、5年前と今年のチャートを振り返ると、1位は圧倒的なバラード、2位はエッジーなアップチューン、3位は遊び心に満ちたフックだらけの楽曲──と、偶然だろうが楽曲の傾向がかなり近く、普遍的な支持を受ける楽曲には、法則を問わないインパクトがいつの時代にもあるように思える。これから始まる2023年下半期、まだ見ぬ新たなヒットソングとの出会いを心待ちにしている。

※1:https://www.billboard-japan.com/d_news/detail/126115
※2:https://www.billboard-japan.com/d_news/detail/64149

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