宮野真守、音楽・ドラマ・バラエティ……激動の1年 40歳もエンターテイナーとして走り続ける
このアルバムを提げ、去年11月から12月にかけて行われ成功をおさめたアリーナツアー『MAMORU MIYANO ARENA LIVE TOUR 2022 〜ENTERTAINING!〜』は、今現在の彼を構成するあらゆる要素が詰め込まれた宝箱のようなステージだった。
スター性に溢れた高度なテクニックやパフォーマンス力を携えながらも、温かい人間性を強く滲ませ、ファンと長い時間をかけてコミュニケーションを取る姿勢は変わらない。
約3年ぶりのツアーということもあり、ライブに参加した多くのファンは彼の音楽的な進化や成熟したダンスとボーカル、そして変わらない人間的なコアの部分をより強く身近に感じられたのではないだろうか。アーティストとファンがポジティブなエネルギーを交換し合える、ライブという場でしか生まれない情熱は特別なもの。ライブが宮野にとって欠かすことのできない要素であることがあらためて示されたツアーであった。
そして今年4月にリリースされた23枚目のシングル『Quiet explosion』においても、攻めの姿勢を貫き前進している。表題曲「Quiet explosion」はエッジの効いたサウンドとボーカルワークで新たな一面を提示、こだわりのMVも見所満載だ。1月に配信され待望のCD収録となった「Invincible Love」は優しい声質を存分に活かし、スタイリッシュな楽曲に絶妙な温度感を乗せることに成功している。「Greed」ではハードな音との親和性も見せた。彼の音楽にはジャンルという枷がなく自由だとわかる、バラエティに富んだシングルだ。
彼の活動全般に言えることだが、特に近年の楽曲やパフォーマンスからは、エンターテイメントの原点である「目の前の人を楽しませたい」という意志が強力に伝わってくる。多くの経験を経て、高い技術や表現力を備えたことで、シンプルな原動力がよりリアルな手触りとして受け手に届くようになったのだろう。
彼の魅力を語る際にまず高い歌唱力やパフォーマンス力が挙げられるが、一方で、その実力の裏には才能のみならず地道な一歩一歩があり、日々進化し続けるその真摯さが聴き手に勇気や力を与えるのだ。
5月31日には前述した昨年のアリーナツアーのBlu-ray、DVDを発売、6月3日にはアニバーサリーライブ『宮野真守 アニバーサリーライブ~REQUESTⅢ~』を開催、9月からのツアー『MAMORU MIYANO LIVE TOUR 2023 〜SINGING!〜』も決定するなど精力的な活動が続く。40歳を迎えた宮野がどんな音楽を生み出していくのか、次の一年にも注目していきたい。