Uru、ドラマ『風間公親-教場0-』に寄り添う希望の歌 主題歌「心得」は迷える人々にとっての道しるべに
現在放映中の月9ドラマ『風間公親-教場0-』(フジテレビ系)に、Uruの新曲「心得」が主題歌として起用されている。本作は彼女自身が作詞・作曲を手掛け、ドラマのために書き下ろした楽曲。初回放送時のエンディングで事前告知なしにオンエアされた際は大いに話題となった。ちなみにUruが月9ドラマの主題歌を担当するのは今回が初めて。主演の木村拓哉とは、2020年にリリースされた彼のアルバム『Go with the Flow』へ楽曲提供を行った縁から交流があったが、本作でついに主演俳優と主題歌アーティストとして共演した形だ。
『風間公親-教場0-』は、小説家の長岡弘樹による『教場』シリーズを原作にしたドラマ。これまでにスペシャルドラマとして放映された『教場』『教場II』は、主人公・風間公親が教官を務める警察学校が舞台だったが、今作では風間が教官になる以前、新人刑事の教育を担う“刑事指導官”だった時代が描かれる。
「心得」は毎回各話のラスト、次回予告の映像にのせて流れる。Uruの穏やかで透明感のある歌声とピアノで始まるシンプルなバラードは、サビへと展開していく中でストリングスが加わり、奥行きと力強さをまとう。緊張感のあるストーリーの終わりにほっと心が安らぐような、そして次週への期待を高めつつ物語の余韻に浸らせてくれるような、そんな効果も感じられる。Uru自身、スペシャルドラマ版の『教場』『教場II』を鑑賞し、さらに今作の脚本を読み、「直後の感情のままに」に制作したと語っており(※1)、特に歌詞には彼女の感動がそのまま詰め込まれている印象だ。
たとえば、〈弛みない志を/胸に掲げながら/それでもまだ迷い/一筋流したその涙もまた〉というフレーズ。ドラマでは、木村拓哉扮する風間公親のもとに、赤楚衛二、新垣結衣、北村匠海、白石麻衣、染谷将太が演じるさまざまなバッググラウンドを持った新人刑事が入れ替わり立ち替わりやって来る。一人前の刑事になりたいという熱い思いとは裏腹に、思い通りにいかず葛藤する新人たち。涙し、心が折れそうになる瞬間の姿が歌詞と重なる。また、〈時に過ちに心が痛もうとも/その悔いに学びながら/恐れずまた行け〉には、捜査に失敗し、風間に「残念だが君には見込みがない」「自分で考えろ」と突き放されながら、必死で食らいつくシーンを思い出させる。あまりの厳しさから“風間道場”と呼ばれ恐れられる指導現場で、新人たちは自らの過去や現在も抱えているトラブルと対峙し、刑事としてはもちろん人間としても大きく成長していく。
一方で、歌詞全体を見渡すと、風間側の思いも浮かび上がってくる。〈あなたが信じてきたもの 忘れないで〉〈描き続けるなら その場所へと/必ず道は繋がっていく〉ーーそんな言葉には、後輩を見守る風間の温かな眼差しが感じられる。タイトルの「心得」とは、仕事や技を行う際の心構えという意味があるが、本作が伝えるのは風間から次世代を担う新人への激励のメッセージであり、生きていく上での道しるべそのものだ。