リアルサウンド連載「From Editors」第8回:ややこしくも面白い大人たちの恋愛 リアリティショー『あいの里』を観て
「From Editors」はリアルサウンド音楽の編集部員が、“最近心を動かされたもの”を取り上げる企画。音楽に限らず、幅広いカルチャーをピックアップしていく。
『サンクチュアリ -聖域-』から流れ着いた『あいの里』にハマり中
先日、『サンクチュアリ -聖域-』観たさについにNetflixに登録。今でも観たいものすべてに手が回っていないのに、これ以上チェック対象を増やすまいとしていたのですが、各所で目にした予告編にやられ、理性に衝動が勝ってしまいました……。が、結果的にこの決断は大正解でした。荒くれ者の主人公が伝統と旧態依然が表裏一体となった角界で成り上がっていく様は痛快そのもの。登場人物たちが稽古や暴力で負った怪我や傷の痛み、張り手の威力のすさまじさがリアルに伝わってくる映像表現にも感服でした。
これがNetflixか……と感動しながらも、重厚なストーリーの後にはライトなものが観たくなるのが人の性。そんなときに目に入ったのが『あいの里』という恋愛リアリティショーです。さまざまな経歴を持つ35歳以上の男女が、田舎の古民家で共同生活を送りながら“最後のパートナー探し”に挑んでいきます。
今や恋愛リアリティショーは定番・人気コンテンツとして各サービスごとにさまざまなタイトルが配信されていますが、ここまで現実をつきつけてくるものはなかったのではないでしょうか。『あいの里』で四苦八苦する住人たちの姿を見ていると、恋愛は大人になれば上手くなるわけではない、むしろ下手になっていくのではないかということに気づかされます。さらに人生経験が増えるほど思いだけでは突き進めなくなる事情や難しさもつきまとうのです。一方で、好きな人の言動に一喜一憂する姿には何歳になっても恋愛を楽しめるんだという希望も見いだせます。いろいろとツッコミどころの多い住人たちを見守りながらいざ迎える告白シーンでは、うっかり涙してしまいました。
ドラマや映画・小説など大人向けのラブストーリーというと、結婚あるいは道ならぬ恋にまつわるものになりがちですが、不器用な大人たちの恋愛を描く作品がもっと増えてもいいのでは、とふと思ったりもしました。偶然にも7月スタートのドラマ『こっち向いてよ向井くん』(日本テレビ系)も「恋愛の仕方忘れちゃってる男子」を主人公とした物語。気になって原作漫画を読み始めましたが、こちらも大変面白い。そして面白いコンテンツと出会うたびに、「1日30時間ほしい……」と切に思うのでした。
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