齋藤飛鳥、乃木坂46最後の1期生として見せた大きな背中 11年8カ月の集大成であり、未来へ想いをつなげた卒業コンサート

 続いて、翌18日に行われた最終公演では、乃木坂46チーフマネージャー・菊地友氏と乃木坂46合同会社代表・今野義雄氏が影アナを務めるというサプライズも用意。今野氏の合図で、グループが円陣する際のコール「努力、感謝、笑顔、うちらは乃木坂上り坂46!」を5万人の観客とともに叫び、会場の熱気が急上昇することとなった。

 齋藤飛鳥のアイドル人生ラストステージは、彼女のドラムソロからスタート。激しいドラミングで場を盛り上げる中、ドラムセットはアリーナ中央のサブステージから、メンバーとサポートバンドが待つメインステージへと移動し、彼女もドラムで演奏に加わる形で「ジコチューで行こう!」を披露する。“乃木坂46の齋藤飛鳥”のドラムプレイを拝めるのも今日で最後か……と少々感傷的な気持ちになるも、この日は初日に覚えた“あの違和感”はゼロで、心の底から「齋藤飛鳥のアイドル最後のステージ」と「齋藤飛鳥卒業を前に後輩たちが見せる、乃木坂46の“今”と“未来”」を楽しもうという姿勢で終始臨んだ。

 「インフルエンサー」以降は齋藤もダンスに加わり、「シンクロニシティ」「ハウス!」「ダンケシェーン」と曲を重ねるごとに会場の熱気はどんどんヒートアップしていく。MCを挟んだあとには、齋藤が3〜5期生に混ざって期別曲をパフォーマンス。加入1年数カ月の5期生と踊る「絶望の一秒前」、今後グループの中心となっていく4期生との「I see…」、そしてこの日が“後輩”として最後のステージになる3期生との「トキトキメキメキ」と、期ごとのカラーに齋藤も見事に溶け込み、この貴重な機会を楽しんでいる様子だ。さらに、32ndシングルアンダーメンバーとは「扇風機」「Against」と、対照的な2曲でコラボ。なぜ齋藤が1期生楽曲である「Against」をアンダーメンバーとパフォーマンスすることを選んだのか、きっと彼女からアンダーメンバーへのエールだったのではないか……そんなことを想像すると、胸にグッとくるものがある。

 ライブ中盤は前日同様に、齋藤が携わったユニット曲を中心に展開。梅澤美波&山下との「ファンタスティック3色パン」、岩本蓮加&筒井あやめとの「なぞの落書き」などに加え、前日から引き続き遠藤との「他の星から」も披露され、初日以上に見応えのある内容だった。また、この日はアコースティックギターとストリングスの生演奏をバックに齋藤が「地球が丸いなら」をソロ歌唱するパートも用意。

 さらに、「乃木坂46には才能あふれる子がたくさんいますが、これからも皆さんの声で後輩たちをどんどん押し上げていってほしいなと思います。まだまだ乃木坂には伸び盛りの子たちがたっぷりいますので、こんなに可愛い子たちを大きい大きい世界に連れていってくれたら」と客席に告げ、続いてメンバーに「乃木坂をよろしくね」と伝えてから、自身の卒業後にリリースされた最新曲「人は夢を二度見る」のパフォーマンスに加わる。乃木坂46新章の始まりを告げる1曲に卒業した齋藤が加わることに、一瞬「えっ?」と驚いたものの、曲タイトルや歌詞を通じてこの奇跡の共演の意味が理解できたような気がした。

 その後、「帰り道は遠回りしたくなる」「サヨナラの意味」といった卒業にちなんだ楽曲が連発され若干センチメンタルな空気になるも、「裸足でSummer」「Sing Out!」で再び会場は高揚感に包まれる。そして、バナナマンからのサプライズメッセージ映像を経て、「この曲は私が最後にいただいた曲。みんながすごく美しく踊ってくれる、大好きな曲です」とメッセージを添えた「ここにはないもの」でライブ本編を終えた。

 アンコールに突入すると、シルバーの装飾をあしらった白いドレス姿の齋藤がステージに登場。彼女がアイドルでいられる時間も、あとわずかだと実感させられる。彼女は「“恩送り”という言葉を知ってから、メンバーやスタッフさんに対してなんとなく気持ちの整理ができたような気がしていて。恩を返すだけではなくてどんどん送っていく、そうやって連鎖していくことって素敵だと思うし、そういうことを私たちも歌っているなと気づいてからは、その言葉をすごく大切にして生きています」と告げ、続けて「私は今日が終わったら皆さんとはお別れするし、きっと過去の人になるんですけど、もしここにいる皆さんや画面越しに観てくれている方が、私や乃木坂を見て少しでも楽しいな、明るい気持ちになったなと思ってもらえたんだったら、それを恩とは言いませんけど、これからは後輩のみんなに渡していってほしいなと思っています」とファンにメッセージを送る。そして、「誰より支えてくれたお母さんのことを思い浮かべながら歌おうかなと思います」と口にしてから、自身のソロ曲「硬い殻のように抱きしめたい」を感情たっぷりに歌唱した。

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