EXILE SHOKICHIが振り返る『iCON Z』第二章 プロデュースを通して実感したアーティストの個性を育てる大切さ

 2021年に、新しい世代の新しい才能が新しい時代を作り、エンタテインメントの新たな未来を創造するための才能を発掘するプロデュースプロジェクトとして始動した、LDH史上最大規模のオーディション『iCON Z ~Dreams For Children~』。その模様を1年半に渡り追いかけた番組『~夢のオーディションバラエティー~Dreamer Z』(テレビ東京系)にて、第二章で結成された3グループの合格が決定し、最終回(3月26日放送回)には、彼らが2023年8月23日に同時デビューをすることと、今夏に夢者修行を行うことが発表された。今年1月、第一章のグランプリ・LIL LEAGUEが華々しくデビューしたのも記憶に新しい中、全国のファンと共にチャンスを手繰り寄せた第二章メンバーも、LIL LEAGUEを追い抜く勢いで後を追う。

 そこでリアルサウンドでは、男性部門のプロデューサーであるEXILE SHOKICHIにインタビュー。第一章からの続投メンバーで結成された“LIL LEAGUEの公式ライバル”、KID PHENOMENON(夫松健介、遠藤翼空、岡尾琥珀、佐藤峻乃介、川口蒼真、山本光汰、鈴木瑠偉)。美しいハーモニーと誠実な人柄で観客を魅了する4人組、WOLF HOWL HARMONY(杉山亮司、比嘉涼樹、ギレルメ マサユケ トマジ 西村、沓野広翔)。高いダンススキルと大人数ならではの迫力で圧倒する、THE JET BOY BANGERZ(田中彰、マーク エイロン、伊東弘之助、桑原巧光、宇原雄飛、石川晃多、古嶋滝、佐藤陽、佐藤蒼虎、中村碧)という3グループの魅力や楽曲制作の裏話、オーディションの先に見据える未来像について、たっぷり語ってもらった。(斉藤碧)

候補生に実感させたかったエンタテインメントの真髄

――先日放送の『~夢のオーディションバラエティー~Dreamer Z』にて、『iCON Z』第二章から誕生したKID PHENOMENON、WOLF HOWL HARMONY、THE JET BOY BANGERZの合格が発表されました。候補生のみなさんだけでなく、SHOKICHIさんにとっても長い旅だったと思いますが、オーディションが終幕した今の心境はいかがですか?

SHOKICHI:2021年に『iCON Z』のオーディションがスタートして約1年半。昨年5月にはLIL LEAGUEがグランプリに選ばれて、今年1月にメジャーデビューを果たし、昨年7月に始動した第二章からは、第一章でチャンスを逃した候補生に新たな挑戦者を加えて、ここまでやってきました。合格と言っても、彼らはまだまだ成長過程なので、合格発表後に3グループがパフォーマンスを披露した時も「あ、ちょっとピッチがずれてるな」「この声の出し方は、高音にビビって声を出してるな」なんて、内心厳しい目線で観ていたんですけど(笑)。このオーディションは、番組を観てくださった方やファンの方の存在なしでは成立しなかったと思いますし、それこそ第二章からは、ファンのみなさんの応援をポイントとして加算して、その結果で3グループの合否が決まるという審査方法を採らせていただいたので、まずは彼らをデビューに導いてくださったみなさんに、感謝の気持ちをお伝えしたいです。ありがとうございました。

――プロデューサー陣がグランプリを決定した第一章に対し、第二章の合否判定を視聴者に委ねた理由はなんですか?

SHOKICHI:もともとはZ世代を対象にしたオーディションとして始まった『iCON Z』ですが、第二章の参加者には、すでにプロアーティストとして活動しているDEEP SQUADのメンバーやDリーガーなど、大人のメンバーも多数いたので、僕らが一方的に合否を決めるのは違うんじゃないかと思ったんです。それに、たとえこちらが「頑張ってるから、全員デビューさせよう」と言っても、応援してくださっている方々との間に温度差があったら、みんな、デビューした後でやり甲斐に迷うと思うんですよ。

――置いてけぼりの状態で勝手に話が進んで、いつの間にか推しのデビューが決まっていたら、ファンの方もきっと戸惑いますよね。

SHOKICHI:はい。そうじゃなくて、ファンのみなさんと一緒にデビューを勝ち取ってほしいという想いがありました。そもそも、ファンの方に応援してもらえる自分たちでいなきゃいけないっていうのは、エンタテインメントをやっている者の真髄ですからね。その感覚を候補生のみんなに身を以って知ってもらい、「どこに向かって歌うのか」「誰のためにパフォーマンスするのか」を自覚してほしかった。それがプロデューサーにとっては、候補生のみんながどれだけ多くの方に応援してもらえるのか、ポテンシャルを見極める機会にもなりました。

――武者修行の観客動員数、フォロワー数やハッシュタグ付き投稿のツイート数といったSNSに関するポイント、オリジナル課題曲のストリーミング再生数をもとに、合格ラインの100万ポイントを目指すという審査方法でしたが、各チームともかなり応援に熱が入っていたので、集計したスタッフさんは大変だったでしょうね(笑)。

SHOKICHI:(笑)。実は合格ラインの100万ポイントは、あえてハードル高めに設定したラインだったんです。結構厳しいんじゃないかな? っていう。でも、いざ集計してみたら、どのグループも目標をものすごくオーバーしていたので、嬉しい驚きというか、みんなの未来に期待できるなって思いましたね。

――では、そんな将来有望な3グループの魅力について、SHOKICHIさんが提供された課題曲と共に紹介していただこうと思います。まずは、疾走感溢れる「C’mon」(作詞:SHOKICHI、Yohei/作曲:Justin Reinstein)を歌うKID PHENOMENONから。

SHOKICHI:KID PHENOMENONは第一章のファイナリストだけで構成されたグループで、平均年齢が他のグループよりも低いんですが、リードボーカルの(山本)光汰と(遠藤)翼空のように、高度な表現をしっかりと届けられるメンバーもいますし、他の子たちも日々成長しているので、フレッシュなだけではないのが魅力ですね。彼らは第一章を通して習得したこともたくさんあるので、自分のストロングポイントを理解していたり、垢抜けたりと、1年半で大きく化けたメンバーが多いんじゃないかなと思います。なので楽曲も、少年期から青年期に向かう躍動感、アグレッシブ感をお見せできる曲調を選んでいて。歌詞の内容も、メンバーがファンのみなさんに向けて「これから僕たちはさらに加速して夢に向かっていくので、ついてきてください!」と呼びかけるようなイメージで書いていきました。

「iCONZ」男性部門~FINAL~KID PHENOMENONの合否が決定/Dreamer Z # 67〜Special Edition〜

――初めて「C’mon」を聴いた時のメンバーの表情はキラキラしていましたね。佐藤峻乃介さんが“自分たちの曲”をもらえた喜びでパッと笑顔になる瞬間や、夫松健介さんと岡尾琥珀さんが笑い合いながら身体を揺らす姿を見て、こちらまで嬉しくなりました。中には、少し複雑な表情の人(鈴木瑠偉、川口蒼真)もいましたけど(笑)。

SHOKICHI:難しい曲なので、内心悶えていたんじゃないかな(笑)。それでも、パート決めの時にあえて難しい部分を選んで挑戦するメンバーがいたり、プリプロ(レコーディング前の準備)で粘り強い姿を見せてくれたメンバーがいたりして、嬉しかったですね。そういう気持ちを持つことはシンガーにとって大事なことですし、僕もプロデューサーとして、その心意気に応えたいなと思いました。

――KID PHENOMENONは、武者修行でマイクトラブルに見舞われた時の対処も見事でしたね。マイクが故障した事実を冷静に受け止め、使用できるマイクをみんなで回して歌い繋いでいく姿に、グッと来た方も多いと思います。

SHOKICHI:冷静に判断して、その時のベストを尽くそうとする姿勢がいいですよね。あと、他のグループもそうですが、応援してくださるファンの方やこの環境に感謝して、スタッフさんにもしっかりと礼儀正しく接しながら、誠実に武者修行を廻っているのも好印象でした。今後もそういう心構えで活動してほしいですし、今以上にたくさんの人に愛されるグループになってほしいなと思います。

――ところで、第二章からは各グループにクリエイティブ・コーディネーターがつき、KID PHENOMENONはEXILE NAOTOさん、WOLF HOWL HARMONYはPKCZ®、THE JET BOY BANGERZはEXILE AKIRAさんが、衣装やパフォーマンスといったグループの見せ方について指揮を取られましたが、課題曲もみなさんと話し合いながら制作されたんですか? 第一章以上に関わる人が増えたことで、作曲スタイルにも変化があったのかなと思いまして。

SHOKICHI:いえ、AKIRAさんは『iCON Z』のプロデューサーでもあるので、その都度コミュニケーションを取ってきたんですけど、どういう課題曲にするかという話は特にしなかったです。ビジュアルや振付、どんなふうにパフォーマンスしていくかというのは、全て曲ありきで決まるものですし、この時は最初の曲ということで手探りの制作でしたからね。総合プロデューサーのEXILE HIROさんが大枠を決めて、その意図を汲み取りながら、僕なりに各グループの曲を作ってみて。それをもとにクリエイティブ・コーディネーターたちがイメージを固めていく、という流れでした。

――「LOVE RED」(作詞:SHOKICHI、AMBASS/作曲:FAST LANE)を歌うWOLF HOWL HARMONYについては、いかがですか?

SHOKICHI:WOLF HOWL HARMONYはダンス未経験者が多かったこともあり、ダンスにもアクティブにトライしようとしていたんですけど、僕としてはDEEP SQUADのメンバーが2人(比嘉涼樹、杉山亮司)いるということで、まずは彼らの歌力やハーモニーをしっかり届けられる曲にしたいなと思っていました。なおかつ、ラップに特化している(ギレルメ)マサユケ(トマジ 西村)もいたので、ただ美しく聴かせるだけではない、イノベーティブなバラードを制作しました。

――マサユケさんは第一章からラップが高く評価されていましたけど、少人数のグループになってからは、ボーカルとしても求められることが多いようですね。

SHOKICHI:番組ではラッパーとしての顔をフィーチャーされることが多かったと思うんですが、彼はもともと、ラップも歌も頑張りたいと話していたんですよ。だからこそ、こういう曲を歌わせてあげたいと思いましたし、実際に今も良い位置でグループを支えてくれているんじゃないかなと思います。

――番組では、タイトルの「LOVE RED」は沓野広翔さんの“赤いほっぺ”から生まれたという話もありました。

SHOKICHI:彼だけじゃないんですけど、みんなが顔を真っ赤にして、苦手なダンスや筋トレに励んで、パフォーマンスのために必死に頑張ってる姿って、すごく素敵じゃないですか。そういった音楽に対しての彼らの情熱、歌に対しての純粋な心を曲で表現できたらいいなと。それがファンの方にとっても、WOLF HOWL HARMONYを応援する理由になればいいなと思って書きましたね。

「iCONZ」男性部門~FINAL~WOLF HOWL HARMONYの合否が決定/Dreamer Z # 68〜Special Edition〜

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