Chilli Beans. “盟友”Vaundyと繰り広げた圧巻のステージ 新進気鋭の同世代アーティストを招いた対バンツアー最終公演
Chilli Beans.が3月16日、対バンツアー『Dancing Room 003』 の最終公演をKT Zepp Yokohamaにて開催した。愛知公演はPEOPLE 1、大阪公演はWurtSをゲストに迎えたが、本公演の対バン相手はVaundy。彼とチリビの3人は、音楽塾ヴォイスの同窓生であり、それ故にこの日の対バンは本人たちにとってより思い入れの強いものになった。
Vaundyが大歓声と拍手のなかで登場し、「恋風邪にのせて」でライブはスタート。会場の熱気を堂々と受け止める、彼のポップスターとしての佇まいに痺れる。中盤のMCで、彼はアウターを脱ぎ、「大丈夫? 脱がなくて。熱いぜここから。」「じゃあ、本気見せてもらおうか?」とフロアをアジテートとしてみせた。
そしてここから、怒涛のロックチューンが立て続けにドロップ。重厚でエッジの効いたロックサウンドに刺激されるようにして何度も声を昂らせながら歌った「CHAINSAW BLOOD」。壮大な大合唱が巻き起こった「裸の勇者」。覚醒感に満ちたサビのメロディがフロアの高揚感をさらに何段階も高めていく「泣き地蔵」。そして、「この後、もっと熱いのが待ってるもんな」「あとはもうチリビに任せようかな」と出番を待つチリビのステージへの期待を煽り、渾身のダンスチューン「花占い」へ。そしてラストの「怪獣の花唄」では、「声出せるか、歌え!」とフロアに叫び、怒涛のコール&レスポンスが巻き起こった。前半戦、怒涛の幕締めだ。
転換を経てライトが点くと、ステージ上には2つのドラムセットが配置され、その台の上には、先ほど熾烈なステージングを繰り広げたばかりのVaundyが座っている。そして、チリビが彼をゲストに迎えて制作したファンクロックナンバー「rose feat. Vaundy」が披露された。なお、同曲では先攻のVaundyのステージでサポートドラマーを務めていたBOBOがドラムを担っており、脳天を突き刺すように鋭く響く彼のビートに乗せて躍動的なグルーヴが広がる展開に何度も心を奪われた。何より、お互いに何度もアイコンタクトをとりながら歌うVaundyとMoto(Vo)の歓びに満ちた表情が印象的で、この日の対バンが、本人たちにとって念願のものであったことが深く伝わってくる。
パフォーマンスを終えて、「ただいま」と声をかけるVaundyに、Maika(Ba/Vo)は、「4人目のChilli Beans.さんですか?」と問いかけ、Vaundyはすかさず「そうです」と答えた。こうしたお互いの親密な関係性を伝えるやり取りを経て、ここでVaundyが退場。入れ替わる形で、サポートドラマーのYuumiが登場して、彼女が制作に深く関わった「duri-dade」をBOBOとのツインドラム体制で披露する。同曲の制作にはBOBOも携わっており、ついに完全体の形でこの曲がライブ初披露された。
2人のドラムの巧みなコンビネーションにより、サウンドに新たな奥行きとグルーヴの深みが生まれると同時に、2人が同じフレーズを叩くシーンでは、その音圧に圧倒された。チリビはスリーピースバンドではあるが、今の彼女たちはVaundyやBOBOをはじめとする外部のコラボレーターとの繋がりを通して、自分たちの新しい可能性を押し広げ続けている。その一つの結実として生まれたのが、このコラボコーナーで披露された2曲(最新EP『mixtape』収録)であり、まさに進化し続けるチリビの今の輝きを伝える名演だった。