中嶋ユキノ、浜田省吾との運命的な出会いから『新しい空の下で』に至るまで “今”を重ねていった先にある未来

 シンガーソングライターの中嶋ユキノがミニアルバム『新しい空の下で』をリリースする。2003年から川嶋あいのバックコーラスを務めているほか多岐にわたるアーティストのレコーディングやライブでのコーラス、作詞などを続けていたが、高校時代から抱いていたシンガーソングライターの夢を追い続け、2011年に1stシングル『桜ひとひら』をリリースして以来、ソロとしても活動している。これまでにオリジナルアルバム5枚、シングル8枚を出してきたが、大きな転機となったのは今作もプロデュースをしている浜田省吾との出会いだ。運命的な出会いから今作のポイントまで、じっくりと聞いた。(今井智子)

浜田省吾との信頼関係から生まれる楽曲

――中嶋さんのメジャーデビューアルバム『N.Y.』から浜田省吾さんがプロデュースされていますね。どんな出会いがあったんでしょう?

中嶋ユキノ(以下、中嶋):大学生の頃からコーラスや作詞の仕事をしながら、高校の頃からの夢だったシンガーソングライターになろうと、曲を作ったりライブをやったりしていたんです。『Starting Over』というミニアルバムを自主制作で1,000枚作って30歳になって、人生の一つの区切りと思い、シンガーソングライターだけじゃなくて、コーラスでもなんでも歌の仕事をやって生きていこうと、悔しい気持ちもあったんですが決めました。その頃、お仕事でお世話になっていたソニーミュージックの方から「浜田省吾さんのアルバムで女性ボーカルが必要な曲があるみたいなのですが、中嶋さんを推薦していいですか?」と連絡をいただいて。浜田さんの『Journey of a Songwriter ~ 旅するソングライター』収録の「夜はこれから」に参加させていただいたんです。その流れで2015年のツアーにコーラスとして参加させていただくことになり、ツアー中に浜田さんから「作品を聴かせてもらえますか」ということで『Starting Over』をお渡ししたんです。そうしたら、「中嶋さん、夢を諦めるのはまだ早いですよ。一緒にCD作りましょう」と言ってくださったんです。

夜はこれから (Music Video / Short Version)

――すごいタイミングでの出会いですね。今作もですが、浜田さんにプロデュースしていただいて、どうでしたか?

中嶋:最初は、「私でいいのだろうか?」という気持ちが強くて。浜田さんが初めてプロデュースするアーティストということで、その重責というか。でも浜田さんに背中を押していただいて。「大丈夫!一緒に頑張ろう」と言ってくださったので、よろしくお願いします、と。

――そうした信頼関係があってのプロデュースなんですね。

中嶋:浜田さんは、私自身から生まれるものとか、私が表現したいものを尊重してくださります。こうしたほうがいいといった強い言葉ではなくて、「こうしたらどうですか? でも最後は中嶋さんにお任せします」と最終的にはやりたいように導いてくださるようなプロデューサーですね。

――最初にプロデュースしていただいた『N.Y.』の手応えはどうだったんでしょう。

中嶋:作りためた曲を集めた1stアルバムだったんですけど、自分はもうダメなのかと思った20代が、やっと報われたというか、形にできたことが嬉しくて。曲をどういうふうにしたいかを、浜田さんとアレンジャーの水谷公生さんと相談しながらやらせていただいたので、できた時にはとても嬉しかったです。やってもらうのでなく、皆で作ったという喜びーーそれは今も変わらないですね。

――2作目『空色のゆめ』はいかがでしたか?

中嶋:この作品には、それまで温めていた曲も書き下ろしも入っています。浜田さん、水谷さん、春嵐さんのユニット・Fairlifeの曲が2曲入っていて、もともと私は歌手になりたいという思いからスタートしているので、ボーカリストとして特化したアルバムになったかなと。

――3作目『Gradation in Love』が2018年に出て、ご自身の色が固まってきたのかなと思いますが。

中嶋:そうですね。3作目を出してツアーを回って、2019年、2020年もシングルを出してツアーを予定してたんです。ところがコロナでツアーが中止になって。2020年秋に3作の中から選んだ曲をアコースティックアレンジにした『アコうた』というミニアルバムを出して、配信ライブをやりました。私がアコースティックサウンドが好きだったというのもあって、ピアノとギターとパーカッションというシンプルな編成で『アコ旅』と名付けて2017年から何度かツアーをやっているんです。その形で、今までリリースしたものを再びレコーディングして、よりシンプルなアコースティックサウンドで聴いていただくのは意味があるんじゃないかなと、6曲レコーディングしました。その後に、NHK「みんなのうた」に起用された「ギターケースの中の僕」も、リズムはタイトなんですけど上はアコースティックサウンドで。

中嶋ユキノ 『ギターケースの中の僕』 (Music Video)

――新作『新しい空の下で』も、ストリングスがフィーチャーされ生楽器の音を大切にされている印象で、6曲入りというサイズにもこだわりを感じます。コンセプトなどあったのでしょうか。

中嶋:フルアルバムにできるぐらい曲はあったんですけど、キュッと絞って自分の思いをまとめたほうが、よりたくさんの方に聴いていただけるんじゃないかと思って。今年の春にアコースティックツアーをやろうと去年から予定されていて、その時に温めていた曲が今回のタイトルソング「新しい空の下で」だったんです。そのタイトルでツアーに出たいと、その時から感じていたんです。この曲を中心に、どういうライブにしたいかなと思った時に、こういう曲があったらいいんじゃないか、こういう歌詞にしたらいいんじゃないかなと、選んだ6曲です。

――「新しい空の下で」は、最初にできていたんですね。

中嶋:そうです。曲はあったんですが、歌詞は改めて浜田さんと練り直しました。「中嶋さん自身のことを歌詞にしたらどうですか?」というアドバイスをいただいて。今までは、この言葉を歌詞にしていいのかなとか、作詞提供していたこともあって固定概念があったんですけど、そのアドバイスのおかげでストレートに自分の言葉で思いを表現するアルバムになりましたね。私、普段自分が思っていることを面と向かって言えないようなタイプで。作詞をしているのはそれが理由だったりするんですけど、包み隠さず書いて歌うことで「自分もそういう体験ある!」と共感していただけたら嬉しいです。

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